写真で見る、アマゾンの大規模火災に苦しむ先住民たちの暮らし

先住民

Giorgos Moutafis

  • ブラジルでは、アマゾンの熱帯雨林で燃えさかる火災をめぐり、先住民と農民の対立が起きている。
  • 多くの先住民にとって、この土地は神聖な場所だ。
  • しかし、農民は作物や家畜を育てるために森林を焼き払っていて、ボルソナロ大統領も先住民の意向を優先していない。

アマゾンの大規模火災が、ブラジルの先住民たちの暮らしを脅かしている。

2019年の森林破壊は前の年に比べて77%増加しており、これまでに約8万3000件の火災が確認されている。ある部族の首長が独紙「ビルト(BILD)」に語ったところによると、この土地は先住民にとって教会のように神聖な場所であり、そこが今まさに焼かれているのだという。

火災の多くを引き起こしているのは農民たちだ。作物や家畜を育てる土地を確保するために、森を焼き払っている。2019年に入って火災が急増している背景には、ブラジルのボルソナロ大統領の方針もある。大統領は、先住民よりも農民を支援しており、先住民の土地をこれ以上、保護が強化される先住民族保護区に新たに指定しない意向を示している。大統領は先住民を動物園に閉じ込められた動物にたとえる発言さえしている。

ジャーナリストのシャノン・シムズ(Shannon Sims)氏は、アトランティック誌に寄せた記事の中で、先住民にとって火災は単なる危機でなく、自治を求める彼らの苦闘を示すものだと述べている。

ビルト紙の8人のジャーナリストたちは、先住民の暮らしぶりを探るべく、ブラジルとボリビアのアマゾンに赴いた。以下、彼らがそこで出会った人々や彼らの生活を一変させている火災の光景をとらえた、驚くべき写真の数々を紹介しよう。

(以下、敬称略)


この先は保護区であることを伝える政府の看板。しかし、多くの先住民にとって、このような看板はもはや頼りにならない。

看板

Giorgos Moutafis / Bild

16世紀、ポルトガルの入植者がブラジルにやってきたときには、約300万人の先住民が暮らしていた。現在ではわずか100万人ほどに減り、先住民はブラジルの人口の1%を占めるにすぎない。写真は、焼け焦げた木の枝に座る先住民の男性だ。

木の枝に座る男性

Giorgos Moutafis / Bild

Sources: BILD, IBGE, Funai

手前に座っているのが首長のエクトル(53歳)だ。彼らが属するシャバンテ族は、100人前後の部族単位で生活しており、ブラジル全土に2万人ほど存在する。

シャバンテ族

Giorgos Moutafis / Bild

Source: BILD

シャバンテ族は200年前からこの土地で暮らしている。

シャバンテ族

Giorgos Moutafis / Bild

Source: BILD

ビルト紙のパウル・ロンツァイマー(Paul Ronzheimer)が、首長のエクトルら部族のメンバーに話を聞いた。彼らによると、アマゾンでは何十年も前から毎年のように火災が発生しているが、2019年は例年に比べてはるかにひどいという。ボルソナロ大統領がそれを気にしていないと、彼らは感じている。だが、それでも土地にこれ以上の被害が及ばないようできる限りのことをするつもりだという。

インタビューの様子

先住民に話を聞くビルト紙のパウル・ロンツァイマー。

Giorgos Moutafis / Bild

Source: BILD

シャバンテ族は、弓矢を使って狩りをする。彼らは火災の頻発に警戒を強めており、自分たちの土地に予告なく入ってきた者には攻撃すると話している。

弓を持って歩く先住民

Giorgos Moutafis / Bild

Source: BILD

首長のエクトルは、農民が火を放っている土地は自分たちにとって神聖な場所だという。「教会のようなものだ。彼らは我々の聖地に火を放っている。我々に対する敬意がない」

首長

Giorgos Moutafis / Bild

Source: BILD

「我々はこの土地を保護している。煙が見えたら、土地を守るために駆けつける。だから、火を放っている白人たちが誰なのかも、彼らがなぜそのような行為をするのかも知っている」とエクトルは語った。

