関東以外の女性により強い「男は仕事、女は家庭」、7割が「男だから、女だから」経験

女性家事

「男だから、女だから……」を言われた経験を、7割の人が持っていた。

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7割超の女性がこれまでに「女性だから〜であるべき」と言われたことがあり、もっとも多いのは「家事は女性がするもの」だった——。

クラウドワークスが、全国の男女1642人を対象に行った「仕事と家事育児の役割に関する意識調査」(協力:Business Insider Japan)で、多くの女性が性別による役割分担を押し付けられた経験があるという実態が、浮かび上がってきた。「男性だから〜であるべき」と言われることも6割超の男性が経験しており、「男だから」「女だから」は昭和、平成、令和と時代を超えて根強く残っているようだ。

夏休みは実家ではなく旅行を優先

「そんなことで会社休んで大丈夫なの?」

都内在住の会社員、ミナさん(34)は、共働きで3歳児を育てている。しかし、夫が子どもの風邪で会社の看護休暇をとったと知って、義母が顔色を変えて心配して、こう声をかけてくるたびにモヤモヤするという。義母の暮らす、夫の実家は九州だ。

「子どもの風邪で母親が仕事を休むのは当然。でも、父親とはいえ男性が子どもの病気で仕事を休むなんてありえないと、義母は思っているんです。私もフルタイムで働いているのに」

義母は共働きは支持する一方で、子育てと家事は変わらず女性がやるべきという価値観。ミナさんはこの価値観が「正直、苦手」。

「夏休みに、夫の実家に帰るのが憂鬱なので、旅行の予定を入れています。お盆の挨拶も電話のみで済ませるつもり」

関東以外の女性により強い「男は仕事、女は家庭」

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性別による役割分業に共感しない人は7割以上に達するのに、「女だから、男だからこうあるべき」と言われた経験のある人も同じく7割を超える。

撮影:今村拓馬

クラウドワークスが実施した「仕事と家事育児の役割に関する意識調査」によると、「男は仕事、女は家庭」という性別役割分業の考え方について、7割の人が「共感しない」「どちらかと言えば共感しない」と答えた。多くの人が、性別役割分業については、違和感を持っていることが明らかになった。

ただし、注目すべきは地域差だ。関東とそれ以外で比較したところ、「男は仕事、女は家庭」に「共感する」と答えた女性は、関東では25%に対し、関東以外は39%。14ポイントもの開きがあった。男性の場合は、関東26%、関東以外30%で4ポイントの差にとどまった。

「男だから女だから」は両親から

周囲から「女性だから、男性だからこうあるべき」と言われたことはありますかとの質問に対しては、全体の71%の人が「言われたことがある」と回答。多くの人が、こうした経験を持つことがわかる。ただし、女性は73%、男性は66%で、性別を理由に「〜あるべき」と言われた経験は、女性が男性を上回っている。

では、こうした押し付けは、誰からもたらされるのだろうか。圧倒的に大きいのが、親の存在だ。女性の場合、「自分の両親」が43%でもっとも多く、続いてパートナーや配偶者が30%だった。男性も「自分の両親」(42%)がもっとも多いが、勤め先の上司・先輩(38%)と後に続いた。

それでは、男だから女だから「〜であるべき」の、中身はなんと言われるのだろう。その内容を見てみると、複数回答で多いものは以下の通り。

・家事は女性がするもの

・男性は妻や子ども、家族を養うべき

・育児は女性がするもの

・仕事をして稼ぐのは男性

・男性は仕事をしているから家事や育児ができないのはしょうがない

「夫に子どもの世話をさせるなんて」と義母

親子

息子夫婦が共働きだったとしても、親世代はより妻に家事育児をやってほしいと考えるようだ。

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全国から寄せられた、具体的なエピソードや声を見てみよう(一部抜粋)。

冒頭のミナさん同様、義理の両親の価値観に悩む、女性の声はよく聞かれた。子どもの世話を父親がするのは「とんでもないこと」?

「義両親と一緒にいる時に、夫が子どもの世話を手伝っているといつも特に義母から文句を言われます。義父に子どもの世話をさせるなんて、そんなとんでもないことを私(義母)はしたことないし、楽で良いわね、などと嫌味を言われることがストレスです」(北海道・東北地方、30代女性、子どもあり)

親世代の「妻としてこうあるべき」は、次世代を苦しめがち。

「2人目の妊娠中、切迫早産の危険があり、絶対安静にまでなったのに、主人は転勤したばかりで仕事が終わらず泊まり込みの日も多く、そのことに対して義母は家事なんて無理でしょとか、仕事があるんだから仕方ないなどと言われた」

(東京都、30代女性、既婚子どもあり)

さらにこの女性の夫は、産後の退院したての妻に「洗い物くらいしたら」の一言。

「主人も本人なりに頑張ってはくれたが、食事は女がやるものと思っているようで、食事の準備は全くなかった。産後退院して実家に寄って食事をした後、上の子の相手や新生児の授乳などつきっきりで帰宅したら、洗い物くらいしたらと言われた

サラリーマン

男性への「〜べき」は「仕事して家族を養うべき」が多い。

撮影:今村拓馬

20代の母親の実感値。

「パパが子どもを預けて出かけても特に何も言われないのに対し、ママが子どもを預けて出かけると『子どもは?』『今日はどうしたの?』と頻繁に問われることが多い。これは、女性だからということなのかなと時々考えます」(栃木県、20代女性、子どもあり)

つまり現代の女性は、家事も育児も仕事も全て完璧にやれということ?

