LINE Payと仮想通貨の融合も視野に? LINEが交換業登録

LINE 出澤剛 社長

LINEを「日本で最大のリーチを持つメディアで、ツールでもある」と語るLINEの出澤剛社長。

撮影:小林優多郎

LINEが日本の仮想通貨(暗号通貨)市場に本格参入する。

2019年9月6日に、子会社のLVCが資金決済法に基づく仮想通貨交換業者としての登録を完了させ、日本国内で取引所を運営できることになった。

2019年12月期第2四半期(4〜6月)決算時点で、メッセンジャーアプリ「LINE」の月間アクティブユーザー(MAU)は8100万人に達し、スマホを中心とした決済サービス「LINE Pay」のMAUは490万人にまで伸びている。

日本国内で強力なユーザー基盤を持つLINEの本格参入は、いくつかの点で市場に大きなインパクトを与えうる。

数年前から徐々に参入へ布石

LINE 経済圏 BITBOX

LINEが広げる主な各種サービス。日本とアメリカを除く海外市場を対象とした仮想通貨取引所BITBOXは、LINE経済圏の重要な一部(中央上)。

図版作成:さかいあい

LINEは、国内で登録済みの交換業者としては20社目で、後発の取引所と言える。

しかし同社はこの数年、仮想通貨市場への参入に向けて少しずつ布石を打ってきた面がある。

LINEがLVCを設立したのは、2018年1月末のことだ。ちょうど、大手取引所コインチェックから巨額の仮想通貨が盗み出された直後にあたる。

事件の余波で、金融庁が交換業者の新規登録を先送りする中、LINEはシンガポールを拠点に、日本とアメリカを除く市場を対象とする取引所「BITBOX」を2018年7月に立ち上げた。

さらに、2018年秋には、LINEが独自の仮想通貨「LINK」を海外向けにリリースした。

海外向けには、LINEの各種サービスを利用したユーザーに対して、ポイントの代わりにLINKを付与。

海外では、LINEのサービスでLINKを利用できるほか、自社の運営する取引所BITBOXで他の仮想通貨とも交換できる。

一方、日本ではまだLINKは利用できない。新しい仮想通貨を取引所が取り扱うには、自主規制機関「日本仮想通貨交換業協会」の審査などを通過する必要がある。

日本国内でLVCは当面、ビットコインやイーサリアムといった主要仮想通貨を取り扱う予定だが、将来的にはLINKの取り扱いも視野に入れているとみられる。

LINKの取り扱いが具体化すれば、LINEの利用者に付与されるLINEポイントとの相互交換なども想定できる。

LINEの広報担当者は「LINKの取り扱いについては未定」としている。

仮想通貨決済の起爆剤になるか

LINE Pay アプリ

本人確認手続きを完了したLINE Payのユーザーは490万人。今後、仮想通貨取引の基盤となりうる。

撮影:小林優多郎

LINEの本格参入は、決済の面でも注目される。

店頭で買い物をする際の、ビットコインなどの仮想通貨による決済は、現時点ではあまり普及が進んでいない。

仮想通貨の価格が乱高下することや、処理速度が遅いなど、いくつかの要因がある。

国内では「投資」を目的に仮想通貨を保有する人はいても、買い物での「決済」のために保有する人はほとんどいない現状がある。

仮想通貨を取り引きする口座の開設には、本人確認(KYC, Know Your Customer)などの手続きの負担から一定のハードルがある。

一方で、LINE Payには、すでに本人確認手続きを終えたユーザーが490万人いる。LINE Payで決済ができる店舗などは、171万カ所を超えた。

LINE COFERENCE 2019

6月27日、事業戦略発表会「LINE CONFERENCE 2019」に登壇したLINEの主要役員たち。

撮影:小林優多郎

LINEにとってLINE Payは、「これからを担う最重要事業」との位置づけだ。

2019年7月24日に開いた決算説明会で、LINEの出澤剛CEOはこう述べている。

「多くのLINE Payユーザーは、すでに本人確認を済ませていることから、より低いハードルでシームレスにさまざまな金融サービスのご案内ができます。すでにリリースしている保険や株式のテーマ投資に加え、今後はスコアリングを用いたローン、株式投資、インターネット銀行など、スマホベースの総合的な金融サービスを提供し、大きなビジネスに育てていきたい」

同社は今後、LINE Payと自社の仮想通貨LINK、さらに登録が完了した取引所をどのように融合させていくのか。引き続き注目したい。

(文:小島寛明)

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