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- カリフォルニアの人々のものの見方は他と少し違う。そこに住んでみなければ分からないことがあるのだ。
- もちろん、カリフォルニアの文化は1つだけではない。そこに住む人の数と同じくらいの「カリフォルニア」がある。
- とはいえ、多くの人が共有する「カリフォルニア」もある。ほとんどの住民が納得する、カリフォルニアにまつわる10のことを紹介する。
「カリフォルニアはビッグだ」という表現は控え目すぎる。
人口約4000万人のカリフォルニアは、アメリカ最大の州であり、一国家とみなした場合、経済規模は世界で5番目となる。
これだけ大きな州であれば、カリフォルニアの捉え方は人によって大きく異なるだろう。ハンボルト郡の静かなレッドウッドの森は、農業が盛んなセントラル・バレーや、サンディエゴの太陽が光り輝くビーチとはまったく別の世界だ。カリフォルニアには多くの微気候が存在するのと同じように、多くのサブカルチャーも存在する。
ほとんどのカリフォルニア住民には分かっても、そうでない人には分からないかもしれない10のことを紹介しよう。
サンフランシスコとロサンゼルスの間には長年続く確執がある
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サンフランシスコに移り住んだのなら、ロサンゼルスの悪口を言わなくてはならない。サンフランシスコの住民になるための通過儀礼のようなものだ。
ロサンゼルスでの楽しかった週末についてだらだらと語るのをやめ、ロスのスモッグや交通渋滞について文句を言い、ベイエリアのスポーツチームがずっと優れていることを主張し、ロスに対して上から目線でふるまうようになったら、もう立派なサンフランシスコ住民だ。
ロサンゼルス住民は、敵意をむき出しにするというより、親しいライバルのようにやり返すのが習わしだ。
ホームレスになるかどうかは紙一重
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カリフォルニアほどホームレスについての危機的状況を心底感じる場所はない。オークランドやサンフランシスコの街角で、テントの列を見かけないことはほとんどない。ロサンゼルスではさらに深刻だ。
2018年、国連の特別報告は、ベイエリアの路上におけるホームレスの生活環境を、人権侵害と表現した。いくつかのNPOや企業が、創造的な解決策で問題を改善しようとしているが、彼らの努力はまだこの悲惨な状況を大きく変えるまでには至っていない。
誰でもビーチに行く権利がある
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カリフォルニア州は840マイル(約1350km)もの海岸線を有し、そのすべては、原則として、一般に開かれている。
カリフォルニア海岸法のおかげで、カリフォルニアにプライベートビーチといったものは法的には存在しない。州を象徴する海岸に、誰もがアクセスできるようにするためなら、カリフォルニアの人々は闘いをも辞さない。
海岸のそばの邸宅を手に入れられるのは、ほんの一握りの特権的な階級の人々だけだが、それでも彼らは砂浜や海まで所有しているわけではない。それが再確認されたのは、サン・マイクロシステムズ社の共同設立者、ビノッド・コースラ(Vinod Khosla)氏が長年に渡って争ってきた訴訟で、2018年に負けた時のことだ。同氏は住宅に隣接するビーチを立入禁止にするために、訴訟を起こしていたのだ。
イン・アンド・アウト・バーガーは誰がなんと言おうとも最高のファストフード
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チックフィレイ(Chick-fil-A)やポパイズ(Popeyes)など、さまざまなファストフード店がある中、イン・アンド・アウト・バーガー(In-N-Out Burger)は史上最高のファストフード店だ。食べてみればすぐに分かる。
イン・アンド・アウト・バーガーは南カリフォルニアで誕生し、広がっていった。ファストフードとはいえ、実際はかなりスローなところがカリフォルニアの人々に喜ばれている。客はダブル・ダブル(パティとチーズが二枚ずつ入ったチーズバーガー)、ポテト、シェイクを買うために、長い行列を作るが、待つだけの価値がある。
行列は長いがメニューは短い。裏メニューを加えたとしてもだ。だが、いくつかのファストフード店とは違い、イン・アンド・アウト・バーガーは品質に妥協しない。注文してから長い長い時間を待つ間、カウンターの奥で多くの人がポテトを切っているのを見ることができる。肉は各店舗でミンチにしているのでとてもフレッシュ。店の雰囲気は古き良きカリフォルニアの雰囲気にあふれている。
グルメにならない方が難しい
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なぜ多くのカリフォルニアの人々がグルメなのか、理解するのは簡単だ。700以上の認定ファーマーズマーケットがあり、フレッシュな野菜や果物が一年中提供されているのだ。
カリフォルニアでは外食文化も盛んで、90のレストランがミシュランの星を獲得している。だが、おいしいレストランを探して食事を楽しむために、大金をつぎ込む必要はない。新進気鋭のシェフが営業するキッチンカーを見つけられるかもしれない。また、多くのグルメたちがまだ発見していない隠れ家的なレストランで、最高のビビンバ、春巻き、アルー・ティッキ(インド式コロッケ)を見つけるのはこの上ない喜びだ。
