Facebook/Beyond Meat
- ビヨンド・ミートの株式公開や多くのレストランとの提携が、投資家や消費者の注目を集めるようになって、植物ベースの代替肉における競争は激化している。
- 植物ベースの代替肉は、大きな盛り上がりを見せており、ウォール街のアナリストによると1400億ドル(約15兆円)規模の産業に成長する可能性があるという。
- そして今、多くの歴史ある企業もビヨンド・ミートのライバルとして、この競争に参入している。
今年は植物ベースの代替肉が大いに盛り上がっている。特にビヨンド・ミート(Beyond Meat)がIPO(新規株式公開)により株価を800%以上も上昇させるという大成功を納めてからはなおさらだ。この盛り上がりの中、多くの有名レストランとの提携によって、さらなる注目を集めている。
歴史ある多くの食品加工企業も植物ベースの代替肉の製造に取り組むようになったことを考えると、このトレンドは当分衰えそうにもない。
植物を原料としたたんぱく質を製造する産業は競争が激化している。今ではアメリカで140億ドル(約1兆5000億円)の産業に成長し、ウォール街のアナリストは1400億ドル(約15兆円)規模に成長すると考えている。
多くのファストフード店で取り入れられているこの新たな食材を味わおうと、多くの客が店に押し寄せている。データによると、彼らは値段が高くても喜んで購入している。代替肉メニューを提供しているのは、ダンキン(Dunkin)、ティム・ホートンズ(Tim Hortons)、サブウェイ(Subway)、デルタコ(Del Taco)などだ。
F1チャンピオンのルイス・ハミルトン(Lewis Hamilton)氏までもが、植物ベースの食材を用いたメニューだけを提供するファストフードチェーン店に出資している。そこには9月にロンドンでオープンするNeat Burgerも含まれているとブルームバーグが伝えた。
ビヨンド・ミートは目標値を、ウォール街のアナリストが予想した1400億ドル(約15兆円)よりも高く設定している。同社は投資家に対するプレゼンテーションで、2700億ドル(約29兆円)規模のアメリカの食肉産業を引き継ぐことがゴールだと述べた。だが、植物を原料としたミルクが酪農業から獲得したシェアに基づき試算すると、植物由来の代替肉は、従来の食肉産業の13%のシェア、つまり350億ドル(約3兆7500億円)を獲得するとビヨンド・ミートは考えている。
また、動物性たんぱく質の消費は好調で、2019年と2020年は記録的な年となり、そのような状況でビヨンド・ミートが目標を達成するのは難しいだろうと、動物性たんぱく質について分析を行うラボバンクのシニア・アナリスト、ドン・クローズ(Don Close)氏はMarkets Insiderに語った。
とはいえ、植物由来のたんぱく質の人気ぶりと、消費者の需要は無視できない。そして多くの歴史ある食品加工企業は、植物由来製品のブランド立ち上げや、植物由来食品を製造する中小企業への投資を行っている。
ビヨンド・ミートに対抗すべく、植物由来製品の製造を始めた6社を見てみよう。
1.タイソン・フーズ
Sydney Kramer
タイソン・フーズ(Tyson Foods)は、かつてビヨンド・ミートに投資をしており、6.52%の株を保有していたが、4月に売却、自社で植物ベース製品を製造することにした。そしてビーガン(絶対菜食主義者)用代替肉や、動物性の肉と植物由来たんぱく質を混ぜた製品を販売する新ブランド、Raised & Rootedを立ち上げた。
タイソンは、同社のベンチャー・キャピタル部門のタイソン・ベンチャーズ(Tyson Ventures)が、植物を原料とした代替エビを製造するスタートアップ、New Wave Foodsに投資していることも、このほど発表した。代替エビは海藻や大豆プロテインから製造される。
2.ケロッグ
Kellogg Company
ケロッグ(Kellogg)が所有するMorningStar Farmsは9月4日、これまでの植物ベースの製品に加え、新たな製品ブランド、 Incogmeatoの立ち上げを発表した。これは「次世代の製品ライン」であり、「焼くだけの植物ベースバーガー」、「そのまま食べられる植物由来のチキンテンダーとナゲット」といったラインナップだ。
3.クローガー
Courtesy Just
クローガー(Kroger)が9月初旬に植物ベース製品の自社ブランドを立ち上げる計画があることを、CNBCが伝えた。ブランド名はSimple Truth。取り扱うのは植物由来のバーガー、クッキー生地、パスタソース、ソーセージ、スライスハムなど、多様なラインナップとなる。
クローガーは、緑豆から作られた液体の代替卵製品ジャストエッグを、全米の2100の店舗で販売している。
4.ネスレ
Irene Jiang / Business Insider
2019年6月、ネスレ(Nestle)が秋にアメリカで植物ベースのバーガーを販売すると発表すると、ビヨンド・ミートの株価は暴落した。このバーガーとは、ネスレ傘下のスイート・アース(Sweet Earth)が製造する「オーサム・バーガー(Awesome Burger)」のことだ。
ネスレは以前から植物ベースの代替肉の製造に取り組んでいる。大豆と麦で作ったバーガーをヨーロッパで販売しており、その「インクレディブル・バーガー」はドイツのマクドナルドで買うことができる。
5.コナグラ・ブランズ
Facebook/gardein
コナグラ・ブランズ(Conagra Brands)はこのほどピナクル・フーズ(Pinnacle Foods)を買収し、ピナクル傘下で植物ベース代替肉を製造するガーデイン(Gardein)の所有権も獲得した。
コナグラ・ブランズは、第4四半期の売上高が期待に沿うものではなかったことを公表。それを受けアナリストは、同社のポートフォリオにおいて、ガーデインだけが「希望の光」だと述べた。
6.ホーメルフーズ
Flickr/elviskennedy
ホーメルフーズ(Hormel Foods)は、植物ベース代替肉の自社ブランド、Happy Little Plantsを9月に立ち上げた。
同社は、植物由来のピザのトッピングや、傘下のアップルゲートが製造するオーガニック・ミートとマッシュルームのブレンドバーガーも販売している。
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)