小泉進次郎氏「ご祝儀入閣」実現へ。官房長官と急接近は「ポスト安倍」への布石?

フリーアナウンサーの滝川クリステルさんと8月8日に入籍し、9月の内閣改造で「ご祝儀入閣」の可能性もあるとみられていた小泉進次郎・衆議院議員。複数のメディア報道によると、安倍晋三首相が「初入閣させる方向で調整に入った」模様だ。

(本記事は、2019年8月15日に公開した記事に新しい情報を追加し、再掲しています)

現職総理抑え「首相候補」

小泉進次郎

アナウンサーの滝川クリステルさんとの突然の結婚発表には日本中が驚いた。

Reuters/Yuya Shino

進次郎氏といえば、父親は小泉純一郎元首相、祖父は元防衛庁長官、曽祖父は元逓信大臣という政界のサラブレッド。父・純一郎氏の引退を受けて2009年の衆院選に立候補。この自民党が下野し、民主党政権が誕生するほどの逆風をはねのけて初当選を果たした。

圧倒的な知名度と人気から連続4回当選を果たすだけでなく、選挙となれば応援のために全国を回るなど、若くして「党の顔」として活躍する。兄の小泉孝太郎氏は俳優として活躍、進次郎氏も女性ファンを多く抱える「政界のスター」だ。

7月の参院選でも北海道から九州まで苦戦が伝えられる選挙区を中心に応援に駆け回り、多くの聴衆を集めた。報道各社の世論調査では首相候補に名を挙げられ、現職の安倍晋三首相を差し置いて首位に輝く場合も少なくない。

驚きの首相官邸での結婚発表

小泉純一郎

進次郎氏の父は「自民党をぶっ壊す」と言って総裁選に勝った小泉純一郎元首相。

Getty images/Koichi Kamoshida

それにしても、進次郎氏の結婚発表は意表を突いていた。8月7日、滝川クリステルさんとともに首相官邸に菅義偉官房長官を訪ね結婚を報告。そのまま首相官邸に詰める記者たちから取材を受ける形で結婚を公表した。

結果的に官邸の主である安倍首相にも報告する形にはなったが、当初2人が予定していた報告主は官房長官。滝川さんを伴っての報告ということも驚きをもって受け止められた。

菅氏と進次郎氏は特段近い関係だったわけではない。

ともに無派閥で神奈川県選出の衆議院議員だが、菅氏が独自の「菅派」とも呼ばれる議員団を形成する中に、進次郎氏の名前は見られない。自民党総裁選では菅派が安倍首相を全面的に支持する一方で、進次郎氏は「健全な批判勢力が必要だ」として石破茂氏への投票を明言していた。

8月10日発売の文藝春秋で、菅氏と進次郎氏の対談が掲載されることが決まっていたため、菅氏へ仁義を通したとも見られていたが、背景には政治的な動きが垣間見られる。

入閣「いいと思う」と菅氏

文藝春秋

月刊『文藝春秋』9月号で対談した菅官房長官と進次郎氏。進次郎氏について「ポスト安倍」の有資格者だと述べる菅氏に、進次郎氏は「総理は“天地人”が全て揃わないと辿り着けない」と述べた。

Business Insider Japan

対談では、菅氏は進次郎氏の入閣について「いいと思う」と述べ、次期内閣における入閣候補者であることを示している。さらに総裁選についても、「早過ぎるということはない。本人がやる気であれば別に構わない」として肯定的な態度を表明し、急激な接近がみられる。

将来の首相候補として取り沙汰される進次郎氏だが、現在の当選回数は4回で「入閣には経験不足だ」と言われることもある。

しかし、現職の山下貴司法務大臣の当選回数は3回、進次郎氏と当選同期生の齋藤健衆議院議員も当選3回生だった2017年に農林水産大臣に就任している。進次郎氏の場合、党内で青年局長や農林部会長、筆頭副幹事長などを務めた経歴や、選挙戦における貢献から入閣を期待する声も大きい。

神奈川県内の力関係

菅官房長官

「令和」元号を発表したことで、名前が広まり、「ポスト安倍」の1人と言われるようになった。

Reuters/POOL New

いずれは入閣や首相への道が期待されていた進次郎氏だが、菅氏があえて近づいた理由はどこにあるのだろうか。2人の共通点である神奈川県にヒントが隠されている。

神奈川県は麻生派と無派閥の「菅派」がしのぎを削っている。

麻生派は前身である大勇会(河野グループ)を率いた河野洋平元衆議院議長の長男である河野太郎氏、甘利明氏というポスト安倍候補2人など、県内選出の自民党国会議員の約半数である衆参計9人の議員を抱える。

一方、菅氏を支える若手衆議院議員による「ガネーシャの会」を束ねる坂井学氏や会員の星野剛士氏、山本朋広氏、菅氏がかつて秘書として仕えた小此木彦三郎氏の三男の八郎氏などが菅シンパとして県内に控えている。

菅氏が進次郎氏に近づいたことから、「菅氏はポスト安倍の座を狙っていながら、河野氏を次期首相候補として推すことで甘利氏の影響力を削ぎ、進次郎氏を『次の次』の首相候補とすることで地位を確固としたものにしようとしているのではないか」との見方も関係者の間に存在する。

具体性に欠ける政策

小泉進次郎HP

進次郎氏自身の歴史観、国家観は見えてこない、という指摘も。

出典:小泉進次郎氏公式ホームページ

政略とはいえ、安倍政権を支える「三本柱」の1人である菅氏がお墨付きを与えたことで、進次郎氏の初入閣への道が切り拓かれたことになる。

自民党としては参院選で重度障害者が当選したれいわ新選組や、「NHKをぶっ壊す」をキーフレーズに掲げて当選を勝ち取ったNHKから国民を守る党に世間の目が移る中で、進次郎氏の結婚は喜ばしいニュースとなり、このまま結婚への「ご祝儀」としての初入閣が永田町では「濃厚」とされている。

一方で、進次郎氏の入閣を歓迎する声ばかりではない。

結婚報道を受けて作家の百田尚樹氏は、「私は彼がどんな国家観や歴史観を持っているか、また安全保障や憲法に関してどんな考えを持っているか何も知らない。なぜならそれらを一言も発言していないからだ。これでは政治家とは言えない!なのにドヤ顔でものを言うのを見てると呆れる」とTwitterに投稿。“首相シンパ”から、経験不足だけでなく政策面への不安や政治の大局観に欠けると指摘された。

確かに対談などは存在するが、進次郎氏の政治観、政策をまとめた著書は見当たらない。

公式サイトで進次郎氏は「進もう、人生100年時代へ。」をキャッチフレーズに掲げ、「メッセージ」として「長生きがリスクになる社会にしないためにも、多様になっていく生き方を支えるためにも、あたらしい発想で国づくりを進める必要があります」とし、「政治家の役割とは、どんなときも国民を信じ、国民の内にある大きな力を引き出すこと」としているが、具体性に欠ける。

女子児童にサインをする写真を自身のブログに掲載し、「政治参加とはどういうことか、選挙とは何か。この一枚の写真が物語っている」と記した進次郎氏。

若者が政治に関心を持つたためにも、もし入閣したらその手腕を発揮してもらいたい。

竹内一紘:フリーランス記者。東京大学工学部都市工学科卒。元産経新聞社記者、自由民主党衆議院議員秘書。2017年の総選挙では希望の党の候補者を支援。著書に『希望の党の“あとに残った希望” 小池百合子「排除」の真相』。

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