傘を使って身を隠すデモ参加者(2019年8月24日、香港)。
Thomas Peter / REUTERS
- 香港のデモ参加者は週末の抗議活動の際、街中に設置された「スマート街灯」を攻撃した。これらの街灯が、デモ参加者をスパイするために使われていると懸念しているからだ。
- 6月から導入されているスマート街灯は、WiFiネットワークを提供するほか、監視カメラや大気汚染をチェックするセンサーを搭載している。香港政府は、こうした街灯には顔認識技術は備わっていないとしている。
香港の民主化デモは、週末の激しい抗議活動を街中に設置された「スマート街灯」への攻撃で締めくくった。香港の人々は、中国政府が彼らをスパイするためにこれらの街灯を使っていると懸念している。
6月に最初の50本が設置されたスマート街灯は、香港のスマートシティ・イニシアチブの一環で、ゴミの不法投棄や、車のナンバープレートを含む交通データを監視するセンサーや監視カメラを搭載している。サウス・チャイナ・モーニング・ポストが7月に報じた。
WiFiネットワークも提供するこれらの街灯に対し、香港のデモ参加者たちは、中国政府が抗議活動の監視に使っているのではないかと懸念している。
香港政府は、街灯には顔認識技術は備わっておらず、中国政府を含む第三者にデータが共有されることはないとしている。
しかし、デモが3カ月続く中、政府の信用は低く、デモ参加者は街灯の撤去を求めている。中には街灯を攻撃したり、徹底的に破壊する者もいる。
現在、50本が設置済みのスマート街灯は当初、最終的に400本まで増やす計画だった。ところが、香港フリープレスが報道したように、街灯の部品を提供する「TickTack Technology Limited」は、従業員が脅迫を受けたとし、香港政府への協力を止めると述べた。
同社は、中国政府とは無関係だと強調したが、デモ参加者はスマート街灯が中国本土の企業「Shanghai Sensi」とつながっているのではないかと警戒している。Shanghai Sensiは、街灯の照明システムを提供する企業の1つだ。
「ここ数カ月にわたる社会的な対立が、一部のテクノロジーに対する人々の警戒と不信を招いたことを我々は理解している」と、TickTack Technologyは声明文の中で述べた。また、香港フリープレスの報道によると、同社は今回の決断が人々の不安を鎮め、デモ参加者と政府の間の緊張緩和に役立つことを願うと述べているという。
中国政府は、顔認識といった技術を使って、国民を監視していることで知られる。中でも、少数民族のウイグル族に対する監視はひどい。中国政府は新疆ウイグル自治区でウイグル族を対象としたバーチャルな警察国家を作り、再教育施設に送るウイグル族を特定したり、施設を出たあとの行動を監視するなどしている。
[原文:Hong Kong protesters destroyed 'smart' lampposts because they fear China is spying on them]
(翻訳、編集:山口佳美)