アップルの新製品発表会後、ハンズオン会場で触れたiPhone 11。今回、Proよりも11の評価は高い。
撮影:石川温
いよいよ9月13日21時からiPhone11シリーズの予約受付が開始される。価格は、iPhone 11が64GB/7万4800円から。iPhone 11 Proは10万6800円から、iPhone 11 Pro Maxが11万9800円からだ(いずれも税別)。
さて、今年のiPhoneは「選びやすく」「買いやすく」なった感がある。
2年前の2017年は9月に「iPhone 8と8 Plus」、11月に「iPhone X」が発売となり、「どちらを買うべきか、いつ買うべきか」判断に迷った。特にiPhone Xはホームボタンがない初めてのモデルということで「ボタンがないと不便では」という心配もあった。
2018年は「iPhone XSとXS Max」は9月、「iPhone XR」が10月に発売。この型番だと「結局、どれが自分に合っているのか」がわかりにくかった。
今年のiPhone 11はとてもわかりやすいラインナップだ。
メインモデルはiPhone 11であり、さらにプロ仕様としてiPhone 11 ProとiPhone 11 Pro Maxが存在する。
とにかく「普通に使えればいい」というのであれば、iPhone 11を選んでおけば間違いはない。万人向けのiPhoneとして申し分のないデキに仕上がっている。
iPhone 11か11 Proか。それが問題だ
iPhone 11を紹介するアップルのティム・クックCEO。カラバリは6色だ。
撮影:石川温
本体カラーはパープル、イエロー、グリーン、ブラック、ホワイト、プロダクトレッドの全6色。iPhone XRはビビッドな色あいであったが、今回は比較的、淡い色あいになっている。
画面サイズは6.1インチ。有機ELではなく、液晶だ。昨今のハイエンドモデルは(iPhoneに限らず)有機ELディスプレイがほとんどだが、iPhone 11の液晶も十分に美しく、映画や写真などを美しくこだわってみたい人以外は液晶で十分なはずだ。
背面は光沢のあるガラスで、側面はアルミニウムとなっている。カメラ部分が土台として四角く盛り上がっているが、これは背面全体と1枚のガラスで構成されている。
iPhone 11のカラバリの1つ。淡いパステル調の色あいが美しい。
撮影:石川温
カメラは2つ。広角(26mm)と超広角(13mm)だ。上位モデルとなるiPhone 11 Pro、iPhone 11 Pro Maxにはもうひとつカメラ(望遠、52mm)がつく。
これまでも2つのカメラを搭載したiPhoneがあったが、いずれも広角と望遠という組み合わせだった。
iPhone 11は広角と超広角の組み合わせだが、この「超広角」が本当に侮れない。
ちょっとカメラに詳しい人なら、「13mmなんて魚眼レンズじゃん」と思うかも知れない。そこまでいかなくても、被写体の端のほうが歪んでしまうのではないか、と心配になるだろう。実際、Androidスマホの3眼カメラで超広角を採用しているところでは、端のほうが歪んでしまうスマホもある。
しかし、iPhone 11は(発表会後のタッチアンドトライで少しだけ触っただけに過ぎないとはいえ)、本当にちゃんとした「歪まない超広角での撮影」が可能だ。
背面の2つのカメラ、前面のセルフィーカメラ、それぞれの画角を表示させたところ。
撮影:石川温
また、iPhone 11では、広角で撮影した際、同時に超広角でも撮影しておいてくれる(オフにしておくことも可能)。超広角画像を30日間、保存してくれる。時々、「傾きを直したい」と思って、傾きを調整してのち、トリミングすると被写体が切れてしまうということに陥りがちだが、そうした場合も超広角で撮影した画像を編集すれば良いので、被写体が切れるということもない。
また、今回から、シャッターボタンを単押しにすると静止画が撮影できるが、長押しをすると動画が録画できるような操作性になった。
これまでは静止画と動画の切り替えが面倒だったが、「ペットを静止画で撮影していたら、可愛い動きをし始めたで、すぐに動画」というのも簡単に出来てしまう。指を離せば動画撮影は終わるが、指をスライドさせると動画の撮影が継続されていく。
耐水性能はIP68等級(最大で水深2メートルで最大30分間)。
出典:アップル
アップルでは「誰でも簡単に、難しいことは何も考えずに、撮影に集中できる」というカメラづくりをしているようで、こうした操作性が取り入れられたようだ。
同様に、これまでiPhoneが不得意とされていた暗い場所での撮影も、カメラが暗さを自動的に判断し、「ナイトモード」が勝手に起動して、雰囲気のある写真を撮ることが可能になった。
こうしたカメラ周りの機能は、iPhone 11だけでなく、iPhone 11 ProやiPhone 11 Pro Maxにも共通している。
「2眼か3眼か」「液晶か有機ELか」が無印とProを選ぶ上でのひとつのポイントとなる。
多くの人はiPhone 11で満足できるだろうし、いま3年前のiPhone 7を使っている人からすれば、処理速度は劇的に向上し、カメラの画質にも圧倒されることだろう。
「メールとSNSぐらいしか使わないから、iPhone 7やiPhone 8で十分」とは思わず、一度、大きく進化したiPhone 11を触ってみることをおすすめしたい。
(文・石川温)