写真で見るハリケーンの脅威

2017年に発生したハリケーン・イルマが、東カリブ海に向けて猛烈な速さで進む。

2017年に発生したハリケーン・イルマが、東カリブ海に向けて猛烈な速さで進む。

NOAA

  • ハリケーンの強さを示すカテゴリーは風速によって決まる。雨、高潮、洪水による被害は考慮されていない。
  • カテゴリー1のハリケーンや熱帯暴風雨でも、上陸すると市民生活に壊滅的な被害を与え、停電、建物の倒壊、倒木が発生し、復旧に長い期間を要することがある。
  • これまでのハリケーンの忘れがたい写真を例に、カテゴリーの違いを見てみよう。

イルマハービーはタイプが異なるハリケーンだ。

2017年、ハービーの記録的降雨はテキサス州南部とルイジアナ州西部を襲い、ヒューストンを約120cm以上浸水させた。一方、カリブ諸島を飲み込んだイルマは猛烈な風で建物、木、電線をなぎ倒した。

ハービーは、ピーク時にサファ・シンプソン・スケールでカテゴリー4だったが、上陸した翌日には風が弱まり、熱帯暴風雨に変わっていた。イルマはモンスター級のカテゴリー5で、大西洋ハリケーンの記録史上、最も強烈なハリケーンのひとつとなった。両者はカテゴリー上は正反対に位置しているが、いずれも広範囲にわたって壊滅的被害をもたらした。

ルイジアナ州立大学のハリケーン研究者、ハル・ニーダム(Hal Needham)氏は、2017年に気象情報サイトWXshiftで、ハリケーンがもたらす被害はカテゴリーだけで説明できるものではないと解説した。

「ハリケーンと熱帯暴風雨は、風、雨、高潮という3つの危険をもたらす」と同氏は記している。「影響を別々に考えてほしい。風の弱い暴風雨はゆっくりと進み、多くの雨を降らせる傾向がある。カテゴリー5のハリケーンは、カテゴリー1よりも雨量が多いと思われがちだが、実際はその逆であることに驚く人が多い」

ハリケーンが引き起こす可能性のある被害を、詳しく見てみよう。

サファ・シンプソン・ハリケーン・スケールでは、小さい熱帯暴風雨や熱帯低気圧は対象としておらず、最大風速に基づいてカテゴリーが定められている。

59a09a4f79bbfd1d008b5059

Ana Pelisson/Business Insider


熱帯暴風雨は、風速が秒速17mを超えると名前がつけられる。アメリカに上陸する暴風雨のほとんどは熱帯暴風雨で、カテゴリー3以上の「大きな」ハリケーンではない。

1950~2011年にアメリカに上陸したハリケーンを、カテゴリー別に色分けして表示。

1950~2011年にアメリカに上陸したハリケーンを、カテゴリー別に色分けして表示。

NOAA


しかし、「暴風雨は、1つの数値で表すには複雑すぎる」とニーダム氏。ハービーの強風はテキサス州のメキシコ湾岸で広範にわたって被害をもたらしたが、最も壊滅的な被害は、熱帯暴風雨になった後の、テキサス州とルイジアナ州の豪雨で発生した。

洪水に襲われたヒューストン。2017年8月27日。

洪水に襲われたヒューストン。2017年8月27日。

REUTERS/Richard Carson

出典:WXShift

強風は屋根から瓦を引きはがし、電線を切断する。一方、洪水はより広範で、被害額の大きな損害をもたらすことがあり、カテゴリーがどのレベルであろうとも危険なものとなりうる。

ハービーによる洪水で水没した住宅。ヒューストン、2017年8月29日。

ハービーによる洪水で水没した住宅。ヒューストン、2017年8月29日。

AP/David J. Phillip


例えば、ハービーは特に壊滅的な被害をもたらした。ヒューストン地域のほぼ同じ場所に5日間留まったからだ。

例えば、ハービーは特に壊滅的な被害をもたらした。ヒューストン地域のほぼ同じ場所に5日間留まったからだ。

David J. Phillip/AP



カテゴリー1の風速は秒速33~42m(時速74~95マイル)。家屋外部が損傷し、大木の枝は折れ、電線の切断により何日も停電することがある。2008年にテキサスに上陸したドリーは、カテゴリー1だった。