車は今もカリフォルニアの王様だ
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カリフォルニアには他のどの州よりも多くの車があるが、それでカリフォルニアの人々の車への愛を完全に説明できるわけではない。
カリフォルニアの車文化は多様で躍動感にあふれ、一人一人が独自の車文化を持っている。アートが好きなら歌う魚でもモザイクタイルでも、なんでも貼り付けてアート・カーに改造するといい。
ローライダーたちは、車高が低く、油圧サスペンションを用いてホッピングできるよう改造した車に誇りを持っている。オークランドで行われるようになったサイドショーでは、深夜に改造車がアクロバティックな動きを披露している(許可されていないことが多い)。
カリフォルニアでハイテク車のイノベーションが生まれたというのも偶然ではない。自動運転技術はシリコンバレーで始まり、テスラ本社もそこにある。
カリフォルニアの人々が夢中になる乗り物は、四輪車だけに限らない。大勢のバイク愛好者が、毎年夏にホリスターで開催されるイベントに集結する。また、スクレーパー・バイク・チーム(Scraper Bike Team)は、自転車をカラフルなテープで彩り、楽しむ方法をサイクリストに紹介している。デコレーションを施した自転車は、乗ると万華鏡のような視覚的効果を発揮する。
カリフォルニアは進歩的な価値感を守るためなら立ち上がる。相手が連邦政府であろうとも
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進歩主義的なカリフォルニア州は、政策を巡って連邦政府と衝突することがある。特に環境問題についてその傾向が強い。
カリフォルニア州では独自の車両排ガス規制をかなり以前から設定している。連邦政府は規制を緩和し、カリフォルニア州が独自の規制を設けることを妨げようとした。するとカリフォルニア州は連邦政府を出し抜いて、自動車業界と直接より厳しい規制基準について交渉を行った。
気候変動は今ここにある
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カリフォルニアは気候変動の最前線に立っている。数年にもわたる過酷な干ばつに見舞われ、昨年の雨により貯水池は満たされたものの、将来的には水不足と洪水被害が懸念されている。
例年の山火事シーズンは、 年ごとに長く、激しくなっているようだ。カリフォルニアのほとんどの人は、気候変動の影響を今現実に起きていることとして感じている。あなたが火事や洪水に悩まされたことがなくても、知り合いには悩まされている人がいるだろう。
ワシントン・ポストが行った温暖化についての調査によると、カリフォルニア州のかなりの面積で、特に南部では、すでに摂氏2度近く、もしくはそれ以上の気温上昇が見られた。パリ協定では世界の平均気温上昇を摂氏2度以下に抑えることを目標に掲げているが、最近の調査が示すように、それだけ気温が上昇するだけでも壊滅的な被害を被りかねない。
どこでも立ち込める危険な霧
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カリフォルニア州の多くのエリアで、霧は生活の一部となっている。
地域のカルチャーであるとさえ言える。世界で最も長く稼働してきたライブカメラのFogCamは、ベイエリアの霧をずっと追跡し続けてきた。このサービスが終了する予定であることが発表されると、大きな騒ぎとなった。だがカリフォルニアの人々にとってありがたいことに、サンフランシスコ州立大学がFogCamへの支援を申し出て、サービスは継続されることとなった。
カリフォルニア州中部において、霧は危険をもたらす。「チュール霧」は冬の湿った地面から発生し、視界は数メートル以下となる非常に濃い霧の壁を作る。この霧の中でのドライブは、致命的な事故を起こしかねない。実際に多数の事故を引き起こしており、2007年には100台以上の車やトラックを巻き込んだ玉突き事故が発生した。
住民にとって幸いなことに、近年は大気中の汚染物質のレベルが下がったため、チュール霧の発生も減ったようだ。
人種的・民族的多様性が、カリフォルニアをより強くする
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カリフォルニアはマイノリティが多数派の州だ。つまり有色人種(67.2%)の方が、白人(36.8%)よりも多い。また、移民人口はどの州よりも多い。Migration Policy Instituteのデータによると、ロサンゼルス郡だけでも、全米の移民の11%が暮らしている。
カリフォルニアの人々は、この多様性を大切にしている。カリフォルニア州政府は、州全体が移民のための「聖域州」であると宣言したことから、それを巡って連邦政府と争ってきた。
いくつかの調査によると、多様性はよりよい意思決定や優れた科学論文を生み出すことにつながると明らかにされている。またカリフォルニアはその多様性によって文化的、経済的に豊かになったと言われることも多い。
[原文:10 things you'll only understand if you live in California]
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)