人身売買容疑の大富豪との関係は…伊藤穰一氏がMITメディアラボの所長を辞任

伊藤譲一氏

Phillip Faraone/Getty Images

  • MITメディアラボ所長の伊藤穰一氏は、9月7日(現地時間)、MITでのすべての役職を辞任する旨のEメールをMITの学長に送付した。伊藤氏本人から転送されたメールの内容をニューヨーク・タイムズが報じた。
  • 9月6日深夜に、ニューヨーカー誌が、伊藤氏と著名な億万長者ジェフリー・エプスタイン(Jeffrey Epstein)氏との間で交わされたEメールの内容を含む暴露記事を発表していた。エプスタイン氏は性犯罪者として有罪判決を受けており、未成年者の人身売買容疑で再逮捕された後、8月に獄中で自殺した。
  • 未成年女性を売春斡旋目的で勧誘した罪でエプスタイン氏が有罪判決を受けた後、伊藤氏はMITメディアラボのスタッフとともに、密かにエプスタイン氏から巨額の寄付金を受け取っていた。
  • 暴露記事で取り上げらたEメールは、ビル・ゲイツ氏やレオン・ブラック(Leon Black)氏など他の投資家からの資金提供をエプスタイン氏が仲介したり、これら資金の使い道を指示していたとも読み取れ、伊藤氏と大学側が発表した内容とは矛盾している。

ニューヨーク・タイムズの記者、マーク・トレイシー(Marc Tracy)氏は9月7日の午後(現地時間)、MITメディアラボの所長である伊藤穰一氏から、MIT学長に宛てた辞任を表明するEメールが転送されてきたとツイートした。

辞任のニュースが報じられたのは、6日金曜日の夜にニューヨーカー誌が伊藤氏とジェフリー・エプスタイン氏の間で交わされたEメールの内容を含む暴露記事を発表した翌日だった。エプスタイン氏は8月、未成年者の人身売買容疑などに関する裁判を前に自殺している。

MITコミュニティー宛ての書簡で、ラファエル・ライフ(Rafael Reif)学長は、暴露記事が「深刻で遺憾な内容」を含んでおり、MITの法務担当が「大手の法律事務所」に依頼して「速やかに徹底的な独自調査」を行うと表明していた。

ニューヨーカーは、マッカーサー財団(MacArther Foundation)やナイト財団(Knight Foundation)、そしてニューヨーク・タイムズの社外取締役も務める伊藤氏が、2014年と2015年に、エプスタイン氏の仲介によって、ビル・ゲイツ氏やレオン・ブラック(Leon Black)氏から資金を受け取っていたと報じた。

記事は伊藤氏、エプスタイン氏とMITの関係にも言及した。伊藤氏はメディアラボの他の幹部や研究者に対し、性犯罪者として有罪判決を受けたエプスタイン氏との関係について打ち明けていた。伊藤氏はエプスタイン氏とMITの関係が、少なくとも1人の女性スタッフの離職につながったのではないかと懸念していたという。

伊藤氏は同じく7日にマッカーサー財団とナイト財団、そしてニューヨーク・タイムズの社外取締役などの役職についても辞任している。

MITメディアラボ

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Wikimedia Commons

ニューヨーカーが入手したEメールには、伊藤氏とMIT学長の声明よりも多い金額をエプスタイン氏から受け取ったことが示されている。これはエプスタイン氏の斡旋でゲイツ氏やブラック氏といった投資家が750万ドル(約8億円)にのぼる資金を提供したためだという。

ビル&メリンダ・ゲイツ財団(Bill & Melinda Gates Foundation)はBusiness Insiderに「エプスタイン氏がビル・ゲイツに事務的もしくは個人的な指示を行なった事実は一切ない」と答えたが、伊藤氏とメディアラボの元開発部長ピーター・コーエン(Peter Cohen)氏が交わしていたEメールの内容とは矛盾している。

あるEメールで、エプスタイン氏は「ゲイツは来週の火曜、我々のプログラムの結果を書いてほしがっている」と書いており、伊藤氏への返信で、マイクロソフトの創設者から寄付を募るために「彼が資金を提供してくれるように、より具体的に」と指示している。

伊藤氏のオフィスのスタッフたちは、エプスタイン氏による大学への献金や、伊藤氏とエプスタイン氏の交友が秘密裏に行われていることから、エプスタイン氏をハリーポッターの「ヴォルデモート」や「その名を呼んではいけないあの人」と呼んでいたとニューヨーカーは報じている

伊藤氏はエプスタイン氏の来訪を隠蔽するため、自身の日程表にはエプスタイン氏の名前は書かず、イニシャルのみ記入したり、「VIP」とだけ記していたという。MITはエプスタイン氏から80万ドル(約8600万円)を受け取ったことを公式に認めており、学長はこの資金を性的搾取の被害者支援に充てると話している。

エプスタイン氏の「指示」によってMITに提供された750万ドル(約8億円)の他に、伊藤氏は少なくとも120万ドル(約1億3000万円)をエプスタイン氏から受け取っている。Eメールでコーエン氏はエプスタイン氏による資金提供は匿名として記録されるべきだと注意しており「君でなければジェフリー(エプスタイン氏)が一番よく知っている」として、エプスタイン氏から助言を受けることを勧めている。

ニューヨーカーによると2015年の夏、エプスタイン氏はMITメディアラボにいた。そこには東ヨーロッパ系の2人の若い女性モデルも同伴していたという。女性スタッフのサイン・スウェンソン(Signe Swenson)氏は同誌に、ラボの女性職員たちは、女性モデルたちが自らの意思でここにきたわけでないのであれば、彼女たちを助けるべきかを話し合ったという。

スウェンソン氏と少なくとも2人の研究者がこれ以降、内部告発者支援団体のホイッスルブロワー・エイド(Whistleblower Aid)の弁護士とともに、伊藤氏とエプスタイン氏の関係や、エブスタイン氏とMITとの関係に光を当てるべく活動している。

[原文:MIT Media Lab director Joi Ito resigns after New Yorker exposé shows he quietly worked with Epstein to secure anonymous donations

(翻訳:忍足亜輝、編集:Toshihiko Inoue)

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