写真で見る、火災で荒廃したアマゾンの現実

アマゾンの熱帯雨林が記録的な速さで燃えている。2018年には約4万回の火災が発生したが、2019年はすでに7万4000回以上発生している。

アマゾンの熱帯雨林が記録的な速さで燃えている。2018年には約4万回の火災が発生したが、2019年はすでに7万4000回以上発生している。

Bruno Kelly/Reuters

激しい火災がアマゾン各地を襲い、熱帯の草木を焼き尽くしている。

2019年の現時点までに、ブラジルでは7万4000回以上の火災の発生が記録されている。これは2018年に発生したすべての火災件数4万回の2倍近くとなる。2018年の同時期と比較すると83%の急増となっていると、ブラジル国立宇宙研究所が報告した。

世界最大の熱帯雨林であるアマゾンは、地球の二酸化炭素レベルを制御する上で重要な役割を果たしている。植物は光合成の過程で二酸化炭素を取り込み、酸素を空気中に放出する。これが面積約210万平方マイル(約544万平方キロメートル)のアマゾンが「地球の肺」と呼ばれる所以だ。大気中の酸素の実に20%をアマゾンが供給している。

この夏、アマゾンは火災に見舞われただけではない。7月には東京の2倍の面積に当たる記録的な規模の森林破壊が発生した。

アマゾンであまりにも多くの森林が消滅すると、「ダイバック(dieback)」という現象が発生し、サバンナのような植生になってしまう。その過程では、1400億トンの二酸化炭素が大気中に放出されることになる。

