ヤフー・アスクル対立問題、ソフトバンク宮内社長は「事業を大きくできるなら賛成」

ソフトバンク 決算

国内の通信事業などを手がけるソフトバンクは、2019年4~6月期決算を発表。すべての事業で増収を達成するなど、好調さをアピールした。

撮影:小林優多郎

ソフトバンクは8月5日、2019年4~6月期の決算説明会を開催した。説明会では同社が取り組むモバイル通信事業のほか、PayPayやその他のソフトバンク・ビジョン・ファンドの投資先とのジョイントベンチャー各社の現状が明らかにされた。

また、ソフトバンクは6月にヤフーを子会社化しており、決算説明会では本業のモバイル通信事業より、ヤフーとアスクルの対立問題に関する質問が多く寄せられる一幕もあった。

アスクルとの対立について、宮内氏は「賛成」

ロハコ

アスクルとヤフーの共同EC事業である「LOHACO(ロハコ)」。

ソフトバンク社長の宮内謙氏は今回の対立問題について、まず「僕はそこまでの意思を表明していない」と、一部報道であったソフトバンクおよびソフトバンクグループの関与を否定。

しかし、宮内氏はヤフーの取締役を務めるため、ヤフーの行動に関しては以下のような肯定的なコメントを発している。

「(ヤフーの判断は)これからアスクル社を延ばしていくために、大変苦しい判断だったとは思うが、私は今回のヤフーの決断はきっと将来的にはみなさんに分かっていただけるのではと思っている」

ヤフー 売上

ヤフーの売り上げもやや増加している。

その根拠の一部として、ソフトバンクのヤフー子会社化以前から、ソフトバンクおよびワイモバイルとヤフーのEC事業の連携による成果を挙げている。

両社共同の取り組みは多岐にわたるが、代表例としてはソフトバンクおよびワイモバイルの契約者に対して、ヤフーの月額462円(税抜)の有料会員制度「Yahoo!プレミアム」の資格を無料で付与したり、「Yahoo!ショッピング」においては、ソフトバンクユーザー限定で決済額の10%相当のポイントバックを毎日行うなどのキャンペーンを展開している。

その影響もありヤフー事業の売上高は年々増加傾向にある。実際、2019年4~6月期の売上高も約2386億円と前年同期比で3%増。Yahoo!ニュースなどのメディア事業が横ばいなのに対し、コマース・その他の事業が売上増を牽引している。

宮内謙氏

ソフトバンク社長の宮内謙氏。

宮内氏は「アスクル社とも(今より)もっと連携してやっていければ、もっと大きな価値を生めると思っている」と、あくまでも「事業を大きくできるのであれば(ヤフーがアスクルの株主として議決権行使したことは)賛成」としている。

ただし、詳細な意図についてはヤフー社長の川邊健太郎氏率いる「ヤフー執行部に聞いて欲しい」とし、問題となっているアスクルとの共同事業「LOHACO(ロハコ)」の分社化や事業吸収といった話は否定している。

脱・通信キャリアを目指すソフトバンク

ソフトバンクの成長戦略

ソフトバンクが掲げる今後の成長戦略。ヤフーはその要の1つである。

今期の決算自体は、売上高は1兆1648億5600万円と前年同期比で5.8%増。営業利益は2688億5800万円と同3.7%増と増収増益で堅調だ。

しかし、現在の主な収益源である個人向け通信事業は、10月以降に第4のキャリアである楽天の登場や、違約金1000円などの新しい規制も盛り込まれるなど、大幅な収入増は難しい。

ソフトバンクとしては、前述のとおりヤフーとの取り組みや、ビジョン・ファンドの投資先との事業で収入源の多角化を進め、通信事業に依存しない収益体制を確固たるものにする方針だ。

(文、撮影・小林優多郎)

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