「失われた大陸」を発見…南ヨーロッパの地下に眠っていた

1億4000万年前にあった大アドリア大陸の地図。

1億4000万年前にあった大アドリア大陸の地図。

Courtesy of Douwe van Hinsbergen

  • 数億年前の地球には、すべての陸地がひとつに集まった、パンゲア大陸と呼ばれる巨大な超大陸が存在していた。
  • パンゲア大陸はやがて、それよりも小さい陸塊に分裂し、さらに断片化して現在の大陸になった。
  • 新たな研究により、1億2000万年前ごろに「第8の大陸」が現在の南ヨーロッパの下に沈み込んだことが明らかになった。その大陸は現在も、地下深くに隠されている。
  • 科学者たちは、その失われた大陸を「大アドリア大陸」と名づけた。この大陸の最上層は、アルプス山脈などヨーロッパ全土の山脈地域を形成した。

2億4000万年前の世界地図は、現在とはまったく様相が違っていた。

当時は、現在の地球を構成する各大陸がひとつにつながり、パックマンのような形をした「パンゲア大陸」と呼ばれる超大陸を形成していた。パンゲアはやがて、2つの大陸に分裂した。北のローラシア大陸と南のゴンドワナ大陸だ。ローラシア大陸はその後、ヨーロッパ、アジア、北アメリカになった。ゴンドワナ大陸は、現在のアフリカ、南極、南アメリカ、オーストラリアに分裂した。

だが最近、ゴンドワナ大陸のふところから生まれたある大陸の辿った運命が明らかになった。研究チームは、その大陸を「大アドリア大陸(Greater Adria)」と名づけた。

9月3日付けで発表されたこの研究によると、そのグリーンランド大の陸塊は、1億2000万年前から1億年前ごろにかけて、地質学的な力により、南ヨーロッパの下にゆっくりと押し込まれていったという。

大アドリア大陸は、最初からすでに半分沈んだ状態にあったが、地球のマントル(地球内側の岩石からなる層)に向かって沈み込んでいくにつれて、上層部を削りとられた。残った突出部は、現在のヨーロッパ30カ国に散らばる山脈を形成する基礎になった。


クロアチアのイストリア地方。

クロアチアのイストリア地方。

Flickr/Gigi Griffis

研究論文の筆頭著者であるダウエ・ファン=ヒンスベルゲン(Douwe van Hinsbergen)氏は、大アドリア大陸の沈み込みを、長袖の服を着た腕をテーブルの端から下に押し込む行為になぞらえている。

ファン=ヒンスベルゲン氏はBusiness Insiderに対して「セーターを着ていて、腕だけをテーブルの下に押し込む様子を想像してほしい」と述べた。セーターの袖だけがテーブルの端に残り、ひだのように折り曲げられて上方に突き出る。このひだになった袖が、「アドリア大陸の地殻の上層数kmに相当する。そして腕は、地下数百km、場合によっては数千kmのマントルに沈んでいくプレートにあたる」とファン=ヒンスベルゲン氏は説明している。

この「セーターのひだ」が、イタリアのアペニン山脈、ボスニア・ヘルツェゴビナのディナル山脈、スイス・アルプス山脈、イランのザグロス山脈、ヒマラヤ山脈などのユーラシアの山脈地帯になった。

大アドリア大陸の地質史の再構築

大アドリア大陸の全貌を知るために、ファン=ヒンスベルゲン氏らの研究チームは10年を費やし、ヨーロッパ、北アフリカ、西アジアの各国から地質学的データを集めた。

研究チームが2億4000万年にわたる構造プレートの動きを追跡するのに役立ったのが、地球の地殻で自然発生する磁石だ。移動する2つのプレートの境界で高温の溶岩が冷えるときに、磁性鉱物を含む岩石が閉じ込められる。こうした鉱物の磁性は、その時点での地球の磁場の向きと一致している。岩石はその向きを保存するため、その方向を調べることで、そうした磁性鉱物が数千万年前に地球上のどこにあったかを推定できるわけだ。

研究チームは、地中海周辺の2300地点にのぼる古い地質から採取した磁性鉱物を調べ、そのデータをもとに、大アドリア大陸のマントルへの沈み込み前後やその最中の地球の構造プレートの動きを再現するコンピューターシミュレーションを作成した。

研究チームの計算によれば、この隠れた大陸は、2億2000万年前に現在のアフリカから分裂した。さらにその4000万年後には、のちのイベリア半島になる陸塊から切り離されたという。1億4000万年前ごろまでには、大アドリア大陸はひとつながりの列島になっていたものと考えられると、ファン=ヒンスベルゲン氏は科学系ニュースサイトのライブ・サイエンス(Live Science)に話している

その当時の大アドリア大陸は、おそらく現在のジーランディアのような姿をしていたのだろう。ジーランディアは、ニュージーランドの北島と南島の土台をなす微小大陸(minicontinent:大陸とはされていないものの、大陸地殻を有し、近くの大陸と地質学的につながっていない陸塊のこと)で、海上に出ている陸地は全体の7%にすぎない。


1億4000万年前の地球の陸塊の配置を示す再現図。濃い緑色は海上に出ている陸塊を、薄い緑色は沈んだ陸地を示している。

1億4000万年前の地球の陸塊の配置を示す再現図。濃い緑色は海上に出ている陸塊を、薄い緑色は沈んだ陸地を示している。

Courtesy of Douwe van Hinsbergen

その後、1億2000万年前から1億年前にかけて、地球の構造プレート相互が押し合う力により、大アドリア大陸は沈み込み、現在の南ヨーロッパにあたる陸の下に潜り込んだ。

「最深部は、現在ではギリシャの1500m下の深さにある」とファン=ヒンスベルゲン氏は述べる。

さらに研究チームは、大アドリア大陸の断片の一部がヨーロッパの下に沈み込まず、海上に残ったことも明らかにした。そうした断片は最終的に、トリノやベネチアなどのイタリアの一部や、クロアチアのイストリア地域になった。

はるか昔の地球の姿を知ることは、貴重な鉱床の探査に役立つかもしれない

ファン=ヒンスベルゲン氏によれば、地球の地質史の再構築は、貴重な鉱物の鉱床を開発したい国や企業の役に立つという。というのも、特定の磁性鉱物が地殻にどのように埋蔵されているのかについて、地域的なパターンを明らかにできるからだ。

「金属、セラミック、建築材料など、あらゆるものは岩石から生まれる」とファン=ヒンスベルゲン氏は指摘する。「森の中を闇雲に歩きまわっていては、次なる金鉱や銅鉱、あるいはiPhoneを動かしている聞いたこともないような鉱物は見つからない」

地質学的な再現は、すでに知られている既存の鉱床の成り立ちや、地中に残っている鉱物の埋蔵場所に関する理解を深めるのにも役立つ可能性がある。


[原文:A lost 8th continent is hidden nearly 1,000 miles under Europe, new research shows. Scientists named it 'Greater Adria.'

(翻訳:梅田智世/ガリレオ、編集:Toshihiko Inoue)

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