マーケス・ブラウンリー
YouTube/MKBHD
- マルケス・ブラウンリー(Marques Brownlee)は、またの名を「MKBHD」という。YouTubeでの登録者数920万人以上という世界有数の人気を誇るテックレビュアーだ。
- ブラウンリーはこのほどロードアイランドのプロビデンスを訪れ、サムスンの5G対応スマートフォン、Galaxy S10 Plusを使って5Gのテストを行った。
- 極めて速いダウンロードスピードに喜ぶ一方、5Gには多くの不安定性があることに気づいたブラウンリーは、このテクノロジーのいくつかの欠点を指摘した。
現在、5G(第5世代移動通信システム)は、さまざまな場所で利用できるようになった。
Verizon、 T-Mobile、AT&Tといったアメリカのキャリアは、新しい5Gネットワークを広めようとしている。5G対応の新たなスマートフォンも続々と登場。サムスンのGalaxy S10 Plus 5G、Galaxy Note 10 Plus 5G、 OnePlus 7 Pro 5G、LGのV50 Thinq、モトローラのMoto Z3、そしてファーウェイのいくつかの機種などが5G対応だ。
5Gはエキサイティング!でもまだ早い。
マーケス・ブラウンリー(Marques Brownlee)が世界有数の人気を誇るテックレビュアーであることには、ちゃんとした理由がある。彼の動画はしっかりと作られており、分かりやすい。そしてしばしば新たなテクノロジーの実環境テストを行い、買う価値があるのか、あるいはスキップした方がいいのか、その理由を解説している。彼は新しい動画で、街に出て実際に5Gのテストを行っており、直接的なアプローチで多くの注目を集める彼の手法がよく分かる内容となっている。
ブラウンリーは、彼が住む場所に最も近い5Gをサポートするエリア、ロードアイランド州のプロビデンスを訪れた。5Gに関して喧伝されていることが実際はどうなのか、また5G対応機器をすぐにでも買う価値があるのかを確かめるためだ。このテストのために、彼は1600ドル(約17万円)で5G対応の真新しいGalaxy S10 Plusを購入。テストの結果は非常に興味深いものだった。ダウンロードスピードは抜群に速かったが、接続性は完璧ではなかった。また、5Gが普及するにあたって解決しなくてはならない物理的な障壁も数多く見つかった。
ブラウンリーは車でロードアイランドのプロビデンスに向かった。ここは大手通信事業者のベライゾン(Verizon)が拡張中の5Gネットワークの中で、彼が住む場所に最も近い。5Gをテストするために、彼はGalaxy S10 Plusを購入した。
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5Gが導入された多くの街と同様に、プロビデンスもまだ十分にカバーされているわけではない。街の中のごく小さなエリアだけで、5Gの基地局が機能している。
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ブラウンリーはブラウン大学の近くで、電柱に5Gの基地局が設置されているのを見つけた。ほとんどのテストをここで行うことにした。
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最初のテストは基地局のすぐ下に立って行った。
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スマートフォンの画面の上部に、5Gネットワークにカバーされていること示す記号が表れた。
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最初のスピードテストは抜群の速さを示した。Ooklaのアプリ、SpeedTestで測定すると、ダウンロードスピードは1Gbpsを軽く超えた。
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Fast.comのアプリで測定すると2Gbps以上だった。
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YouTubeの動画はすぐに再生され、バッファリングもなかった。
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ドラマを1話丸ごとダウンロードしても、4秒しかかからなかった!
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しかし、ブラウンリーが5G基地局から少し離れ、建物の角に来ると、状況は一変する。
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角をほんの少し曲がっただけで、ダウンロードスピードはかなり遅くなった。5G基地局のすぐ下に立っていた時と比べておよそ6分の1に。
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ブラウンリーが実環境でテストしたように、5Gの信号は物理的な障壁によって妨害される。5Gは、3Gや4Gとは異なる周波数が使われ、非常に速い一方で、長距離を進むことはできず、木、壁、建物といった障壁を完全に通り抜けることはできない。
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つまり、5Gの基地局と同じ通りにいたとしても、端末から基地局が見通せない時は、スピードが低下する。
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ブラウンリーは、4Gと5Gが繰り返し入れ替わるネットワークの不安定さに、ストレスを感じたという。
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4Gの基準からすれば、悪くない速さだが、高価な5G対応のスマートフォンを持ち、5G基地局の近くにいるということを考えると、ブラウンリーの苛立ちも理解できるだろう。4Gの速さは、5Gに比べると、非常に遅い。
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アップロードのスピードは、理想的な条件がそろっている時でさえ、ダウンロードの見事なスピードにはかなわない。「8KのYouTube動画を5秒でアップロード、あるいはハイレゾ音源対応VRでライブストリーミングといった私の夢は、まだかないそうにない」と彼は述べた。
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スマートフォンで特に気になったのは、バッテリーの持ちの悪さと本体が熱を持つことだという。Galaxy S10 Plusは、テストをしている間ずっと「温かく」、単にYouTubeの動画を見ているだけでも温かかったと彼は述べた。そして、4時間のテストを終えると、バッテリーの充電量は50%になっていたという。
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覚えていてほしいのは、キャリアが多くの街で多くの基地局を展開していっている現状では、それぞれの街やネットワークによって5Gの使用感が違うだろうということ。ブラウンリーが感じた問題点も、テストの際に使っていたスマートフォンの機種や、ベライゾンのネットワークに特有のものかもしれない。だが、ブラウンリーは今回のテストをふまえ、「2019年の現時点では、もうこれ以上の費用を5Gにつぎ込むことはない」と述べた。
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5Gには制約があり、通信会社やキャリアはエリア全体をカバーするのに数百の基地局、それで足りなければ何千から何百万もの基地局をそれぞれの街に設置しなくてはならない。それには莫大な費用と非常に長い期間、おそらく数年を要するだろう。
ブラウンリーは今はまだ5Gは、折りたたみ式スマートフォンのようなものであるとし、「明らかにまだ早い。しかし、条件のそろった場所で使えば、驚くような未来を垣間見ることができる。あまりにも素晴らしいので今すぐにでも利用したいと思うだろうが、まだそうはいかない。現時点では利点より欠点の方が多いから」と述べた。
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)