「チタンの魅力に前のめり」Apple Watch 5実機インプレ。気になる“常時点灯”は大正解だ

AppleWatch

シリーズ5のチタンモデルの実機写真。表面の輝きや質感はこれまでにないものだった。

撮影:西田宗千佳

今回の発表会で「お、これは……」とiPhone以上に前のめりになったのが、Apple Watchの進化だ。

新モデルである「シリーズ5」の一番大きな変化は「常時点灯」だが、素材としてチタンを使ったモデルの登場など、コスメティックな部分の変化も気になる。

そこで、ハンズオンで聞いたApple Watch シリーズ5に関するさまざまなトピックをまとめてみた。

「常時点灯」は効果絶大。斜めからのチラ見でもOK

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シリーズ5のウォッチフェースの「点灯」状態。

撮影:西田宗千佳

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「時計を見る動作をしていない時」の色。従来の「消灯」にあたるモード。十分視認性があることがわかる。

撮影:西田宗千佳

Apple Watchなどのディスプレイを使ったスマートウォッチのほとんどは、消費電力を抑えるために、自分が見てない時にはディスプレイを消す。腕時計を見るモーションを認識してディスプレイを点けていたわけだが、これだと、「時計を持ち上げず、チラ見して時間を確認する」のが難しい。「Apple Watchはそれがキライ」という人も少なくなかった。

シリーズ5では「常時点灯」がついに実現した。

といっても、常に同じ表示であるわけではない。上の写真を見ていただきたい。白い表示が本来の表示で、下の黒い表示が「時計を見る動作をしていない」時の表示だ。

Apple Watchには多数のウォッチフェース(文字盤)が用意されているが、そのすべてに「時計を見る動作をしていない時の色」が用意され、表示が切り替わるようになっている。

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時計を「チラ見」する角度から撮影。斜めからでも時間はなんとなくわかる。

撮影:西田宗千佳

Apple Watchが使っている「LPTO」と呼ばれるディスプレイ技術は有機ELの一種で、発光していない時ほど消費電力が低い。だから黒基調の方が消費電力は下がる。だが、それだけでは常時点灯に必要な省電力性能を実現できない。そこで、書き換え頻度を毎秒60回から毎秒1回に抑えることで、消費電力を下げているわけだ。

表示の切り替えは、いままでのApple Watchで「消灯」するタイミングとほぼ同じ、と考えていい。

また、斜めから見た時の視認性は意外と良好で、文字盤をほぼ真横から見たような場合でも、時計の針や大きな数字くらいはわかる。だから、「時計をチラ見したい」というニーズには十分応えている。

書き換えが毎秒1回という数字は「秒」のカウントから来ているものだ。とはいえ秒針は表示されず、分針までが見えるだけだ。それでも実用上問題ない。正確な情報を知りたければ、ちゃんと見れば(腕を動かして表示をオンにすれば)いいだけだからだ。

しばらく腕に巻いて動かしてみたが、この仕組みは本当に快適だ。

Apple Watchに慣れた人は「チラ見」をしなくなっていて、腕を少し大きめに動かすクセがついているが、もはやそれは不要。しばらく奇妙に感じるかもしれないが、数日もすれば、「普通の時計」をしていた頃に戻るのではないか。

「チタン」の色味は魅力的だが「耐久性」に不明確な点も

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Apple Watch Editionの「チタニウム」モデル。実に落ち着いた色合い。コーティングによって変色は防止されている。

撮影:西田宗千佳

シリーズ5は基本的にデザインを変えていない。そのため、そのままではシリーズ4との差がよくわからない。アルミやステンレスボディーのものは、見慣れた「Apple Watch」そのものだ。

ただ、高級モデルにあたる「Apple Watch Edition」は別格だ。セラミックを使ったモデルが復活し、チタンのモデルも登場したからだ。

特に筆者が気になったのが「チタン」モデルだ。

チタンを素材にしたモデルには、ナチュラルなチタンの色を活かした「チタニウム」と、カーボンで黒く染めた「スペースブラックチタニウム」の二種類がある。

チタニウムの方は、かなり落ち着いた、いい色だ。チタンの素材感が生きている。皮脂を含めた汚れがつきにくい表面加工が施されているため、触っても色の変化などはない。

一方、個人的には黒い「スペースブラックチタニウム」には惹かれなかった。黒く染めすぎていて、最も安価なアルミ素材の「スペースブラック」モデルとの差がわかりづらい。

よく見ればチタンの仕上げの良さがわかるのだが、どうにも「チタンを使った感」が薄い。どちらを選ぶかと聞かれたら、筆者は「チタニウム」を推す。

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スペースブラックチタニウムのモデル。ちょっと黒すぎてチタン感が薄まっている印象。

撮影:西田宗千佳

一方で、その場ではよくわからなかったのが「表面加工の硬さ」だ。せっかくのチタンボティー、傷がついては台無しだ。他社のチタン製時計では、傷を防止する加工に注力するものが多い。

Apple Watch Editionのチタンではどうだろう? もちろんある程度配慮はしているようだが、説明員にも「傷が付かない」とは言われなかった。Editionにはホワイトな「セラミック」ボディーのものもある。「傷への耐性ならばセラミックをお勧めする」と説明員はいう。

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アップルが「傷への耐性なら」と太鼓判を押すセラミック。今回は白のみが用意される。

撮影:西田宗千佳

この辺は実機を生活の中で使ってみないと、なんともコメントしづらい部分といえそうだ。高級感を求めるなら、むしろ「Apple Watch Hermès」の新モデルも、個性があって魅力的だ。ただ、13万3800円からと、Edition以上に高価だが……。

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「Apple Watch Hermès」のシンプルループ・バンド。

撮影:西田宗千佳

(文、撮影・西田宗千佳)

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