ライザップ決算、4〜6月期は黒字化で「結果にコミット」。拡大路線再開に布石か

瀬戸健氏

四半期決算について説明する、ライザップグループの瀬戸健社長。

撮影:小島寛明

個別指導のトレーニングジムなどを展開するRIZAP(ライザップ)グループの2019年4~6月期決算(国際会計基準)は約14億円の営業利益を計上した。

9社ある上場子会社のうち8社の四半期決算が、営業黒字となった。前年同期には、黒字は9社中3社にとどまっていた。

グループ全体の売上収益(日本基準の売上高に相当)は535億円で、4~6月期としては10年連続で過去最高を記録した。

ライザップは2019年3月期決算では、相次いで買収した企業の再建に手間取り、193億円と大幅な赤字となった。このため、瀬戸健社長は6月の株主総会で「今期赤字はありえない」として、通期赤字となった場合は退任する意向を示している。

8月9日に開いた決算説明会で瀬戸氏は「赤字の中でも赤字幅が大きく縮小したり、黒字の会社の黒字が大きく伸びたり、ひとつひとつ進めている。今期はしっかり足元を整えて、来期は大きなV字回復に向けて進みたい」と述べた。

ワンダーコーポレーションも黒字確保

内藤雅義氏

CDやDVDの物販などを手掛けるワンダーコーポレーションの内藤雅義社長。

撮影:小島寛明

ライザップが2018年秋まで進めていた企業買収は、おもに経営難の企業を買収し、不採算店舗の閉鎖やコスト削減などで黒字転換を目指すものだ。

音楽、映像ソフト販売の「WonderGOO」「新星堂」や、レンタル店「TSUTAYA」の一部フランチャイズ店を展開するワンダーコーポレーションは、2018年3月にライザップグループの傘下に入った。

2019年3月期の連結売上高が721億円と、グループ内で最も大きな企業だが、DVDやCDの販売が年々低下する中で、経営再建は困難を極めるとみられていた。

ワンダー社は、不採算店舗の閉店などを進めた結果、4~6月期については約3億円の黒字を確保した。

上場子会社の中で唯一赤字だったのは、フリーペーパーを発行する「ぱど」だ。販売管理費の削減や不採算エリアの再編などで赤字幅は減少したものの、約1.2億円の赤字となった。

ワンダー社が手がけるCDやDVDの物販、ぱどが発行するフリーペーパー事業については、映像、音楽、活字のデジタル化で市場が縮小している。このため両社の事業は、中長期の見通しを立てにくい環境に置かれている。

こうした企業のビジネスモデルを再構築し、経営を再び安定軌道に乗せられるかどうかが、ライザップの買収戦略の今後を左右すると考えられる。

投融資委員会設置は、M&A再開への布石か

ライザッププレゼン日本地図

個別指導のボディメイク事業では今後、地方の開拓を進めるという。

撮影:小島寛明

買収した上場企業9社のうち8社が黒字となった4~6月期決算を受け、グループは「次」に向けた布石も打っている。

同社は新たに、瀬戸氏が加わらない「投融資委員会」を社内に設置した。委員会は、投資や融資、M&A(買収)に関するルールを定める。M&Aや提携などについて審議し、経営会議や取締役会に対して立案する役割を担うという。

瀬戸氏は「投資家のみなさんをはじめ、ご理解をいただける状況になれば、こういう形でM&Aを再開させていただきたいという方針を含めてお話をさせていただき、スタートを切らせていただきたい。そのためにはまず、ライザップグループが着実に結果を出すことだ」と説明する。

再び拡大路線にかじを切る意欲は、十分にあるようだ。

(文、写真・小島寛明)

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