東京の世界的5G都市化ねらう「東京データハイウェイ」構想発表、元ヤフー社長・宮坂参与が計画策定

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東京データハイウェイ構想を発表した小池百合子・都知事と、元ヤフー社長という経歴で転身した東京都参与の宮坂学氏。宮坂氏は7月1日に着任したばかりだ。

撮影:伊藤有

小池百合子都知事は8月29日、都庁で政策発表会を開き、東京都のICT政策として、民間企業などと連携して5Gを推進する基本戦略「TOKYO Data Highway」構想を発表した。

小池都知事は、1964年の東京五輪の遺産(レガシー)は、自動車、新幹線、地下鉄の「目に見えるハードの道」だったとし、一方の東京2020の五輪では21世紀の基幹インフラであり、東京2020での遺産になりうるのは「電波の道」ではないか、と語った。

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北京での視察から戻ったばかりの小池都知事。

撮影:伊藤有

都ではこれを「TOKYO Data Highway(東京データハイウェイ)」と名付け、今後の国際的な都市間競争に打ち勝つ礎とする考えだ。

東京データハイウェイ構想の策定にあたっては、7月1日に参与に就任した、元ヤフー社長の宮坂学氏が中心となって、着任後に指示を受けた約1カ月あまりで基本戦略を取りまとめた。

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5Gによる経済波及効果は東京五輪そのものを上回るという試算も。

撮影:伊藤有

小池都知事は、

「5Gの経済波及効果は総務省の計算で47兆円前後。東京2020大会の経済波及効果は約32兆円と言われているが、それをはるかに上回る。新しい産業を生み出す、さまざまな効果が期待される」(小池都知事)

と、5G普及を自治体として強く推進していく意気込みをみせた。

都の土地・施設・道路などの資産を5Gに開放していく

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東京データハイウェイ推進のためのプロセスを語る宮坂氏。5G化推進となると、民間時代の肩書きからソフトバンクの名前も浮かぶ。質疑でソフトバンクから声をかけるのかとの質問には、「そこはフラットに考える」と宮坂氏。

小池都知事からバトンタッチされる形で、東京データハイウェイ実現のためのプランを語ったのは宮坂参与。

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東京データハイウェイ構想の3つのアクション。補助金の開設などの資金面の支援は現状、話題にのぼっていない。

撮影:伊藤有

東京データハイウェイの構築にあたっては、具体的に3つのアクションを進めて行く。

真っ先に取り組む具体的アクションには、「都の保有するアセットの開放」をあげた。

「アセット」とは、東京都が保有する施設、公園、道路、バス停、地下鉄出入り口などだ。これは5G向けの「基地局用地の確保」に大手キャリアが苦心しているという現状が念頭にある。

基地局設置にあたっては、これまでも都の資産の活用は可能ではあったものの、キャリア側からの問い合わせがあった場合のみ、応じていた形だった。

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宮坂氏が挙げた、東京都が保有する代表的な資産(アセット)。確かに都内各所に網の目のように張り巡らされたバス停、道路の一部が用地に使えれば、基地局候補地としては有望ではありそうだ。

撮影:伊藤有

また現実問題として、一口に「都の資産」とはいっても場所によって管轄する部署がまったく異なるという実情がある。民間企業である各キャリアからすれば、窓口を探すことから始めなければならず、効率的なアクションができていたとは言い難い。

実際、宮坂参与がヤフー時代から個人的つながりがあるキャリア関係者にヒアリングした際にも、「窓口がバラバラでどこに聞けば良いのかわからない」といった苦労を耳にしたという。

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キャリア側の手間を減らし、貴重なアンテナ用地の場合は「共用化」も推進したい考えだ。

撮影:伊藤有

東京データハイウェイ構想の推進にあたっては、まず基地局用地の相談窓口を一本化(ワンストップ窓口を創設)し、煩雑だった管轄部署への問い合わせや調整を都の内部で飲み込むことで、効率化とスピードアップをはかる。

また、どういった基地局用地があるのかもデータベース化し、提供していく。

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撮影:伊藤有

2つ目は「重点整備エリアの設定」。これは、一度に都下全域の5G整備はできないため、重みつけをして推進するという意味だ。

具体的には、喫緊である「五輪会場とその周辺」の整備だ。ただし、これについては、すでに会場建設が進み開催まで1年を切った状況のため、都としての「動きの遅さ」は否めない。とはいえ、今からでも改善ができることがあるなら、各キャリアにヒアリングのうえ、積極的に進めたいというのが宮坂参与の考えだ。

また、五輪会場周辺以外では、都庁周辺の「西新宿エリア」も重点整備地域として挙がっている。政策誘導がしやすく、利用者が多く、都の所有する土地が比較的多いことがその理由だ。

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西新宿エリアは都庁のお膝元ということもあり、重点整備エリアの1つ。イノベーション推進に欠かせないスタートアップが活発な街にしていきたい、という目論見もあると宮坂氏。

撮影:伊藤有

また3つ目は「その他」だが、東京都立大学の名前もあがっている。

1カ月で取りまとめた戦略のため、各キャリアとのコミュニケーションはまだこれからだ、と宮坂氏。未定な部分は多いものの、この秋にはヒアリングの機会を設けたいという。その後、都として本格的な実施に向け戦略を推進していく考えだ。

(文・伊藤有)

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