森林火災によるアマゾンの壊滅的状況を、写真で紹介しよう。

2019年8月13日以降のすべての火災をマッピングするとこうなる。

2019年8月13日以降のすべての火災をマッピングするとこうなる。

Courtesy of Global Forest Watch


NASAの人工衛星がアマゾン西部で燃え盛る火災の様子を捉えた。

NASAの人工衛星がアマゾン西部で燃え盛る火災の様子を捉えた。

NASA


ロイターによると、熱帯雨林の一部ではバーベキューのような匂いがするという。

ブラジル、ウマイタ近郊のアマゾンの熱帯雨林。2019年8月17日。

ブラジル、ウマイタ近郊のアマゾンの熱帯雨林。2019年8月17日。

Ueslei Marcelino/Reuters

出典:Queimadas,Reuters

農民が家畜用の牧草地や農地を確保するために森林を焼き払うことがあり、その火災は森林破壊に直結している。

ウマイタ近郊のアマゾンの熱帯雨林。2019年8月14日。

ウマイタ近郊のアマゾンの熱帯雨林。2019年8月14日。

Ueslei Marcelino/Reuters



7月、アマゾン熱帯雨林は約1345平方キロメートル減少した。これは1ヵ月で失った森林面積の新記録となった。

ウマイタ近郊のアマゾンの熱帯雨林。2019年8月14日。

ウマイタ近郊のアマゾンの熱帯雨林。2019年8月14日。

Ueslei Marcelino/Reuters


それはニューヨークの2倍の面積にあたる。

火災による煙がくすぶるアマゾンの熱帯雨林。ポルト・ヴェーリョ近郊。2019年8月21日。

火災による煙がくすぶるアマゾンの熱帯雨林。ポルト・ヴェーリョ近郊。2019年8月21日。

Ueslei Marcelino/Reuters


ブラジルの人工衛星のデータによると、7月には毎分サッカー場3つ分の森林が失われた。

マクサー・テクノロジーズの人工衛星が、ポルト・ヴェーリョ南西で発生した火災の様子を捉えた。

マクサー・テクノロジーズの人工衛星が、ポルト・ヴェーリョ南西で発生した火災の様子を捉えた。

Maxar Technologies/AP

出典:Terra Brasilis

アマゾンでは乾季の間、稲妻などの自然現象も火災の原因となる。

煙がくすぶるアマゾンの熱帯雨林。ポルト・ヴェーリョ近郊。2019年8月21日。

煙がくすぶるアマゾンの熱帯雨林。ポルト・ヴェーリョ近郊。2019年8月21日。

Ueslei Marcelino/Reuters


通常、乾季は7月から10月で、9月下旬がそのピーク。乾季以外の湿気のある時期には、火災発生のリスクが小さくなる。

林業従事者や農家によってもアマゾンのジャングルは焼き払われていく。アマゾナス州イランドゥーバ。2019年8月20日。

林業従事者や農家によってもアマゾンのジャングルは焼き払われていく。アマゾナス州イランドゥーバ。2019年8月20日。

REUTERS/Bruno Kelly


だが気候変動による気温上昇と乾燥が進んだ状態では、自然発生した火災、人為的な火災のいずれも、容易に制御不能となってしまう。

火災の煙がくすぶるアマゾン熱帯雨林。ポルト・ヴェーリョ近郊。2019年8月21日。

火災の煙がくすぶるアマゾン熱帯雨林。ポルト・ヴェーリョ近郊。2019年8月21日。

Ueslei Marcelino/Reuters


この過剰な高温と乾燥により、炎は通常よりも激しく燃え広がる。

火災からの煙がくすぶるアマゾン熱帯雨林。ポルト・ヴェーリョ近郊。2019年8月21日。

火災からの煙がくすぶるアマゾン熱帯雨林。ポルト・ヴェーリョ近郊。2019年8月21日。

Ueslei Marcelino/Reuters


今回の火災の煙は約310万平方キロメートルにわたって広がったと推定されている。

アメリカ海洋大気庁(NOAA)が公開した人工衛星画像。アマゾン西部の森林火災の様子を示している。2019年8月12日。

アメリカ海洋大気庁(NOAA)が公開した人工衛星画像。アマゾン西部の森林火災の様子を示している。2019年8月12日。

NOAA


8月18日までに、火災による煙はブラジル西部のアマゾナス州から隣接するパラー州とマットグロッソ州を横切り、約3200キロメートル以上離れたサンパウロの太陽さえ隠してしまった。

3200キロメートル以上離れたアマゾンで発生した火災の煙でサンパウロの空が暗くなった。2019年8月19日。

3200キロメートル以上離れたアマゾンで発生した火災の煙でサンパウロの空が暗くなった。2019年8月19日。

Andre Lucas/Getty


アマゾンの熱帯雨林は大気中の酸素の20%を供給しており、アマゾンは地球の命を支えているといえる。

ウマイタ近郊の熱帯雨林の火災。2019年8月17日。

ウマイタ近郊の熱帯雨林の火災。2019年8月17日。

Ueslei Marcelino/ReutersUeslei Marcelino/Reuters

出典:BBC

熱帯雨林での火事と伐採が増え、限界を超えると、完全かつ不可逆的な森林の消滅につながるだろう。

煙で覆われる火災現場。ポルト・ヴェーリョ近郊。2019年8月21日。

煙で覆われる火災現場。ポルト・ヴェーリョ近郊。2019年8月21日。

Ueslei Marcelino/Reuters


「ダイバック」が発生した場合、アマゾンの熱帯雨林はアフリカのサバンナのような植生に変化するだろう。

ノーヴォ・プログレッソ近郊の森林伐採が進んだエリア。ブラジル北部のパラー州。2019年8月15日。

ノーヴォ・プログレッソ近郊の森林伐採が進んだエリア。ブラジル北部のパラー州。2019年8月15日。

AP Photo/Andre Penner


もちろん、それはアマゾンの動植物に災いをもたらし、森林に貯留されていた1400億トンの二酸化炭素の放出にもつながる。

2014年11月17日に撮影されたこの写真は、アマゾンの牧場における土地利用の4段階の姿を示している。焼き払われたばかりの土地(下)、牧草が生えて牛を迎える用意の整った土地(右)、焼いている最中で煙があがる土地(上)、いずれ焼き払われ、牧草地となる熱帯雨林(左)。

