太陽系外惑星で水蒸気を初めて検出…生命存在の可能性

赤色矮星を周回するK2-18bの想像図。現時点においてK2-18bは、太陽系外のスーパーアースの中で、水と生命活動が維持できる温度を有する唯一の惑星であることが分かっている。

赤色矮星を周回するK2-18bの想像図。現時点においてK2-18bは、太陽系外のスーパーアースの中で、水と生命活動が維持できる温度を有する唯一の惑星であることが分かっている。

ESA/Hubble, M. Kornmesser


  • 研究者チームは、生命が存在する可能性のある惑星の大気中に、初めて水蒸気を検出した。
  • その惑星の名前はK2-18b。地球から110光年離れた赤色矮星を周回するスーパーアース(巨大地球型惑星)だ。
  • 太陽系外惑星で水と大気、さらに地表で液体としての水を保持するのに適した温度を有することが分かっている惑星は、今のところK2-18bだけだ。
  • そのため「K2-18bは、生命の存在する可能性が最も高い星」と研究者は述べた。
  • NASAが2021年に打ち上げる予定のジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡といった高性能の望遠鏡を使うことで、K2-18bや類似の惑星の研究がさらに進むことになる。

研究者チームは、生物が居住する可能性のある惑星の大気中に、初めて水蒸気を検出した。

その惑星の名前はK2-18b。スーパーアース(巨大地球型惑星)のひとつで、大きさは地球の2倍、質量は8倍だ。赤色矮星の周りを公転していて、その軌道はハビタブルゾーン(生命居住可能領域)、すなわち惑星表面で水が液体として存在できる領域内にある。

「現在確認されている太陽系外惑星の中で、水を液体として保持するのに適した温度の惑星は、今のところK2-18bだけだ。大気に水分が含まれていることから、この惑星は我々が知る中で最も生命が存在する可能性が高い。これらの発見に大変興奮している」と9月11日に科学誌Nature Astronomyに掲載された論文の筆頭著者であるアンゲロス・チアラス(Angelos Tsiaras)氏は記者会見で述べた。

ケプラー宇宙望遠鏡が地球から110光年離れたK2-18bを発見したのは2015年のこと。この惑星の水蒸気に関する新たな論文が9月11日に発表され、生命が存在する可能性のある太陽系外惑星に対する理解が大きく前進することになった。

現時点でスーパーアースは、我々の銀河系で最もよくあるタイプの惑星だと考えられている。また赤色矮星は小さく、気温が低く、寿命が長く、最もよくあるタイプの恒星だ。つまり、K2-18bのような太陽系外惑星は数多く存在すると考えられている。まだ証明はされていないが。

K2-18bとは?

K2-18bは小さな赤色矮星の周りを33日周期で公転していて、地球のように岩石で構成された惑星、あるいは氷に覆われ、その内側に水を持つ惑星だと考えられている。研究者の観測によると雲があるかもしれないが、それほど厚くはないようだ。

K2-18bと赤色矮星との距離は、地球と太陽の距離よりもずっと近い。それでもK2-18bが浴びる放射線が、地球よりもわずかに多いだけなのは、その赤色矮星が太陽よりもずっと小さく、温度も低いからだ。研究者の計測によると、K2-18bの温度はマイナス72℃から47℃の間で、地球と似ている。

K2-18bの大気の成分を明らかにするために、ハッブル宇宙望遠鏡から得られたデータを基に、K2-18bの大気を通過した星の光の分析が行われた。その結果、水の分子の痕跡が検出された。

地球を周回するNASAのハッブル宇宙望遠鏡。

地球を周回するNASAのハッブル宇宙望遠鏡。

NASA/Getty Images

データからは、大気中に水素とヘリウムが存在することも示された。

大気の重要性

K2-18bの水蒸気は、当分の間、消失することはないと考えられるため、継続的な研究に適していると研究者は述べた。K2-18bの恒星である赤色矮星はあまり活発ではなく、観測が始まって以来、爆発現象などは起こっていない。

加えて、K2-18bの大気が水素を含んているということも、水蒸気を継続的に保持する上で都合がよい。水素はずっと軽いため、放射線により大気が消失するとしたら、まずは水素から消失するからだ。

国際宇宙ステーションから撮影された地球。地表に近く、高密度な大気がオレンジ色に染まっている。

国際宇宙ステーションから撮影された地球。地表に近く、高密度な大気がオレンジ色に染まっている。

NASA/Marshall Space Flight Center

「スーパーアースは強力な重力により、大気を長い間保持できるため、水分も極めて長い期間保持される」と、論文の共同執筆者で物理学者のジョバンナ・ティネッティ(Giovanna Tinetti)氏は、記者会見で述べた。

同氏は火星の大気と比較して次のように説明した。火星にもかつては大気が(おそらく液体の水も)あったが、地球よりも小さく、引力も弱いため、それらを引きとどめておくことはできなかった。時間とともに、太陽から放出された荷電粒子やプラズマにより、火星の大気は引きはがされていったのだ。

K2-18bのような惑星が、生命の可能性を再定義する

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NASA/JPL-Caltech/R. Hurt (SSC-Caltech)

K2-18bの大気はほとんどが水素で構成され、地球のように窒素が豊富な大気とは異なっている。だが、そのような環境でも(少なくとも現時点の情報によれば)生命は誕生しうると研究者は述べた。

「我々が理解している居住可能性とは、極めて地球中心のコンセプトだ。生命が居住できる世界とは、ひとつは我々の地球のことだが、今新たに、二つ目の居住可能性のある世界が見つかった」と、論文の共同著者で太陽系外惑星の研究者であるインゴ・バルトマン(Ingo Waldmann)氏は述べた。

「水素が豊富な大気において、居住可能性がどのように進化していくのかを実際に理解するには、今後10年間、集中して研究に取り組む必要があるだろう」

その手始めとして最初にすべきことは、K2-18bの大気圧と大気に含まれる水分量を明らかにすることだと研究者は述べた。現時点では、K2-18bの地表がどのような状態なのか、知る方法がない。

「現在のデータでは、大気があるのか、水があるのか、それだけしか分からない」とチアラス氏は述べた。


幅6.4m、折り畳み式のベリリウム製反射鏡を搭載したジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡。はるか遠くの銀河系を観測するために用いられる。

幅6.4m、折り畳み式のベリリウム製反射鏡を搭載したジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡。はるか遠くの銀河系を観測するために用いられる。

NASA/Chris Gunn

9月10日にはもう一つの論文(査読はまだ行われていない)が科学論文公開サイトのarXivに投稿されており、その著者らは、K2-18bに雨を降らせているかもしれない雲の存在がデータに示されていると、Space.comに語った。さらに、K2-18bの大気があまりにも厚く、気圧が高すぎるため、地表で生命が存在するのは困難だろうとも述べた。

2021年に打ち上げられるNASAのジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡と、2028年に打ち上げられる欧州宇宙機関(ESA)のアリエル宇宙望遠鏡を用い、幅広い波長の光を観測することで、より多くのデータが得られるだろうと、チアラス氏は語った。そして、それらのデータを利用することで、 より多くのK2-18bのような惑星を発見する可能性が高まる。

「今回の発見が、これから続く多くの発見のうちの一つに過ぎないということになればいいと願っている。赤色矮星を周回するスーパーアースは、数多く存在しているのだから」とバルトマン氏は述べた。

「そして地球や他のスーパーアースと比較することで、ようやく生命の居住可能性とは何か、本格的な研究が始められることになる」

[原文:Scientists have discovered water vapor on a potentially habitable super-Earth for the first time. That planet is now our best bet for finding alien life.

(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)

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