火災

Giorgos Moutafis / Bild

Source: BILD

火災が発生している土地のほとんどは私有地だ。しかし、ブラジル国立宇宙研究所によると、8月には148カ所の先住民居住地で3500件の火災が発生している。

森の様子

Giorgos Moutafis / Bild

Source: The Atlantic

一部の農民たちは、火災は牛肉や大豆を生産するのに必要で、実際の火災は報じられているほどひどいものではないと主張している。

農民

Giorgos Moutafis / Bild

Source: The New York Times

ある地域の農業団体のトップはローリング・ストーン誌に対し、人々が農地を求めて熱帯雨林に向かうのは、1970年代に政府から指示されたためだと話している。だが、それが今では批判の的になっている。「サンパウロやリオデジャネイロのような大都会の人々は、我々にブラジルナッツでも採って生活してほしいと思っている」

農民とブタ

農民と家畜のブタ。

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Source: Rolling Stone

「しかし、それでは子どもを大学にやれない」と彼は言う。

家族

アマゾンに暮らす家族。

Giorgos Moutafis / Bild

Source: Rolling Stone

火災の増加に苦しんでいるのは、先住民だけではない。動物もまた危機に瀕している。この女性は動物たちを救おうとしている活動家だ。中でも、爬虫類と両生類は低温多湿の環境を必要とするためリスクが高い。ナマケモノなど動きの遅い動物も危険だ。ジャガーといった比較的からだの大きな動物は、多くの場合、炎に追いつかれる前に逃げることができる。

活動家

動物保護の活動家。

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Source: BBC

アマゾンで火災が発生しているのは、ブラジルだけではない。写真のビルト紙のジャーナリスト3人は、ボリビアの現状を取材しに行った。ブラジルほど大々的には報じられていないが、ボリビアでも約4万件の火災が発生し、約3700平方マイル(約9600平方キロメートル)の土地が焼けた。

ボリビア取材班

ボリビアを訪れたペーター・ヘル(Peter Hell)とアフツィン・アルビリー(Avzin Arbilly)、フォトグラファーのアンドレアス・テレン(Andreas Thelen)。

Giorgos Moutafis / Bild

Source: Fox News

ブラジル先住民連合(Articulation of Indigenous People of Brazil)を率いるソニア・グアジャジャラ(Sonia Guajajara)は、火災の増加の背景には政府による保護が弱まり、新しい道路が建設されたため、森林が分断され、火災にさらされやすくなったことが影響していると、アトランティック誌に語っている。

立ち上る煙

Giorgos Moutafis / Bild

Source: The Atlantic

男性が懸命に火に水をかけている。しかし、何万件もの火災が確認されている状況では、いかにも分が悪い戦いだ。

消火作業

火を消そうとする男性。

Giorgos Moutafis / Bild

8月末になって、ブラジルのボルソナロ大統領は国際的な圧力に屈し、消火活動のために兵士を派遣した。また、これ以上土地に火を放ち、焼き払うことを禁じた。

消火活動

消火活動に参加する人たち。

Giorgos Moutafis / Bild

Source: Buzzfeed News

しかし、この写真が示すように、すでに多くの場所が火災によって焼けてしまった。

焼失した森

Giorgos Moutafis / Bild

Source: PBS

シャバンテ族の人々は今のところ、狩りをし、木の実を集める日々の暮らしを続けていくつもりだ。しかし、火災が自分たち部族にとって危険なものであることは認識している。火災が村の近くに迫ったら、家が焼けてしまうかもしれないと、首長のエクトルは話している。

シャバンテ族の男性

シャバンテ族の男性。

Giorgos Moutafis / Bild

Source: BILD

そして、彼らの未来の世代の暮らしが脅かされている。

泣く子

Giorgos Moutafis / Bild

Source: BILD

[原文:Stunning photos show the reality for indigenous people living in the Amazon as fires burn

(翻訳:高橋朋子/ガリレオ、編集:山口佳美)

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