2014年11月17日に撮影されたこの写真は、アマゾンの牧場における土地利用の4段階の姿を示している。焼き払われたばかりの土地(下)、牧草が生えて牛を迎える用意の整った土地(右)、焼いている最中で煙があがる土地(上)、いずれ焼き払われ、牧草地となる熱帯雨林(左)。

Ricardo Funari/Getty


そして放出された二酸化炭素は、温暖化をさらに推し進める。一旦「ダイバック」が始まると「その後の人間の介入や後悔は何の役にも立たない」とThe Interceptは述べている。

伐採者や農家によってもアマゾンのジャングルは焼き払われていく。アマゾナス州ノボ・アイロン。2019年8月21日。

伐採者や農家によってもアマゾンのジャングルは焼き払われていく。アマゾナス州ノボ・アイロン。2019年8月21日。

Bruno Kelly/Reuters

出典:The Intercept

ブラジルはアマゾンの大部分を管理している。だがジャイール・ボルソナーロ(Jair Bolsonaro)大統領は、熱帯雨林の保全は最優先事項ではないと述べた。

ブラジリアのプラナルト宮で会見を行うジャイール・ボルソナーロ大統領。2019年8月20日。

ブラジリアのプラナルト宮で会見を行うジャイール・ボルソナーロ大統領。2019年8月20日。

Adriano Machado/Reuters

出典:Business Insider

ボルソナーロ大統領は、アマゾンでのハイウェイや水力発電ダムの建設といった開発プロジェクトを支援している。

ポルト・ヴェーリョ近郊にあるサミュエル水力発電ダム。2019年8月21日。

ポルト・ヴェーリョ近郊にあるサミュエル水力発電ダム。2019年8月21日。

Ueslei Marcelino/Reuters


ボルソナーロ政権は、違法に伐採された木材の押収にも消極的。2018年、ブラジル政府は約2万5000立方メートルの違法な木材を押収したが、2019年5月15日時点でボルソナーロ政権が押収したのはわずか約40立方メートルだ、とPacific Standardが報じた。

パラー州ビゼウの熱帯雨林から違法に伐採された木材の上を歩く警察官。2013年9月26日。

パラー州ビゼウの熱帯雨林から違法に伐採された木材の上を歩く警察官。2013年9月26日。

Ricardo Morales/Reuters

出典:Pacific Standard

2019年の1月から5月にかけて、ボルソナーロ政権は違法な森林伐採と採鉱に対する罰金処分件数を減らし(前年の同時期の34%減)、熱帯雨林での違法行為のモニタリングの頻度も減らした。

伐採者や農民によって焼き払われるジャングルで働く男性。アマゾナス州イランドゥーバ。

伐採者や農民によって焼き払われるジャングルで働く男性。アマゾナス州イランドゥーバ。

Bruno Kelly / Reuters


ボルソナーロ大統領は、ロイターから記録的森林火災についてコメントを求められ、毎年この時期には農家が意図的に火を放ち、土地を切り拓く ―― つまり季節的なサイクルとしての「焼き畑」を行っていると指摘した。また、非政府組織が彼の評価を貶めるために火を放ったとも述べている――ただし証拠はない。その後、ボルソナーロ大統領は支援要請に応じ、軍に対し消火任務を命令した。

アマゾンのジャングルは焼き払われていく。アマゾナス州ノボ・アイロン。2019年8月21日。

アマゾンのジャングルは焼き払われていく。アマゾナス州ノボ・アイロン。2019年8月21日。

Bruno Kelly/Reuters

出典:Reuters


[原文:Striking photos show the devastation wreaked by record-breaking fires in the Amazon rainforest

(翻訳:仲田文子、編集:井上俊彦)

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