モバイルオーダーからドローンデリバリーまで。キャッシュレスの未来を福岡で見た

ドローンデリバリー

BBQ中に、新鮮な魚介類が食べたい。そう思ったときにスマートフォンで注文して決済すれば、すぐにドローンが届けてくれる未来が近づいている。

撮影:小林優多郎

LINE Fukuokaは7月31日と8月1日に、LINE上で注文から決済まで一気通貫で行えるモバイルオーダーに関する実証実験を福岡市内で行った。

そこで見えてきたのは、日本で白熱しているキャッシュレス決済が目指すべき1つの未来の姿だった。

キャッシュレス化の動機は?

モバイルオーダー

中国やアメリカでは実用化されているモバイルオーダーの実験も、本格導入を見越して福岡市で行われている。

LINE FukuokaのSmart City戦略室で室長を務める南方尚喜氏は、2019年7月に実施したフードコートでのモバイルオーダーとドローンデリバリーの実証実験の両方の場で以下のようにコメントしている。

「キャッシュレスは、(今まで)おトクさというところでユーザーを獲得してきた。(これからは)LINEを使ったコミュニケーションの便利さで、利用を促せるように注力していきたい」(南方氏)

確かに、MMD研究所が7月に公表した「QRコード決済の満足度調査」(n=600、複数回答あり)によると、QRコード決済ユーザーの利用開始時の動機の上位2つは、「ポイントがたくさん貯まるから」(44%)、「キャンペーンを知って興味を持ったから」(43.5%)となっている。

南方氏

LINE FukuokaのSmart City戦略室で室長を務める南方尚喜氏。

しかし、市場を観察してみると、この還元施策の波は一時に比べてやや落ち着きを取り戻している。

例えば、“100億円あげちゃう”で広まった「PayPay」は時間帯や店舗の種類を絞って最大20%の還元を行っている。また、「LINE Pay」も2018年8月1日から行っていたコード決済時の3%上乗せの還元施策を予定通り2019年7月31日に終了している。

10月1日の消費税増税に伴って、政府主導のポイント還元制度も予定されているとはいえ、消費者は全体的な還元率の低下や7payによる不正利用問題などにより、日本のキャッシュレス化について冷静に見るようになっているのではないか。

生活に密着したキャッシュレス

福岡限定クーポン

LINE Payの福岡限定クーポンのPOP。これも福岡でのLINEの取り組みの1つ。

そんなキャッシュレス市場の閉塞感を打破するような施策を、LINE Fukuokaは行っている。

同社は2018年8月に福岡市と地域共働事業に関する包括連携協定を締結。AIやFinTechなどのテクノロジーを自治体や地元企業と連携して活用することで、福岡市を国内でも有数な“スマートシティー”へ変えようとしている。

LINE Fukuokaがリリースしている、スマートシティーに関する代表的な取り組みは以下のとおり。いずれも市民の生活に密着した取り組みが多い。

スマートシティー事業 一例

LINE Fukuokaが取り組むスマートシティー事業の一例。

作成:Business Insider Japan

必要なのは“利便性の高いシチュエーション”

ドローンデリバリー

ドローンデリバリーの実証実験は、ANAホールディングスが主体となり、自律制御システム研究所(ACSL)がドローンの操作や機体の準備、NTTドコモが電波環境の調査や整備、ウェザーニューズが気象情報や有人ヘリの位置情報の提供、そしてLINE Fukuokaが注文・決済の仕組みを開発した共同プロジェクトだ。

筆者が今回取材したドローンデリバリーによるBBQは、エンターテインメント性が重視されている感はあったが、それでも粗大ゴミや市の窓口、フードコートでの取り組みは実用性の高い取り組みに思えた。

理由はシンプルで、キャッシュレス決済やチャットというデジタル的な手段が、長い行列や面倒な手続きなどのアナログ的な問題を明確に解決しているからだ。

モバイルオーダー

フードコートでのモバイルオーダーがあれば、長蛇の列に並ばなくても食べたいものが買え、空いた時間を有効活用できる。

現状のキャッシュレス決済を語る際、どうしてもQRコードやクレジットカード、非接触決済の種別で利便性を語りがちだが、真に必要なのはこういった明確なユースケース(利用シーン)ではないか。

南方氏はBusiness Insider Japanの取材に対し、今回のような新しい施策について「実証実験で成果を出し、横に展開していきたい」と意気込みを語っている。

今回は“飲食”に関する取り組みだったが、同様の仕組みを使えばチャット上で事前に観光施設のチケットを購入し、入場の際には画面を見せるだけ、などさまざまなシチュエーションでの活用が期待できる。

LINE Fukuokaは現在、福岡市との取り組みに注力しているが、今後日本のさまざまな都市で同様のキャッシュレス化・スマート化が進んで行くことに期待したい。

(文、撮影・小林優多郎 取材協力:LINE Fukuoka)

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