7月31日から8月3日にパシフィコ横浜で行われた総合イベント「Rakuten Optimism(楽天オプティミズム)」の様子。人気アーティスト、X JAPANのYOSHIKIによる特別ライブも行われ、大勢の客が詰めかけた。
撮影:川村力
楽天は8月8日、2019年1〜6月期決算を発表した。売上高、営業利益は過去最高を更新した。
売上高 5866億円(前年同期比14.5%増)
営業利益 1119億円(同24.8%増)
純利益 1002億円(同55.4%増)
3月に米NASDAQに上場を果たしたライドシェア大手Lyft(リフト)の株式評価益を計上したことで、純利益も大きく伸びた。
楽天はリフトの評価益を1~3月期に1104億円としていたが、今期、会計処理の変更により想定外の評価損284億円などを計上。最終的に約792億円を評価益とした。
楽天カード、楽天銀行は堅調
セグメント別に4〜6月期の数字を見ると、楽天の現況がよりハッキリと見えてくる。
楽天カードの四半期業績推移。
出典:楽天2019年度第2四半期決算説明会資料より編集部キャプチャ
まずは、銀行やカード、証券などから成る「フィンテック」セグメント。
2019年3月に会員数が1700万人を超えた楽天カードは好調を維持。カード取扱高は2.3兆円、前年同期比26.5%増を記録している。
【フィンテック(楽天カード)】
売上高 560億円(前年同期比23.5%増)
営業利益 82億円(同16.5%増)
楽天銀行の四半期業績推移。
出典:楽天2019年度第2四半期決算説明会資料より編集部キャプチャ
楽天銀行も好調。1~3月期の勢いを引き継ぎ、普通預金が前年同期比48.5%、住宅ローン貸出金が同32.2%増えた。
【フィンテック(楽天銀行)】
売上高 221億円(前年同期比8.2%増)
営業利益 69億円(同11.0%増)
楽天証券の四半期業績推移。
出典:楽天2019年度第2四半期決算説明会資料より編集部キャプチャ
一方、楽天証券は1~3月期から続く国内株式市場の低迷を受け、売上高、営業利益とも伸び悩み、前年同期比で減収減益となった。
ただしそんな状況のもとで、積み立て投資信託の楽天カードによる支払いが2019年初めのほぼ2倍(184.9%)に増えたことには注目しておきたい。楽天がこだわってきたポイント経済圏の拡大が進み、シナジーが増大していることの証左だ。
【フィンテック(楽天証券)】
売上高 134億円(前年同期比7.4%減)
営業利益 23億円(同52.7%減)
7月31日から8月3日にパシフィコ横浜で行われた「楽天オプティミズム」会場内はキャッシュレス決済のみ使用可。楽天ペイユーザーも多数見かけた。
撮影:川村力
また、7月31日から8月3日にパシフィコ横浜で行われた大規模イベント「Rakuten Optimism(楽天オプティミズム)」の目玉にもなった、キャッシュレス決済を手がける楽天ペイメントは、1~3月期の流れのまま増収減益となった。
【フィンテック(楽天ペイメント)】
売上高 66億円(前年同期比19.9%増)
営業利益 ▲13億円(同9.6億円減)
EC物流、モバイル店舗など成長への投資続く
続いて、楽天市場を中心とする「インターネットサービス」セグメント。
楽天の国内EC事業の四半期業績推移。
出典:楽天2019年度第2四半期決算説明会資料より編集部キャプチャ
国内EC(楽天市場、楽天トラベルなど)は、流通総額が9219億円、前年同期比14.5%増と大きな成長を見せたものの、物流関連の投資がかさみ、増収減益だった。
【インターネットサービス(国内EC)】
売上高 1168億円(前年同期比19.4%増)
営業利益 121億円(同15.1%減)
最後に「モバイル」セグメント。
楽天のモバイルセグメント(インターネット接続の楽天コミュニケーションズ、移動体通信の楽天モバイルなどを含む)の四半期業績推移。
出典:楽天2019年度第2四半期決算説明会資料より編集部キャプチャ
1〜3月期に引き続き、堅調に売上高を伸ばしたものの、2019年10月のMNO(移動体通信事業者)サービス開始を前に、店舗網整備などの先行投資がかさみ、前年同期比では増収減益になった。
ただし、4月に東京・渋谷と池袋に大型店を出店するなど存在感を増しており、実店舗数は5月の500店舗から7月には543店舗と急激に増えている。
【モバイル(セグメント全体)】
売上高 271億円(前年同期比23.8%増)
営業利益 ▲122億円(同99億円減)
(文:川村力)