Associated Press
- アメリカのトランプ大統領は、アメリカに被害をもたらすハリケーンを止めるため、核爆弾を落とすよう提言したという。
- アクシオス(Axios)によると、トランプ大統領がこのアイデアを披露したのは、ホワイトハウスで行われたハリケーンに関するブリーフィングの最中だった。「(ハリケーンは)アフリカ沖で発生し、大西洋を移動してくるのだから、ハリケーンの目に爆弾を投下して、破壊すればいい。どうしてそうできないんだ? 」などと発言したという。
- 報道によると、同席していた人々は衝撃を受け、「なんてことだ! これをどうするんだ? 」と思ったという。
トランプ大統領は、アメリカに被害をもたらすハリケーンを止めるため、核爆弾を落とすよう提言したという。アクシオスが8月25日(現地時間)に報じた。
報道によると、トランプ大統領はこのアイデアを複数回、国土安全保障省の高官やその他の国家安全保障に関わるスタッフに 示しているという。
ホワイトハウスで行われたハリケーンに関するブリーフィングに同席したある関係者は、トランプ大統領が「分かった分かった。どうして核爆弾で破壊しないんだ? (ハリケーンは)アフリカ沖で発生し、大西洋を移動してくるのだから、ハリケーンの目に爆弾を投下して、破壊すればいい。どうしてそうできないんだ? 」と発言したと、アクシオスに語った。
ハリケーンについて大統領にブリーフィングをした人物は、「検討します」と答えたという。
だが、この関係者によると、トランプ大統領は自身のアイデアを繰り返したと言い、同席していた人々は衝撃を受け、「なんてことだ! これをどうするんだ? 」と思ったという。
自然災害への対応で批判を浴びたトランプ大統領
ハリケーンによって橋が流されたあと、川を歩いて渡ろうとする家族(2017年9月27日、プエルトリコ)。
Gerald Herbert/AP
トランプ大統領は過去にも、自然災害への対応で厳しい批判を浴びてきた。中でも、2017年9月に米自治領プエルトリコがハリケーン「マリア」に襲われた際の対応は反発を招いた。
この嵐で3000人近くが命を落とし、多くの送電線が今も復旧中だ。
2017年にこの島を訪れたトランプ大統領は、ハリケーンはそれほどの「大災害」ではなかったと発言した。
さらに大統領は地元住民に対し、「言いにくいことだが、プエルトリコは我々の予算を少し無駄にした。我々はこれまでプエルトリコに多くのお金を使ってきたからだ。だが、構わない。多くの命を我々は救った」と語った。
ハリケーン「マリア」への対応をめぐって大きな批判にさらされたトランプ政権は、ハリケーン・シーズンに向けた準備を強化してきたと言われている。
USAトゥデイによると、政権は州への支援を拡大し、追加物資を提供、有事に備えた訓練を実施している。
こうした追加策は、過去に自然災害によって大きな被害を受けた地域で再び被害が出るかもしれないとの認識に基づくものだ。
国土安全保障問題の顧問を務めるダグ・フィアース(Doug Fears)氏は、「ハリケーンが今年アメリカに上陸すれば、復興中の地域が再び打撃を受ける可能性がある」とUSAトゥデイに語った。フィアース氏は「つまり、それはより脆弱なコミュニティーだということだ。元の状態に戻るもしくは強化するのに必要な対策が済んでいないのだから」という。
ハリケーンへの核爆弾の投下は、新しいアイデアではない
ハリケーンの目。
NOAA/NASA Goddard Rapid Response Team
ある政府高官は"ハリケーンに核爆弾を"とのトランプ大統領の提言について、大統領の目標は「悪くない」とアクシオスに語った。「彼の目標 —— 壊滅的なハリケーンがアメリカを襲うのを阻止する —— は悪くない」
そして、このアイデアが提言されるのも今回が初めてではない。アイゼンハワー大統領の時代にある科学者が提案している。ただ、専門家らはこの案は機能しないとの意見で一致している。
ナショナルジオグラフィックは2016年の記事で、物理学者ロバート・ネルソン(Robert Nelson)氏がこの案を「狂気」と呼んだだけでなく、そもそもアメリカと旧ソ連が署名した平和目的核実験制限条約の下で、こうした動きは禁止されていると説明している。
アメリカ海洋大気庁も、このアプローチは「機能しない」とするファクトシートをオンラインで公表していて、その放射性降下物は環境に壊滅的な打撃を与えるだろうとしている。
「言うまでもなく、良いアイデアではない」と述べている。
[原文:Trump reportedly suggested using nuclear bombs to stop hurricanes from striking the US]
(翻訳、編集:山口佳美)