木星に衝突したのは450トンの流れ星だった…アマチュア天文家が撮影

木星に衝突したのは450トンの流れ星だった

Ethan Chapel/Twitter

  • 8月、アマチュア天文家が木星での大衝突の映像を偶然撮影した
  • この動画を新たに分析したところ、この閃光は450トンの隕石よるもので、TNT火薬24万トン分の爆発を引き起こしたことが明らかになった。
  • 木星でこのような閃光を見ることはまれであり、動画で撮影できたのはさらに珍しい。

8月のある暖かい夜、アマチュア天文家のイーサン・シャペル(Ethan Chappel)氏は、テキサス州シボロにある自宅の裏庭に小さな望遠鏡を設置し、木星に向けた。巨大な惑星に焦点が合うと、その表面に光が噴出した —— 閃光は木星の衛星イオと同じくらい明るかった。

シャペル氏が撮影した動画を新たに分析したところ、450トンの隕石が木星に衝突した瞬間を偶然撮影したものだわかった。フロリダ工科大のラマンアクマール・サンカール(Ramanakumar Sankar)氏とクサバ・パロタイ(Csaba Palotai)氏が行った分析では、爆発のエネルギーはTNT火薬24万トンに相当すると計算された。

これは2010年以来、木星への衝突の閃光は6回目のことであり、これら閃光の中で2番目に明るいものだった。

「ビデオ撮影は、私の日常の一部。タイミングがよかった」とシャペル氏はTwitterで映像を公開した直後にBusiness Insiderに語った

隕石の衝突の瞬間は、シャペル氏の映像(下)の開始から約5秒後、木星の左下付近に現れ、約1.5秒続く。


パロタイ氏はBusiness Insiderに宛てた電子メールの中で「我々はビデオを見ただけではわからない、いくつかの詳細を明らかにするモデリング機能を持っている」と述べた。研究者たちは、分析結果を1カ月以内に発表したいと考えているという。

天文学者たちは映像に殺到した

衝突の閃光を研究しているフランスのアマチュア天文家、マルク・デルクロワ(Marc Delcroix)氏はプレスリリースの中で、このような現象を発見されるのはまれだと述べている。

「衝突による閃光は微かで短く、何時間も惑星を観察していても見落としてしまう可能性がある」

シャペル氏でさえ、撮影した数時間後にビデオを処理するまで、閃光には気づいていなかった。彼はデルクロワ氏に電話をかけ、デルクロワ氏は惑星科学者のリカルド・ヒューソ(Ricardo Hueso)氏に電話をした。デルクロワ氏とヒューソ氏は、シャペル氏がビデオの処理に使ったソフトウェア「DeTeCt」の開発者だ。

「それから2日も経たないうちに、我々は光度曲線を描き、物体の大きさと質量を最初に推定した」とヒューソ氏はBusiness Insiderに電子メールで述べた。

一方、フロリダでは、サンカール氏とパロタイ氏が動画を見て、独自の分析を開始した。その後、2つのグループはすぐに結び付いた。


5d8168272e22af5e8c422ca5閃光の光度曲線は、木星の大気の中で火の玉がどれだけ燃え続けたを示している。

閃光の光度曲線は、木星の大気の中で火の玉がどれだけ燃え続けたを示している。

E. Chappel/R. Sankar/C. Palotai

ヒューソ氏は「木星の大気中での隕石の破砕について十分な質のデータが得られたのは、今回が初めてだ」と述べた。

そのおかげで、サンカール氏とパロタイ氏は隕石の密度を正確に推定することができた。彼らはそれがケイ酸塩、ニッケル、鉄でできた石鉄隕石に似ていることを発見した。つまり、この物体は彗星ではなく小惑星だった可能性が高い(小惑星は岩と金属でできており、彗星は氷と塵と岩でできている)。


(左)シャペルのビデオの複数の静止画で作成された閃光の合成イメージ。(中央)画像から木星の光が取り除かれた状態の閃光。(右)明るさのピークでの閃光のズーム画像。

(左)シャペルのビデオの複数の静止画で作成された閃光の合成イメージ。(中央)画像から木星の光が取り除かれた状態の閃光。(右)明るさのピークでの閃光のズーム画像。

E. Chappel/R. Hueso/M. Delcroix/DeTeCt

デルクロワ氏とヒューソ氏がジュネーブで開催された会議で発表したこの発見からは、隕石の直径は約12メートルから16メートルだったことが想定される。隕石は木星の雲の上空約80キロメートルで崩壊した。

この衝突で放出されたエネルギーは、2013年にロシアのチェリャビンスク上空で隕石が爆発した際に放出されたエネルギーの約半分だった。


2007年5月10日、イランのテヘランから南東に150km離れた砂漠、ガシュレ・バラムで開かれたメシエ・マラソン(一晩でメシエ天体をできるだけ多く見ようとするイベント)に参加しているアマチュア天文家が、望遠鏡を設置している。

2007年5月10日、イランのテヘランから南東に150km離れた砂漠、ガシュレ・バラムで開かれたメシエ・マラソン(一晩でメシエ天体をできるだけ多く見ようとするイベント)に参加しているアマチュア天文家が、望遠鏡を設置している。

Reuters/Morteza Nikoubazl

ヒューソ氏は、シャペル氏が動画を公開する前に、このような物体が毎年10から60個、木星に衝突していると見積もっていたと述べた。しかし現在では、その数を20から60に訂正している。

「木星はサイズが大きく重力場も大きいため、この衝突率は地球の1万倍だ」とHuesoはプレスリリースで述べた。

ヒューソ氏とデルクロワ氏は、アマチュアの衝突閃光検出プロジェクトを運営しているため、シャペル氏の映像が、木星や土星への衝突を撮影した同様の映像を収集するアマチュア天文家をさらに刺激することを期待している。

「アマチュア天文家のコミュニティは今回の出来事で活性化した」とデルクロワ氏。

「観測者の数と処理されるデータの量は急速に増加している」


[原文:An amateur astronomer accidentally recorded a rare flash on Jupiter. The culprit turned out to be a 450-ton meteor.

(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)

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