「『女性は家事をやって当然、できなければだらしがない』『男性はできる時だけプラスαでちょっとだけ家事をやれば称賛され、マストではない』女性が仕事をするのが当然となり、より一層苦しい状況に陥っている気がする」(神奈川県、30代女性、既婚子どもなし)

役割の固定化は、男性にとってもやはり、息苦しい。

「配偶者の親族が『女性が働くのは男性がだらしがないから』という考え方の持ち主で、フリーランスやクラウドワーカーと言った働き方について全否定されて迷惑している」(東京都、40代男性、既婚子どもあり)

女性は酒を注げなんて、ここキャバクラ?

飲み会

飲み会の席での振る舞いも、「女はこうすべき」がつきまとうという声。

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職場も年代によって、意識の差が表れがちのようだ。

「勤め先の先輩はまさに古風な考えで、男性が稼ぎ、女性は家庭を守るといったことを大事にしています。子どもの体調不良の際に配偶者(奥さん)ではなく、男性社員が時々早退して学校に駆けつけているのを見て、情けない、とよく言っていました

私からすると、そこの家庭は共働きで、奥さんと半々で子どもの病気に駆けつけたりなどをしているので、理想的なのですが」(栃木県、30代女性、既婚子どもなし)

男性は家の都合で有休をとってはダメなのか?

「男性だと、家庭の都合で有休を取得するとなんでって感じのリアクションを取られるのが不思議」(兵庫県、男性30代、既婚子どもあり)

飲み会の席も、象徴的に「女性だから」「男性だから」が表れやすい。女性はニコニコしながらお酒を注ぐべきなのか。

「会社の飲み会で、40代男性から〇〇さんってなんかとっつきにくい感じあるよね、と言われました。セクハラ発言するようなオジさんに真顔で接しているだけですが?なんでキャバクラでもないのに、ニコニコしなきゃいけませんか?女はニコニコ酒注がなきゃいけませんか?」(福島県、20代女性、未婚子どもなし)

小学校が依然、昭和の価値観と変わっていないという指摘。

「小学校ではPTA役員などはほとんどお母さんです。世の中で時々話題になりますが、共働きがこれだけ増えた今、『PTA役員をやりたくない』のではなくてできないというのが本音ではないでしょうか。家計を支える大黒柱がもし母親であったら、平日の昼間から花壇に花を植える時間は作れません。授業参観に出るのが精一杯です」(北海道、40代女性、未婚子どもあり)

「産休はまだまだ取りにくい」という20代も

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結婚したら「当面、家庭に入りたい」と考える20代女性もいた。

撮影:今村拓馬

一方で、「結婚したら一旦、家庭に入るべき」と考える20代女性も。

「女性は結婚したら一旦、家庭に入る必要があると思っています。育児と仕事との両立を考えていましたが、子どものことを考えると夫婦どちらかが家庭に入る時期が必要だと思っています。

仕事をしながら、産休はまだまだ取りにくい世の中だと感じています。男性のほうが給料が高いので、私は一旦正社員を辞め、雇用形態を変更する予定です」(鳥取県、20代女性、既婚子どもなし)

自分自身の中にもバイアスがあるという声も。

私自身女性なのですが、男性に対して自然と『男性だから稼ぐべき』と考えてしまっている部分があります。周囲から『女性だから料理するべき』『女性だから家事するべき』と言われることはもちろん多いです。

ですが、それ以前に自分もそのような考えに染まってしまっている部分がある」(島根県、30代女性、既婚子どもあり)

日本では人目を気にしていた夫が…

海外在住の夫婦からは、こんな願いが。

「夫が専業主夫で、私が会社勤務をしています。日本にいるときは、夫は昼日中からスーパーに買い物にいくのが、人の目が気になり嫌だったようですが、マレーシア、ニュージーランドと海外に暮らして、全く気にならなくなったようです

日本でも多様な生き方ができるようになることを願っています」(ニュージーランド、40代女性、既婚子どもあり)

「昔の人はそれが普通だったのかな」

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確実に、若い世代の男性の価値観が変わりつつあることを感じさせるコメントも複数あった。

GettyImages/Taiyou Nomachi

ただし、男性でも若い世代は変わりつつある人も多い。

「『男に生まれたからには、家庭を持って家族を養うのが義務だ』。職場の元上司に言われた言葉です。それでは、女性の立場はどうなるのでしょう。出産して家事・育児をすることが義務でしょうか。現代にあるまじき思想だと感じました。私はその上司の言葉を黙って聞いていましたが、とても衝撃的でした」(神奈川県、30代男性、未婚子どもなし)

男性の育休も、上の世代には理解不能なのかもしれない。

「現在、育児休業を取得しています。祖母には理解できてもらえないので、自宅からインターネット越しに仕事をしていると嘘をついています。時代によって考え方は異なるのだなと痛感しています」(千葉県、30代男性、既婚子どもあり)

とくに20代男性からは、役割の固定化の「意味がわからない」という声も、珍しくなかった。

「今時の若い人(僕)は家事も育児もしててすごいわねぇ、みたいなことをよく言われることがある。僕からしてみると家の掃除は普通にすることだし子どもたちと遊ぶのも普通にすることなので、あまり意味が分からない

けれど、昔の人はそれが普通だったのかなと想像はする」(山梨県、20代男性、既婚子どもあり)

クラウドワークスは、インターネット上で仕事を受発注できるプラットフォーム「クラウドワークス」を中核に、時間や場所、年齢に関係なく働ける場と機会の提供に取り組んでいる。日本で性別役割分担の意識が強いことに注目し、国連が採択した「持続可能な開発目標(SDGs)」の一つでもある、ジェンダー平等推進と女性の地位向上への取り組みとして、今回は性別役割分担の意識調査に取り組んだ。

※調査概要:20〜40代の女性・男性1642人を対象に、2019年7月26日〜8月1日、クラウドワークスのサイト上のアンケートで実施。

(文・滝川麻衣子)

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