家がSNSでお金を稼いでいる。
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- ホーム・デコ・インフルエンサーという新たなインフルエンサーが登場した。彼らは自宅を集金装置に変えた、とニューヨーク・タイムズのロンダ・ケイセンが伝えている。
- これらのインフルエンサーは、自宅を案内するツアーのような選び抜かれた写真をインスタグラムに投稿し、数十万人のフォロワーを獲得している。
- スポンサー広告などで収入を得るインフルエンサーがいる一方、同世代には家を買うのに苦労している人もいる。
インスタグラマーは、もう #OOTD (outfit of the day:今日のコーディネート)というハッシュタグを忘れてもいい。もはやファッションだけがインスタグラムでフォロワーを獲得してお金を稼ぐ方法ではなくなった。
ホーム・デコ・インフルエンサーの世界をのぞいてみよう。彼らは自宅を「お金を生み出すSNSのスター」にする方法を発見した、とニューヨーク・タイムズのロンダ・ケイセン(Ronda Kaysen)が伝えている。
これらのインフルエンサーは、自宅を案内しているかのような写真を投稿することで、多くのフォロワーを惹きつけてきたとケイセンは述べている。例として、フォロワー数44万9000人の@mytexashouseと、同24万1000人の@erin_sunnysideupを紹介している。
「古い家の修復や新しい家の建築の記録で人気を集めている人がいる」とケイセンは言う。
「ファッション、子育て、料理、メイクといった分野と組み合わせる人もいる。だが、彼らが主に売り込むのは、無限の市場性がある家の内装であり、それにはすべての装飾品が含まれる」
このコンセプトは、新しいものではない。1980年代の「Lifestyles of the Rich and Famous」から現代のHGTV(ホームリフォームと不動産情報の有料チャンネル)の番組まで、テレビ番組は長い間、他人の家の中を見たいという人々の欲求を満たしてきた、とケイセンは言う。インスタグラムは、それをよりアクセスしやすくしたものだ。
投稿はバランスが重要だ。家族写真から汚れのない整然とした生活空間まで、生活が垣間見えるような、厳選された写真でなくてはならないし、あまり赤裸々に公開しすぎてもよくない。
ケイセンによると、フォロワーを獲得してアクセスを増やす方法を確立すると、アフィリエイト、スポンサー広告、商品のプロモーションを通して報酬が得られるようになる。収益は不明だが、インスタグラムのマーケティング・プラットフォーム、Laterによると10万人のフォロワーを持つインフルエンサーは、投稿ごとに1000ドルを稼ぐことができる、と彼女は言う。
皮肉なことに、多くのホーム・デコ・インフルエンサーと同世代の人の多くは、長年に渡って賃貸で暮らす傾向にある。
住宅市場はますます高騰しているため、ミレニアル世代は賃貸で長く暮らし、住宅購入は先延ばしになっている。
Student Loan Heroによると、今の時代に初めて家を買う人は、約40年前に比べて39%も多く支払わなくてはならない。SmartAssetの調査によると、いくつかの都市では、住宅価格の中央値が、収入の中央値を大幅に上回り、20%の頭金を貯めるのに10年近くかかることがある。
ミレニアル世代の中には、大きな家に住んで利益を生み出している人がいる一方で、初めての家を買うゆとりもない人もいる。
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)