ショーケース・ギグのリリース文。
出典:Showcase Gig
モバイルオーダープラットフォーム「O:der」(オーダー)を展開するShowcase Gig(ショーケース・ギグ)はJR西日本グループと資本業務提携を結んだことを公表した。出資はJR西日本グループのCVCであるJR西日本イノベーションズが担う。出資金額は非公表。関係者によると数億円規模と見られる。
Showcase Gigは今回の増資の目的を「JR西日本グループにおける商業施設の待ち時間短縮・利便性向上の推進、およびJR西日本エリアでの導入店舗拡大によるショーケース・ギグの企業価値向上」としている。
Showcase Gigは2018年9月以降、JRグループとの資本業務提携や実証を重ねてきており、JR東日本スタートアップ社、JR九州グループに続き、今回のJR西日本グループがJRグループ3社目の資本業務提携となる。
広報担当者によると、スタートアップ企業でJRグループ3社と資本業務提携をした初の事例だという。
JRグループの狙いは「2020年、そしてインバウンド対策」か
いわゆる「売店」以外の駅ナカ業態は多様。駅弁やお土産、飲食店を一定程度、セルフ決済化できれば、人手不足の解消につながる。またキオスク端末での決済なら英語など多言語対応もしやすい(写真はイメージです)。
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Showcase Gigの強みは、国内のPOSレジ大手東芝テックと連携することで、アプリによるモバイルオーダーと専用のSuica対応のセルフ注文端末「O:der Kiosk」での決済(売り上げ)情報を、店舗の既存POSレジシステムと一気通貫にネットでデータ連携できることだ。
POSレジと連携可能なことで、モバイルオーダーやテイクアウトアプリなどの「レジ以外の決済」のデータを手作業で2度打ちする手間が省けるため、店舗側のリソースの負担が少なくて済む。
すでに実施している実証では、
- 2019年1月 【JR東日本グループ】首都圏の駅ナカ9店舗でのモバイルオーダーの実証開始(その後12店舗に拡大)
- 同年4月 【JR九州グループ】九州の駅ナカ店舗でモバイルオーダーの実証開始
- 同年8月 【JR東日本グループ】「R・ベッカーズ池袋東口店」へのセルフ注文決済端末の導入
といったものがある。
9月上旬からR・ベッカーズ池袋東口店で実証稼働が開始しているセルフ注文端末「O:der Kiosk」。Suicaなどの交通系電子マネーのほか、クレジットカード決済に対応。
出典:Showcase Gig
セルフ注文端末の導入実証は始まったばかりだが、同広報によるとスタート直後から好調な利用が進んでおり、手応えを感じているという。
セルフ注文端末では現状、会員登録などが不要なため、モバイルオーダーと合わせて、導入店舗のレジ担当の省人化とキャッシュレス化、インバウンド客向けの決済手段強化を同時に実施できる形だ。
JR側の導入先イメージとしては、JRグループが各地で展開する駅ナカの飲食店や、駅弁屋、商業施設店舗を想定。同グループが一斉にこうした取り組みを進める背景には、東京2020などを契機とするインバウンド需要増加への素早い対応と、グループをあげたデジタル化の促進が念頭にある。
(文、写真・伊藤有)