2019年8月11日、香港。
Thomas Peter / Reuters
- 香港のデモ参加者たちは8月16日、新たな行動に出る —— 銀行から預金を引き出す、もしくは米ドルに替える。
- これは中国のさらなる介入に備えて、自らの資産を守ると同時に、中国と香港の行政長官である林鄭月娥(Carrie Lam)氏に対し、デモ参加者の声を無視すれば経済的な影響が出ることを示そうとするものだ。
香港のデモ参加者たちは、非暴力で抗議する新たな戦術を考え付いた —— 自らの預金を全額、ATMや銀行から引き出すことで、中国や香港の行政長官である林鄭月娥氏にメッセージを送るというものだ。
8月16日、香港のデモ参加者たちはできるだけ多くの預金を銀行から引き出す、もしくは米ドルに替える計画だ。これは自らの資産を守ると同時に、中国に対し、香港はただの資金源でないことを示そうとするものだ。
香港の掲示板サイト「LIHKG」には、銀行から引き出した現金や、現金を引き出せなくなったATMの写真が投稿されている。今回の"デモ"は、正式には8月16日に決行とされているが、香港では1日に2万ドルしか引き出せないため、人々はすでに現金を引き出し始めている。
「Cashout HKD to USD(香港ドルを米ドルに)」と名付けたこのデモを始めた香港の学生は、8月15日現在、すでに7000万香港ドル以上(約9億5000万円)が香港ドルもしくは米ドルで引き出されていると、INSIDERに語った。400人以上のデモ参加者が自分が現金を引き出した記録を残していて、無料通信アプリ「テレグラム(Telegram)」のデモ参加者向けのチャンネルには1500人以上のメンバーがいる。
香港のデモは10週目に入り、次第に暴力的になる一方で、レーザーポインターを使って学生の身柄拘束に抗議するなど、創造性も高まりつつある。
今回の新たな戦術は、香港の行政長官や中国の痛いところを突こうとするものだ。
このデモを始めた香港の学生は、「林鄭月娥と中国は経済を重視しているので、これは機能するかもしれない」とINSIDERに語っている。
この学生は、今回の動きは他の抗議活動同様、香港政府に「逃亡犯条例改正案の完全な破棄、抗議活動は暴動だとする発言の撤回、全てのデモ参加者に対する刑事罰の撤回、警察による職権乱用の徹底捜査、行政命令による香港立法会の解散、普通選挙の即時導入」を要求するものだと話している。
香港ドルの今後に懸念を示す声も聞かれる。
LIHKGのある投稿は、中国が軍事力で香港に脅威を与え続けることで、香港ドルは1年以内に米ドルにペッグされなくなり、外国資本は香港から流出するだろうと指摘している。
「自分の身を守りたいなら、資産価値を維持するために、まずはその大半を米ドルもしくはその他の信用できる外貨に替えなければならない」
[原文:Hong Kong protesters are calling for massive ATM withdrawals in an economic warning to China]
(翻訳、編集:山口佳美)