神奈川の銘菓「鳩サブレー」で知られる鎌倉に本店を置く和菓子店、豊島屋。本店前の午前11時半付近の行列。かなり店舗に近づいた位置で撮影しているが、行列はずっと後ろに伸びていた。
撮影:伊藤有
お盆直前の猛暑の3連休初日となった8月10日、鎌倉の目抜き通りには午前中から大行列をつくる人たちの姿があった。
行列の先頭が吸い込まれていくのは、銘菓「鳩サブレー」で知られる、鎌倉に本拠を置く和菓子店・豊島屋本店だ。
125周年記念の「300円グッズ」に2時間の大行列
豊島屋の公式サイトより。8月10日「鳩の日」記念の告知は、閉店後の同日20時ごろにはすべて消えているという徹底ぶりだった。
豊島屋では毎年、8月10日を文字って「鳩の日」として、1日限りの限定グッズを販売している。
2019年の限定グッズは、鳩サブレーが1枚だけ入る、鳩の日限定 「鳩サブレー1枚入り缶」。“鳩サブレーを割らずに持ち歩ける”という機能性、グッとくるキャッチーなデザイン、価格は300円と手ごろだ。
鎌倉の本店で販売され、買い求めようとしたファンが早朝から大行列をつくっていた。
都内から本店限定の「鳩サブレー1枚入り缶」を買いに訪れたある女性は、少し遅めの10時ごろに並びはじめた。炎天下のなか2時間半近く行列し、12時半ごろに無事、入手できたと語る。Yahoo!天気によると、この日、晴天に恵まれた鎌倉駅周辺の最高気温は32度まで上昇した。
熱中症の予防のためか、本店店員が水を配って回る姿も。
行列の整理にあたっていた本店スタッフによると、行列は一時、店舗から300mほどまで伸びた。もっとも、本店限定品とはいえ入荷自体は潤沢だったようで、夕方近くでも購入できたという報告もあった。
販売された実物は、以下のようなもの。
商品包装には「おかげ様で125周年」の文字と、名物キャラクター「鳩兵衛」がお辞儀する姿が。
包装の裏には、商品が判別できるよう本店限定品のみ、右下に色違いの鳩のマークの印がある。限定色は、赤鳩が金色、青鳩がが銀色の目印。
通常版は、色・見た目ともに鳩サブレーの実物を模した雰囲気。本店限定品のひとつ、金色のタイプは真鍮のような色あい。
豊島屋のグッズは芸の細かさでも知られる。本店限定の金色と銀色は、裏側に印刷されたイラストがそれぞれ違う内容。
開くと、中には銘菓、鳩サブレーが1枚だけ入っている。
都内の百貨店各所でも大行列
販売を告知するそごう横浜店のおしらせ。入荷は3480缶だった。
この「鳩サブレー1枚入り缶」、本店限定の特色以外も、店舗によっては入手難に近い状態だったようだ。この日、都内複数の百貨店に出店する豊島屋で売り出された通常版にも、大行列ができた。
Twitterの投稿では、西武池袋本店では地下1階から屋上まで行列が続いていた、と投稿している人がいる。
同様にそごう横浜店や日本橋高島屋、そのほかの店舗でも、数百人規模の行列になっていたというツイートが複数あった。
人気商品につきものの「転売」はここでも
ほとんどの人は純粋な豊島屋ファンだったり、記念のお土産に並んでいたはず。しかし、やはりこの手の人気商品には「転売問題」が避けられない。
正式な販売を開始したばかりの10日午前11時時点で、すでに複数の「鳩サブレー1枚入り缶」の転売品がメルカリ、ラクマ、ヤフオクなどのフリマアプリに並び、すでに「SOLD OUT」になっている商品も複数あった。
元値300円に対して、フリマアプリでの売値は通常版単品で1300円程度、本店限定版は1つ2000円程度で取引されている。
炎天下で2時間並ぶことを考えたら、+1700円支払って行列ナシで手に入れるのは経済合理性的にはありかもしれない。が、ファンにとってはなんとも複雑な気持ちだろう。
(文・伊藤有)