火災が起きているアマゾン川流域を捉えたNASAの衛星画像。2019年8月21日。
Maxar Technologies
- 「地球の肺」が記録的な火災に見舞われている。2018年に約4万回だった火災が、2019年はすでに7万4000回以上起きている。
- 過去数週間で約1万回の火災が発生した。
- これらの火災のいくつかは、農業や林業のためにアマゾンの土地を利用としている人間が原因だ。
- 一度火災が起こると、気候変動による高温と乾燥で、火は大きく燃え広がる。
- 衛星画像で、火災の位置と規模を見てみよう。
ここ数週間、アマゾンの熱帯雨林では非常に多くの火災が発生し、熱帯雨林とそこに生息する動植物が被害を受けている。
8月15日以降、ブラジル全土、主にアマゾン流域で9500件以上の火災が発生した。炎と、それによる煙の雲が宇宙からも見える。上のNASAの衛星画像は、この煙がどれだけ移動したかを示している。
世界資源研究所(the World Resources Institute)が支援する、衛星によるデータで森林と森林火災を監視するグローバル・フォレスト・ウオッチ(Global Forest Watch)は8月13日から22日の間にブラジルで10万9000回を超える火災警報が発令されたと報告した。
2019年8月13日以降に起こったすべての火災を示した地図。
Courtesy of Global Forest Watch
今年は記録的な数の火災がブラジルで起きている
2019年は、2013年に研究者が記録を取り始めて以来、ブラジルで起きた火災の数が最も多い年だ。そしてまだ4カ月も残っている。
これまでに7万4000件以上の火災を記録しており、これは2018年の約4万件ほぼ2倍である。ブラジルの国立宇宙研究所によると、2018年の同時期に比べて83%増加したことになるという。
ブラジル最大の州であるアマゾナス州は、8月19日に非常事態を宣言した。
ブラジルのポルト・ヴェーリョ付近で燃えている3つの火災の衛生画像。2019年8月15日。
Maxar Technologies
アマゾンの火災による煙は3200km以上離れたサンパウロの太陽さえ隠してしまった。
火災は幅120万平方マイルと推定される煙の層を作成しました。 欧州連合のコペルニクス衛星からのこの画像は、ブラジルを通って南北に煙がスライスされていることを示しています。
煙の覆った面積は300万平方キロメートルと推定される。 欧州連合のコペルニクス衛星からの画像では、ブラジルを煙が横断しているのがわかる。
欧州連合の衛星による画像は、ブラジルと他の国々に広がるアマゾンの火災による煙を示している。
European Centre for Medium-Range Weather Forecasts
伐採が世界最大の熱帯雨林に災いをもたらす
カーディアンの報道によると、7月の1カ月でアマゾンの森林は1345平方キロメートル縮小した。これはマンハッタンの約23倍の広さだ。ブラジルの衛星データによると毎分サッカー場3つ分のアマゾンの木が伐採されている。
アマゾン西部の熱帯雨林の火災。アメリカ海洋大気庁(NOAA)の衛星画像。2019年8月12日。
NOAA
森林破壊はアマゾンの火事と直結している。農家が家畜の放牧地や農地を開拓するために森林を焼き払うこともある。そして、このような意図的な炎が制御不能になることも。
気候変動による温暖化が進み、乾季に発生する火災は、通常よりも大きくなる可能性がある。地球温暖化は世界中で山火事の可能性と頻度を増加させている。
気候変動による温暖化が進み、乾季に発生する火災は、通常よりも大きくなる可能性がある。地球温暖化は世界中で山火事が起こる可能性とその発生頻度を増加させている。
ブラジルのポルト・ヴェーリョの火災のクローズアップ。2019年8月15日。
Maxar Technologies/AP
The Interceptによると、ブラジルでは過去50年間にアマゾン熱帯雨林の約20%、約78万平方キロメートルが伐採された。
さらに20%が消滅すると、「ダイバック(dieback)」と呼ばれる、熱帯雨林がアフリカのサバンナのような風景に変わるフィードバックが引き起こされる。そうなると、熱帯雨林とそれらが育む動物は死滅し、森に貯蔵された炭素の最大1400億トンが大気中に放出され、温室効果でさらに気温が上昇する。
一旦「ダイバック」が始まると「その後の人間の介入や後悔は何の役にも立たない」とThe Interceptは述べている。
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)