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ロシアのミサイル爆発事故「間違いなく原子炉が関係している」新たな証拠発見で専門家が指摘

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8月8日、ロシアのニョノクサ実験場にある弾薬庫が爆発した。撮影された動画からのキャプチャー。

REUTERS/Dmitry Dub

・ロシア気象庁は8月26日、同月8日以降に観測された雲状の放射性ガスが、ニョノクサ実験場で起きた爆発事故の際に放出された(短半減期の)放射性同位体によるものだったと発表した。

・ロシア政府は、爆発がミサイル実験の失敗によるものと説明しており、気象庁の見解とは矛盾している

・ノルウェーの核研究専門家は、検出された放射性同位体(ストロンチウム、バリウム、ランタン)は「核分裂の連鎖反応」に由来し、「原子炉の爆発」の証拠であると話している。

・アメリカの専門家や情報機関は、爆発を引き起こした実験には、北大西洋条約機構(NATO)では「SSC-X-9 スカイフォール」というコードネームで呼ばれる核巡航ミサイル「9M730ブレベストニク」が含まれるとみている。

ロシア気象庁によると、8月前半にロシアの実験場で起きた謎の爆発は、さまざまの放射性同位体を放出し、それらは放射性ガスの雲となって近隣都市の上空を通過したという。

専門家たちはこの雲が観測されたことで、爆発にまつわる虚偽の説明は一掃されるとみている。

ニョノクサ実験場で8月8日に放出された放射性同位体は、ストロンチウム91、バリウム139、バリウム140、ランタン140の4種類で、半減期は短いもので83分、長いものでも12.8日。ロシア連邦気象環境監視局が採取したサンプルから検出された。

核・ミサイル拡散の専門家として知られるジョシュア・ポラックは、Business Insiderの取材にこう答えている。

「こうした放射性同位体は核分裂の産物だ。もし今回の爆発事故に原子炉が関係しているのかどうか、疑っている人がまだいるとすれば、気象環境監視局の発表はその疑念を吹き飛ばすものと言える」

原子力関連の独立系ニュースサイト「アトムインフォ」の編集者アレクサンドル・ウバロフは、ロシアのノーボスチ通信(AFP配信)に対し、これらの放射性同位体の組み合わせから考えて、ウラン235が含まれる核分裂の産物であると指摘している。

また、ノルウェーの原子力安全の専門家ニルス・ボーマーはバレンツ・オブザーバー紙の取材に対し、こう語っている。

「バリウムやストロンチウムのように、『壊変(原子核の崩壊)』の結果生まれる放射性同位体の存在は、その前段で核分裂の連鎖反応が起きたことを示している。それは言い換えれば、原子炉が爆発した証拠ということだ」

さらに、アメリカの科学者団体「憂慮する科学者同盟」の上級研究員エドウィン・ライマンは、英ガーディアン紙の取材に対し、核分裂の産物が検出されたことは、原子炉の反応器が開放されたことを意味すると指摘。

「ストロンチウム91、バリウム139、バリウム140といった核分裂の産物が検出されたとの報告により、ニョノクサ実験場での爆発に原子炉の核心部が関係していることは、もはや間違いない明白な事実となった」

ライマンは自らのツイッターで「どんな仕様の反応器が関係していたのかについては、もっと情報がないと何とも言えない」とも書いている。

ロシア政府の説明は二転三転

プーチン大統領 ロシア

8月23日、モスクワで開催されたロシアの安全保障会議に出席したプーチン大統領。

Sputnik/Alexey Nikolsky/Kremlin via REUTERS

ロシア政府は爆発事故の詳細を明らかにしていない。少なくとも5人、最大で7人が死亡し、ロシア北西部にあるアルハンゲリスク州セベロドビンスクで放射線量が上昇したことは発表したものの、説明が二転三転している状況だ。

爆発発生後の事故とそのリスクに関するロシア政府の説明はきわめて疑わしい。同国内の放射線監視施設は事故後にデータ送信を停止したとされるが、原因はいまだに不明。治療にあたっている医師たちは秘密保持契約を強要され、入院記録は廃棄されたという。

また、医師の1人は筋細胞から放射性同位体(セシウム137)が検出されているが、ロシア政府は医師が食べたものに含まれていたと説明している。

ロシア当局は「放射性同位体を含む液体推進システムの実験中に」事故が起きたと主張(しかもその前に、ロシアの国営メディアがロケットエンジンの爆発と報じていた)するが、前出のニルス・ボーマーは、その種の実験では短半減期の放射性同位体は生じないと指摘している。

ロシアの国営原子力機関ロスアトムは事故発生直後、ロシアは新兵器の開発に取り組んでいたと発表。しかし、詳細は明らかにせず、惨事はしばしば「新たなテクノロジーを試そうとするときに起きる」とコメントしていた。

にもかかわらず、クレムリンの報道官は8月中旬も過ぎてから、ロシアが「核推進ミサイル」の実験を行っていたと米ワシントンポスト紙の取材に答えている。

アメリカの専門家や情報機関は北大西洋条約機構(NATO)では「SSC-X-9 スカイフォール」というコードネームで呼ばれる核巡航ミサイル「9M730ブレベストニク」が含まれるとみている。トランプ大統領はもう一歩踏み込んで、「スカイフォールが爆発した」とツイートしている。

[原文:New details on Russia's mysterious missile disaster suggest a nuclear reactor blew up

(翻訳、編集:川村力)

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