転職希望者の3分の1は「転職しない方がいい」。プロが「現職で」と思う人の特徴とは?

歩く人

転職支援サービスを手がけるコンサルタントからみても「転職しない方がいい人」の特徴がある。

撮影:今村拓馬

転職支援のプロであるコンサルタントの半数は「転職希望者の3人に1人は転職すべきではない」と考えている。その理由でもっとも多いのは「本人の希望と市場価値のギャップ」であることが、エン・ジャパンの調査で明らかになった。

2008年のリーマン・ショック後の不況を底に、この10年以上、転職者数は右肩上がりで増えている。有効求人倍率は米中摩擦の影響を受け、7月は製造業でやや求人を控える動きが出たものの、依然として高度成長期並みで推移しており、転職市場は活況だ。

ただし、転職の現場では「長らく売り手市場を背景に求人数も多く、自分も転職で好転できる…と、根拠なく楽観的な期待をもつ人が増えている」(エン・ジャパン担当者)などと、転職希望者と現実との間でズレも生じているようだ。

「3人に1人は転職すべきでない」

grah3

出典:エン・ジャパン

エン・ジャパンは「転職すべき人・現職にとどまるべき人」について、転職希望者の面談などに当たる転職コンサルタント123人に聞いた。

「面談を行った人のうち、転職せずに現職にとどまるべきと思う人は何割か」との質問に対しては、50%のコンサルタントが「3割以上」と回答した(図1参照)。

これは、前回調査の2017年から6ポイント上昇。2018年で約330万人の転職者数もさることながら、転職「希望者数」も右肩上がりで増えている。転職ばかりに目が行きがちだが、希望者の増加に伴って、冷静な見極めが必要なケースも増えているようだ。

自己評価と市場価値のギャップ

ahot

「現職にとどまるべき」と思う理由は何ですか。

出典:エン・ジャパン「転職すべき人・現職にとどまるべき人」調査

注目すべきは「現職にとどまるべき」と、転職コンサルタントが考える、その理由だ。1位は「本人の希望と、転職市場での市場価値にギャップがある」で8割近くの転職コンサルタントがこれを理由にあげている。転職をとどまった方がいいと思われる人の特徴として、市場価値より自己評価が高いことがあるようだ。

続いて「転職回数が多く、これ以上の転職に大きなリスクが伴う」が約4割、「キャリアアップできない理由が会社にあると思っている」(3割超)と続いた。

本人が「現職と同様、もしくは年収アップ」を条件に出していたとしても、現実の市場評価は、それを下回るケースは珍しくない。30代後半から50代の転職を手がける「ミドルの転職」事業部長の天野博文さんは、こう指摘する。

元々の会社では就業年数や貢献度などで、給与がかさ上げされている状態であることも多い。転職の機会が広がっているのは事実ですが、個人の能力、実績、業種、職種によって大きく市場価値に差があることを認識する必要がある」

最多の転職理由は変化している

walking

やりたいことが今の会社にあるかどうかが大きな見極め。

撮影:今村拓馬

では一方で、転職コンサルタントが「転職すべき」と思うケースはどんな理由からだろう。1位は「今後やりたいことと、転職理由に整合性がある」で6割の転職コンサルタントがこれをあげている。続いて「今、勤めている会社」も大事な要素になる。

  • 現職企業に将来性がない(53%)
  • 現職企業では、本人の希望が絶対に叶わない(53%)

ちなみに、転職希望者の理由で多いものは何だろう。

shot2

出典:パーソルキャリア

パーソルキャリアの転職サービス「DODA」が、2017年度の1年間に転職活動を行った約8万人のデータから、退職するきっかけになった「転職理由」を聞いた調査によると、もっとも多いのが「ほかにやりたい仕事がある」(約15%)という、内面的な理由だった

続いて、会社の将来性に不安(約11%)、給与に不満(約11%)、残業が多い/休日が少ない(8%)といった、待遇や働き方が上位を占めた。

パーソルキャリアでは「求人数が非常に多い状態が続いており、数多くの求人の中から希望の条件を選べるようになっているため、転職希望者は待遇などの条件を優先して転職先を選ぶ傾向が強まっている」と分析している。

ちなみに、長期的に見ると、転職理由は「他にやりたい仕事がある」が右肩上がりで増えており、「会社の将来に不安」といったネガテイブ理由は低下する傾向がある。

お勧めの転職是非の見極め方

少子高齢化による人手不足と、好景気により、かつてないレベルで多くの求人が市場に出ている。一方で、中国経済の減速懸念やオリンピック後の景気の冷え込みなど、先行きは不透明だ。転職しようかとどまろうか迷いながらも、早期に結論を出したい人も少なくないだろう。

「転職の見極め」について、転職コンサルタントは、こんなアドバイスを示している。見極めでもっとも多くのコンサルタントが勧めるのが、「解決したい課題を整理し、解決方法を検討する」。続いて「キャリアの棚卸し」だった。

具体的にはこんな声も。

「漠然と転職したい人は失敗する傾向にある。現職の問題点と転職先に求めることを明確にすること」「現企業のマイナス面だけでなく、プラス面を探して見る。判断の秤(はかり)を水平に保つ」

転職したい、するべきか迷うという熱が高まっても、頭をクールに保った上での、冷静な状況判断は不可欠のようだ。

(文・滝川麻衣子)

ソーシャルメディアでも最新のビジネス情報をいち早く配信中

Popular

BUSINESS INSIDER JAPAN PRESS RELEASE - 取材の依頼などはこちらから送付して下さい

広告のお問い合わせ・媒体資料のお申し込み