「催涙弾が飛ばない初めての週末」8月18日、香港“170万人”デモ潜入レポート

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香港で8月18日にあったデモ。雨が降っていたにもかかわらず、集会場所のビクトリアパークは参加者で埋め尽くされた。

ThomasPeter/Reuters

デモ隊と警察の激しい衝突など、緊張状態が続いていた香港で8月18日、再び「逃亡犯条例」改正案や香港行政府、香港警察に対する抗議デモが行われた。

現地の気温30度前後。降り始めた大雨のせいで、じっとりとした湿度が立ち込めるデモの現場で、筆者は取材を続けていた。

今回のデモに前後して、香港国際空港の「機能マヒ」を受け、中国側が香港に隣接する深セン市に武装警察を集結させていた。筆者には、「第2の天安門事件が発生するのでは」という胸騒ぎも正直あった。心配する声は、香港のみならず、海外諸国からも出ていた。

そんな機運の中の8月18日のデモは、実際には拍子抜けするほど平和的なデモだった。

主催者発表によると、参加者は170万人。大規模だ。しかし、当初危惧されていたような「デモ隊と香港警察との衝突」や「中国からの介入」も発生せず、無事に終わった。

参加した香港人からは「久しぶりに何もなく平和的に終わった」と安堵していた。

デモ会場に近い地下鉄駅は大混雑

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8月18日のデモは当初午後3時から始まるとされていたが、当日午前、午後2時からに変更。地下鉄の金鐘(アドミラルティ)駅には大勢のデモ参加者が地下鉄を待っていた。しかし、駅にくる車両はことごとく満員で、なかなか進まない。

臨時列車が登場し歓声が起こった

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なかなか地下鉄に乗れなかったが、早く移送した方が安全と判断したのか、アドミラルティ駅を始発とする臨時列車が突然やってきて、駅で長時間待たされていたデモ参加者たちから喜びの大歓声。ようやく地下鉄に乗り込んでいった。

デモの開始時刻に大雨が降り始める

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デモの集合地点であるビクトリアパークに向かうため、最寄りの天后駅に行こうと思ったが、止まらずに通過するとのことだったので、手前の銅鑼湾(コーズウェイベイ)駅でデモ参加者たちは降りていった。ところが、降りるとなんと大雨が降り始めていた。しばらくすると小降りに変わり、デモ会場のビクトリアパークに向かう者もいれば、すでに始まっていた行進に合流する者もいた。

道を埋め尽くした雨傘

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ビクトリアパークへは行かずに、デモ行進の方へいくと圧巻の光景が広がっていた。雨にもめげず、大勢の人たちが傘を指して、中環(セントラル)方面に向かって歩いていた。

雨の中を電動車椅子で参加する人も

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デモの隊列の中には、電動車椅子に乗っている参加者がいた。

デモを彩る音楽隊

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少し離れたところから、チンドン屋のような音楽が聞こえてきた。見にいってみると、何人かで太鼓や鈴などをリズム良く鳴らしていた。なんとなく祭りっぽいメロディーで、デモ隊の気分を和ませていたかもしれない。

歩道橋の壁一面にメッセージカード

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道の上を横切る歩道橋の壁には、メッセージカードが貼り尽くされていた。

日本語のメッセージも

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壁に貼られているメッセージカードを見てみると、英語や日本語で香港を応援するメッセージも貼られていた。

アメリカ国旗とセブンイレブンの傘

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午後7時ころ、デモ行進の終着点である中環(セントラル)に行くと、参加者たちはすでに帰路につき始めていた。その中に、アメリカ国旗を持っている若者がいた。ちなみに、香港のデモではセブンイレブンのロゴを入った傘をよく見かける、というか目立つ。日本のセブンイレブンでは売っていないが、香港では売っているそうだ。デモ参加者が教えてくれた。

終着点であっさりとデモが終了

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中環がデモの終着点だったが、多くの参加者があっさりと帰路についていた。

捨てられたレインコートがゴミ箱に入りきらない

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地下鉄の駅のゴミ箱にはデモ参加者が使ったレインコートが捨てられ、入りきらずあふれていた。

無事平穏に終わったデモ

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デモ隊の一部が金鐘(アドミラルティ)駅にとどまり、警察との衝突が危惧されたが深夜0時ころに無事平穏に解散。

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中環まで進んだデモは大半が離れていったが、デモの行路途中の金鐘(アドミラルティ)駅に、デモ隊の一部がとどまった。香港警察との衝突が危惧されたが、深夜0時ころに無事平穏に解散。現場を取材する記者から「(6月に)デモが始まってから催涙弾が飛ばない初めての週末」と安堵の声がとんだ。

デモに参加し、ビクトリアパークから金鐘まで行進した大学生カイさん(21)は、住んでいる香港の北部・新界からバスで1時間かけてビクトリアパークまで来た。

「6月にデモが始まって以来、政府は一切話し合いに応じません。あげくに警察はデモ隊に暴力をふるったり、交流したり。そして、7月下旬には元朗エリアで地元暴力団がデモ参加者を殴る事件も発生しました。ついには8月11日にデモ参加者女性が、警察が撃った弾で目を負傷する事態も起こりました。

私が参加したのは一連のことに対して、抗議するためです」

抗議の意を示しつつも、カイさんに限らず、基本的に参加者たちは皆一様に穏やかで、緊迫感はなかった。ちょっと散歩がてらにというわけではないだろうが、「ちょっとだけ参加して、この後、友達と晩ご飯食べに行くよ」とカジュアルな感覚で参加する人もいた。

1週間前に香港国際空港でデモ隊と警察が激しい衝突が起こり、緊張感が残っているように思えただけに、拍子抜けするほど平和的なデモだった。

ただ、何も解決はしていない。解決するのか、落としどころがあるのかもわからないのは変わらない。それでも香港のデモは今後も続いていく。

(文、写真・吉田博史)

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