世界大会で活躍する競技用ドローン。停まった状態から1秒で時速100kmまで加速可能で、最高速度は時速150km。
撮影:小林優多郎
日本で初めて国際航空連盟(以下、FAI)公認のドローンレースが11月に開幕する。
「Drone Tokyo 2019 Racing & Conference」は11月1日に予選、2日に決勝が行われる。会場は東京ビッグサイトで、10月24日から11月4日に行われる「第46回東京モーターショー2019」の併設イベントとして実施される。
Drone Tokyo 2019 Racing & Conferenceの事前発表会では、小型のドローンを使ったデモレースが行われた。レーサーは写真の通り、ゴーグルを付けて一人称視点(FPV、First Person View)でドローンを操作する。選手は左から上関風雅選手、白石麻衣選手、中尾侑資選手。
ドローンレースの競技人口について、競技委員長を務める菅木紀代一氏は「(FAIの基準に沿ったものでは)世界で約100万人。日本でも約2000人。国内でも小さい規模(の参加者)を含めればもっと多い」と増加傾向にある旨を話している。
デモレースの一場面。会場内に置かれた輪の中を指定された順番でくぐりながら、順位を競う。
運営委員会は、来場者数の多い東京モーターショーという場(2017年開催の第45回の累計来場者数は77万1200人)で、FAI公認(予定)の国際試合を開催することで、ドローンレースやドローン自体の認知向上を目指す。
車同様、レースでドローンの技術とルール作りを加速
Drone Fundがまとめたドローンやエアモビリティに関わる国内状況のまとめ。
ドローンを取り巻く環境はここ数年で大きく変わってきている。その1つの大きな要因は、行政からの期待感が明確化されつつある点だ。
大会実行委員会副委員長をつとめDrone Fundの創業者でもある千葉功太郎氏は、大会の事前発表会の場で、6月21日に閣議決定された「成長戦略実行計画」で“有人地帯での目視外飛行(レベル4)の目標時期を2022年度目途”と明記されている点に触れ、「(ドローンや空飛ぶ車について)世界でも政府がここまで明言しているのは珍しい。日本は遅れてはいない」と機運の高まりを指摘した。
大会副委員長を務める千葉功太郎氏。
また、千葉氏は「車の業界と同じく、モータースポーツが(新しいモビリティーの社会実装に)寄与する。ドローンは今、黎明期から普及期に移行しているところ。(レースが開催されれば)技術とレギュレーションが磨かれていき、さまざまなスポンサーやメーカーが入ってくる」と今回の世界大会をきっかけとして、ドローンやエアモビリティー業界全体の活性化を目指していると語った。
A.L.I. Technologiesが開発するホバーバイクの模型。東京モーターショーではデザインなども刷新された“最新版”がお披露目される予定。
8月26日午後9時から詳細な大会レギュレーションの公表と、参加選手の募集を開始。また、優勝賞金などについては調整中とのことだが、運営委員会の一員であるA.L.I. Technologies会長の小松周平氏は「(国際的な)本レースに見合ったものを考えている」と話している。
(文、撮影・小林優多郎)