ハリケーン・ドリーは、テキサス州南部の多くのエリアで約90cmあるいはそれ以上の洪水をもたらした。

ハリケーン・ドリーは、テキサス州南部の多くのエリアで約90cmあるいはそれ以上の洪水をもたらした。

Joe Mitchell/Reuters

出典:Insider

カテゴリー2は秒速43~49m(時速96~110マイル)。家屋に深刻な被害を及ぼし、大木が根元から倒れることがある。停電が数週間にわたることもある。2008年にテキサス州を襲ったハリケーン・アイクは、カテゴリー2だった。

2008年にテキサス州を襲ったハリケーン・アイクは、強風で深刻な被害をもたらした。

2008年にテキサス州を襲ったハリケーン・アイクは、強風で深刻な被害をもたらした。

David J. Phillip/REUTERS


カテゴリーによりハリケーンの強さが示されるが、どれだけの被害がもたらされるのか、十分には予測できない。2012年に発生したスーパーストーム・サンディはカテゴリー3に分類されたが、ニューヨークとニュージャージーに上陸したころには熱帯低気圧よりも弱くなっていた。

サンディは100人以上の死者、680億ドル(約7兆2200億円)の損害をもたらした。

サンディは100人以上の死者、680億ドル(約7兆2200億円)の損害をもたらした。

AP


カテゴリー3の風速は秒速50~58m(時速111~129マイル)。だがサンディに関しては高潮、つまり海面の上昇が最悪の被害をもたらした。ニュージャージー州沿岸の一部では2m以上、ニューヨーク周辺では2m近く浸水した。「スーパーストーム」と名付けられたのは、強風域の直径が最大1600kmと非常に大きかったからだ。

ニューヨーク、クイーンズ区、ハリケーン・サンディの上陸中に発生した火災により焼失した住宅と被害を免れた住宅。

ニューヨーク、クイーンズ区、ハリケーン・サンディの上陸中に発生した火災により焼失した住宅と被害を免れた住宅。

Adrees Latif/Reuters


2005年に発生したハリケーン・カトリーナは、アメリカを襲った最も破壊的な暴風雨で、1833人が死亡し、被害額は1080億ドルに上った。だが、ルイジアナ州に上陸した時は最大風速56mで、カテゴリー3だった。

2005年、ニューオーリンズ、ハリケーン・カトリーナの影響で洪水に見舞われた街。沿岸警備隊が被害状況を確認するために上空から撮影。

2005年、ニューオーリンズ、ハリケーン・カトリーナの影響で洪水に見舞われた街。沿岸警備隊が被害状況を確認するために上空から撮影。

Getty Images


カテゴリー4の風速は秒速59~69m(時速130~156マイル)。ほとんどの木が倒れ、停電は数週間、あるいは数カ月におよぶこともある。2004年、フロリダに上陸したハリケーン・チャーリーはカテゴリー4だった。

2004年、ハリケーン・チャーリーがフロリダ州ポート・シャーロットを通過した後には、トレーラーハウスが徹底的に破壊された様子が見られた。

2004年、ハリケーン・チャーリーがフロリダ州ポート・シャーロットを通過した後には、トレーラーハウスが徹底的に破壊された様子が見られた。

J.Pat Carter/AP


2017年、プエルトリコに上陸し、全島を停電させたハリケーン・マリアもカテゴリー4だった。プエルトリコの一部地域では、ハリケーン発生から2年が経過した現在も復興途上にあり、3万戸の住宅が屋根替わりにタープを張っている。

