ソフトバンク苦肉の策「半額サポートプラス」の不都合な真実。新型iPhoneを視野に

新施策の「半額サポート+」

記者会見にはソフトバンクのCMに出演中の田中圭さんもゲスト参加。新施策の「半額サポート+」をアピールした。

撮影:太田百合子

ソフトバンクは9月9日、都内で会見を開き、10月から施行される電気通信事業改正法(※)に適応したワイモバイル(Y!mobile)の新料金プランや、新たな端末購入サポート施策となる「半額サポート+(プラス)」を発表した。

電気通信事業改正法のポイント:

10月から電気通信事業法が改正され、端末代金と通信料金の完全分離が義務化される。途中解約時に高額な違約金が発生する長期契約や、長期契約を前提とした端末の割引も規制。違約金は上限1000円、端末の購入補助は最大2万円と定めている。

ソフトバンクはすでに先週、契約期間の縛りがなく、違約金も不要となる新料金プランを発表している。さらにこの日、ワイモバイル向けにも通信料金と端末代金を分離し、契約期間の縛りのない新料金プランを発表した。

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ワイモバイルの新料金プラン。契約期間の縛りがなく、新たに13GBの大容量プランも追加した。

撮影:太田百合子

契約期間の縛りがなくなれば、端末代金の割引もなくなる。そこで10月以降は、「キャリアが販売する端末代金が高騰するのでは」と懸念する声は多い。新たに発表された「半額サポート+」は、ユーザーのそうした不安に応えるもの。ソフトバンクがこれまでに提供してきた「半額サポート」や「機種変更先取りプログラム」(いずれも9月12日で受付終了)に代わる、新たな端末購入サポートプログラムだ。

“他キャリアユーザーも”との建前の「苦肉の策」

半額サポート+

他キャリアのユーザーも利用できる、通信契約とは独立した「端末購入プログラム」だと説明するソフトバンクの榛葉淳副社長。

撮影:太田百合子

旧「半額サポート」では、48回払いの割賦で端末を購入。24ヵ月経過後に指定機種に機種変更&旧端末の回収を条件に残債が免除された。「端末代金が実質半額になる」というものだが、同社の通信プランへの加入が必須となっていたため、実質的な「4年縛り」だと問題視されてきた。

新たな「半額サポート+」も基本的な仕組みは「半額サポート」と同じだが、月額390円(不課税)×24カ月のプログラム利用料が必要になる一方で、同社の通信プランへの加入は「必須条件ではない」

24カ月後も機種変更ではなく、指定機種への“買い換え”が条件となる。

「通信料金とは完全に切り離された『端末購入プログラム』」(ソフトバンク副社長執行役員兼COO 榛葉淳氏)のため、他キャリアのユーザーも利用できるとのこと。通信料金とのバンドル(セット加入)を前提とした、改正法の「端末の購入補助は最大2万円」の規制対象にもあたらないという。

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理論的には他キャリアユーザーでも使える端末割引だが、そのハードルは高い。

Shutterstock

対象機種にはスマートフォンだけでなく、タブレットやケータイも含まれる。ただ端末にはこれまでどおりSIMロックがかかっている。そのため、もし他キャリアのユーザーがこのプログラムを利用して端末を購入した場合、SIMロックを解除できるのは、割賦販売時のSIMロック解除のルールである100日経過後となる。

SIMロックは一括購入すれば即日解除できるルールだが、その場合は「半額サポート+」が適用されない。つまり他キャリアのユーザーが「半額サポート+」を利用するには、

  • 100日だけソフトバンクあるいはソフトバンク系MVNOの通信プランを契約する
  • 100日間Wi-Fi接続で利用する

いずれかの「非現実的な方法」を選ぶことになる。

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表参道の旗艦店。

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質疑応答でもこの点について、「他キャリアのユーザーが利用するのは非現実的では?」と質問が飛んだ。

これに対して榛葉氏は、「こうした施策がなければ、日本のユーザーにはスマホの購入に対して限られた選択肢しかなくなってしまう。選択肢のひとつとして考えてもらえれば」と説明。唯一メリットがあるとすれば、SIMロックの解除をしなくても利用できるソフトバンク系のMVNOユーザーに対してだが、いずれにしてもニーズは限定的だ。

一方でソフトバンクのユーザーは、すでに同社の通信プランを契約しているわけで、「通信プラン加入の条件が撤廃」されてもメリットはない。

榛葉氏によれば、旧「半額サポート」の加入率は90%、満足度も94%に上っているという。にもかかわらずプログラムが変更になり、新たに月額390円の追加費用が必要になるのだから、ユーザーの立場に立てば改悪とも見える。が、それでも端末割引なしに比べれば随分マシ、とも言える。

つまり「半額サポート+」は改正法に適応しつつ、どうにか今まで通りの端末販売を続けたいソフトバンクの、まさに苦肉の策。果たして、他社はこの施策に追随するのだろうか。

質疑応答

会見後の質疑応答に応える、常務執行役員 モバイル事業推進本部 本部長 菅野圭吾氏(左)と榛葉淳氏(中央)、常務執行役員 Y!mobile事業推進本部 本部長 寺尾洋幸氏(右)。

撮影:太田百合子

なお、ソフトバンク広報によると、他キャリアのユーザーが「半額サポート+」を利用する場合は、ソフトバンクショップ店頭で、新規契約時と同様の必要書類を提出し、割賦契約を結ぶことになるという。

他キャリアユーザーの利用が現実的かどうかはともかく、どのキャリアショップの店頭でも、好きなスマホがキャリアを問わず購入できるというのは、完全分離の先に目指す健全な姿ではある。

ちなみに些細なことながら今回の発表で気になったのが、ソフトバンクユーザーは9月13日から「半額サポート+」へ申し込みできるのに対し、ソフトバンクユーザー以外は26日からの受付になっていること。

今週発表されるであろう、新型iPhoneの予約開始日がいつになるのかとあわせて、注目したい。

編集部より:初出時、半額サポート+の月額料金について非課税と表記しておりましたが、正確性を期して不課税に改めました。 2019年9月10日 19:00

(文、写真・太田百合子)

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