ネットフリックスドラマ「全裸監督」のプロモーションで渋谷駅前に設置されたビニ本自販機。
撮影:伊藤有
「お待たせしました。お待たせしすぎたかもしれません」
独特のセリフまわしと声色が耳に残る、「AVの帝王」という呼び名を持つ昭和のトリックスター・村西とおる。
その半生を題材に、俳優・山田孝之主演で送るネットフリックスのドラマ作品「全裸監督」が、8日の配信開始以来、SNSを中心に大いに話題になっている。
「これを作りきる予算と脚本がすごい」
「’80年代を再現したミニチュアセットがすごい」
「山田孝之の演技がすごい」
「黒木香(恵美)役の若手女優・森田望智の表情と色気がすごい」
「黒木香の母親役に小雪がいるのがすごい」
作品を見た人たちの間では、アダルト業界をテーマにした「大人向け作品」という性質とは裏腹に、反骨精神あふれる一種の青春ドラマ作品として絶賛の声が相次いでいる。
「えっ、渋谷にビニ本自販機が置いてある」
「ビニ本」自販機設置場所は、スクランブル交差点のすぐ近く。写真中央の赤いフレームのグリコの巨大ディスプレイの裏あたり。
撮影:伊藤有
作中の前半で、山田孝之扮する村西とおるは、昭和時代に「ビニ本」と呼ばれる、ビニール袋で包装されて自販機や書店で販売された「成人向け写真集」の販売を手がけ、ひと騒動を起こすことになる。
しかし、「ビニ本」は失われた昭和遺産では……そんなツッコミを逆手にとったのか、8月16日、突如、渋谷駅前の「MAGNET by SHIBUYA109」に、ビニ本の自販機が登場した。ネットフリックスが「全裸監督」プロモーションとして仕掛けたものだ。
#全裸監督 のビニ本を当時の自販機で!?
"危険なドラマ『全裸監督』オフィシャルガイドブック by ブルータス"を、渋谷マグネット出入り口近辺で配布中。
期間:8/16〜8/18 12:00-20:00場所:MAGNET by SHIBUYA109 エントランススペース※予定冊数を超えた時点で、終了となります。#人間まる出し
15時過ぎ、さっそく現地に向かうと、3台のビニ本自販機のボタンを次々に押す人たちが見えた。
撮影:伊藤有
現地スタッフに聞くと「表紙が山田孝之さん版と、森田望智さん版があります。中身は同じです」という。
また、渋谷のこの場所でのビニ本配布は8月18日の日曜日まで続く予定ということも教えてくれた(予定冊数がなくなり次第終了)。
一人一部ということで、目の前の自販機で「1」を押すと、ゴトッという音とともに、森田望智版の「ビニ本」が出てきた。
「ビニ本」自販機はネットフリックスのペイントが。
2つのバージョンがある。あとでわかるがレアなのは山田孝之版。
裏側を見ると、制作はマガジンハウス。最新のBRUTUS MOOK「合本・危険な読書」の付録としてつくられたオフィシャルガイドブックを「ビニ本」として配ったようだ。
調べると、BRUTUSの西田善太編集長が「ビニ本作った」とツイートしていた。
「お待たせしました。お待たせし過ぎたかもしれません!」でお馴染み、村西とおる監督をモデルにしたNetflixドラマ『全裸監督』シーズン1が公開中。パンイチでベーカムしょって、山田孝之さん主演で全8話。高校生の頃の自分に伝えたい、俺、ビニ本作ったよ #Netflix #全裸監督 #危険な読書 #BRUTUS
せっかくなので、BRUTUS MOOKも購入。冊子の中身を比べてみた。右の2冊は渋谷で配布していたビニ本。
一人一冊なので、もらいにいったという編集部のスタッフに提供してもらった。
一番左がBRUTUS付録。ちゃんとビニール袋に入った「ビニ本」になっている。中身は非常にまっとうな、オフィシャルガイドブック。森田望智や山田孝之らのインタビューもある。
ビニ本の中身は、どうやら、ビニ本自販機版も、BRUTUS MOOK版も基本的に中身はまったく同じ。ゲリラ配布を逃した人でも、BRUTUS MOOKを買えば手に入る、というのは親切かも。
ただし、一箇所だけ違う部分を発見した。それはここだ。
裏表紙にあるクレジット。上がBRUTUS MOOK版、下がビニ本自販機版。
撮影:伊藤有
これから「ビニ本」を入手しようという人にはちょっとした注意がある。表紙だ。
BRUTUS MOOK版は「森田望智版」。つまり、「山田孝之版」が手に入るのはビニ本自販機だけ。山田孝之版がレアなのだ。
もし自販機に出くわしたら、山田孝之版をまず手に入れて、コンプリートしたい人はBRUTUS MOOK版も忘れずに。
どの場所で自販機を設置するかは非公開
ネットフリックス広報に確認したところ、どの場所で「ビニ本」自販機を設置するのかは非公開。ただし来週以降、渋谷以外の場所でも実施する予定はあるという(別の関係者の話では、新宿では……という話もあった)。
同様に配布用の刷部数についても答えられないとのことだったが、「一定数の用意はしています」とのことだった。
「全裸監督」は8月16日、ヒットを受けてシーズン2の制作決定がアナウンスされた。
全裸監督ブームはまだしばらく続きそうだ。
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(敬称略)
(文、写真・伊藤有 編集協力・山村美紀子)