ハリケーン・マリアの直撃後、自宅から出ようとする女性。プエルトリコ、サリナス。2017年9月21日。

ハリケーン・マリアの直撃後、自宅から出ようとする女性。プエルトリコ、サリナス。2017年9月21日。

REUTERS/Carlos Garcia Rawlins

出典:AP,Insider

ハリケーン・アンドリューは、アメリカに上陸した最大のハリケーンの1つ。1992年8月にフロリダ州デイド郡に上陸した時にはカテゴリー5だった。

フロリダ市の給水1992年に発生したハリケーン・アンドリューに直撃された沿岸部の街は壊滅したが、それでも倒れなかったフロリダ市の給水塔。

1992年に発生したハリケーン・アンドリューに直撃された沿岸部の街は壊滅したが、それでも倒れなかったフロリダ市の給水塔。

AP


カテゴリー5のハリケーンは風速70m(時速157マイル)以上。ほとんどの鉄骨住宅を破壊、停電を引き起こし、直撃したエリアを数週間、あるいは数ヶ月も人が住めない状態にする。2017年にバーブーダ島を破壊したハリケーン・イルマは、カテゴリー5だった。

カテゴリー5のハリケーンは風速70m(時速157マイル)以上。ほとんどの鉄骨住宅を破壊、停電を引き起こし、直撃したエリアを数週間、あるいは数ヶ月も人が住めない状態にする。2017年にバーブーダ島を破壊したハリケーン・イルマは、カテゴリー5だった。

ABS News

出典:Business Insider

バーブーダ島の測候所は、風速70mの突風を捉えた後、機能しなくなった。機材が吹き飛ばされたからだ。被害状況は極めて深刻で、通信は一時途絶え、建物の90%が破壊された。

2017年にハリケーン・イルマが甚大な被害を与える前(左)と後(右)の様子。

2017年にハリケーン・イルマが甚大な被害を与える前(左)と後(右)の様子。

NASA Earth Observatory

出典:Business Insider

ハリケーン・イルマは「カテゴリー6」とみなしてもいいほど強大だった。理論的にはサファ・シンプソン・スケールを拡張すると、イルマの風速は秒速78~87m(時速175〜195マイル)でカテゴリー6に相当することになる。結局、フロリダに上陸した頃にはカテゴリー4となり、停電を引き起こして600万人の人々に影響を与えた。

フロリダ州南部にハリケーン・イルマが上陸し、マイアミ中心街ではマイアミ川の水が歩道にまであふれた。

フロリダ州南部にハリケーン・イルマが上陸し、マイアミ中心街ではマイアミ川の水が歩道にまであふれた。

Reuters/Carlos Barria

出典:Business Insider

サファ・シンプソン・スケールを拡張する場合の問題点は、これが風速と被害状況に基づいた指標だということだ。カテゴリー5の被害は、建物とライフラインの破壊。これ以上の損害はないので、理論的にはカテゴリー5以上は考えられない。

ハリケーン・イルマがプエルトリコ北部を通過する中、浸水した無人の車を調べるレスキュー隊員。

ハリケーン・イルマがプエルトリコ北部を通過する中、浸水した無人の車を調べるレスキュー隊員。

AP Photo/Carlos Giusti



暴風雨が、理論上の「カテゴリー6」であれ、単なる熱帯暴風雨であれ、それは人々に与える影響は壊滅的なものとなる可能性がある。

ハリケーン・マリアが通り過ぎ、母親の家の被害状況を見てショックを受ける女性。プエルトリコ、グアヤマ、2017年9月20日。

ハリケーン・マリアが通り過ぎ、母親の家の被害状況を見てショックを受ける女性。プエルトリコ、グアヤマ、2017年9月20日。

REUTERS/Carlos Garcia Rawlins


[原文:Hurricane categories tell only part of the story — here's the real damage storms like Dorian can do

(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)

ソーシャルメディアでも最新のビジネス情報をいち早く配信中

あわせて読みたい

Popular

BUSINESS INSIDER JAPAN PRESS RELEASE - 取材の依頼などはこちらから送付して下さい

広告のお問い合わせ・媒体資料のお申し込み