Daniel Berehulak /Getty Images
チンギス・ハンの騎馬軍団からハンニバルの象、第一次世界大戦の伝書鳩まで、動物たちは何世紀にもわたって人間の軍事オペレーションで重要な役割を担ってきた。
そして、テクノロジーの進歩にもかかわらず、軍は今でも軍事パレードや輸送、武器の探知のために動物を使っている。
今日の軍隊で動物たちが果たしているさまざまな役割を見ていこう。
2018年にノルウェー沖で見つかったベルーガは、ロシアのスパイとして訓練されているのではないかと疑われた。
ハーネスを着用したベルーガがノルウェー沖で見つかった(2019年4月29日)。
Jorgen Ree Wiig/Sea Surveillance Service/Handout/NTB Scanpix via REUTERS
「Equipment St. Petersburg(サンクトペテルブルクの装備」と書かれたハーネスを着用しているベルーガを最初に発見したのは、ノルウェーの漁業関係者だと、ワシントン・ポストは報じた。このベルーガはものすごく人懐っこく、これは野生のベルーガには見られない行動だ。当時、そのハーネスにはカメラや武器のようなものが取り付けられていたのではないかと考えられていた。
その後、GoProのカメラベースを装着した別のベルーガも姿を見せ、地元の人々から「Whaledimir」と呼ばれていた。
米海軍はアシカを使って、人間が到達できない深さから物体を回収するのに使っている。
ハンドラーの指示を待つアシカ。
Mass Communication Specialist 1st Class Kathleen Gorby / US Navy / DVIDS
「アシカは素晴らしい視力、聴力を持ち、水中のターゲットを探知、追跡できるのです」と米海軍は説明している。アシカは減圧症などになることなく、人間のダイバーよりも深く潜ることができるという。
原子力潜水艦の近くをパトロールしたり、敵のロボットやダイバーなどを探知するよう訓練されている。
米海軍は、機雷を見つけるのにイルカも使っている。
機雷を探す訓練を受けるイルカ。
SPAWAR Systems Center Pacific / US Navy / DVIDS
米海軍によると、「1959年以降、米海軍は水中の脅威から我々の兵士たちを守るため、イルカやアシカをチームメイトとして訓練してきた」 という。
「イルカは生まれながらにして最も洗練された音波探知能力を備えている」とし、「音波探知機で探知するのが難しい海中の機雷やその他の危険な物体も、イルカなら容易に見つけることができる」という。
インド陸軍は、軍事パレードにラクダを使用。
共和国記念日のパレードに向け、リハーサルをするインド国境警備隊(2011年1月23日、ニューデリー)。
B Mathur / REUTERS
インド国境警備隊は2017年、標高の高い地域での物資の運搬にラクダを使うプログラムも試している。
Times of Indiaによると、ラクダは馬やラバよりも大幅に重い180~220キログラムもの荷物をよりスピーティーに運べるという。
今なら乗り物で行けるかもしれない起伏の激しい場所での任務に備え、米陸軍特殊部隊では馬やラバを訓練している。
Lance Cpl. William Chockey / US Marine Corps / DVIDS
アメリカがアフガニスタンに侵攻した直後、山間部の厳しい地形の中を馬に乗って移動したグリーンベレーには、「horse soldiers(騎馬兵)」というニックネームが付けられた。
もちろん、"人間の親友"たちも軍で重要な役割を果たしている。
自身の引退セレモニーに出席する米軍の軍用犬オータム。オータムはトルコのインジルリク空軍基地で7年間任務を果たした(2019年7月29日)。
Staff Sgt. Joshua Magbanua / US Air Force / DVIDS
米軍の軍用犬で最も有名なのは、海兵隊のマスコットを務めたブルドッグ「チェスティー(Chesty)」だ(チェスティーは2018年に引退した)。だが、軍用犬は爆発物や薬物をかぎ分けたり、基地のパトロールや見張り役を務めるなど、非常に重要な任務を果たしている。
インド軍は馬やラバを起伏の激しい、標高の高い場所での輸送手段として使っている。
トラックでラバを運ぶインド軍。
Jayanta Shaw / REUTERS
2019年の時点で、インド陸軍は活動の困難な場所で馬やラバを輸送手段として使っている。
[原文:Meet the camels, Beluga spy whales, and other animals who serve in militaries around the world]
(翻訳、編集:山口佳美)