ビボス・グループの地下シェルター。
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- 気象災害や核攻撃の脅威に促され、人類滅亡の日を生き延びるための地下シェルターを購入する裕福な人たちがいる。
- これらのモダンで豪華な地下シェルターは、フリーズドライの食品から爆風にも耐えられる扉に至るまで、地下で数年にわたって生き抜くための装備が施されている。
人は何百年にもわたって地球の滅亡の日を恐れてきた。だが、我々が安全に暮らすための手段はかつてないほど進歩している。
核戦争や自然災害が起こったとしても、一握りの裕福なサバイバリストたちは、地下シェルターへ避難する用意ができているようだ。
サバイバル・コンド・プロジェクト(Survival Condo Project)のような企業が、世界的な災害が発生した時に超富裕層が避難する豪華な地下シェルターを建設している(今住んでもいい)。このような地下住宅は、災害時でも快適に暮らせるように造られていて、映画館やプール、ロック・クライミング・ウォールを備えているところもある。ビボス・グループ(Vivos Group)の地下シェルターは、居住者を外部の脅威から守るためにセキュリティカメラなどの設備も提供している。
ただ、どんなに豪華な施設であっても、地下シェルターに共通して必要なのは、爆風に耐えられる扉や大量のフリーズドライ食品、医療用品等を備えているといったことだ。
モダンで豪華な地下シェルターがどのようなものか、見てみよう。
洪水などの自然災害を避けるために、多くの地下シェルターは高地の水源から離れた場所に立地している
ビボスの地下シェルターのひとつが、ドイツのローテンシュタインにある。
Courtesy of Vivos
ビボス・グループは、サウスダコタ州ブラックヒルズ近く、標高約1160mの場所に地下シェルターを配置している。その他、インディアナ州やドイツにもある。シェルターは水没しても長期間耐えられる構造となっている。もちろん、その間は密閉され、誰も出入りができない。
シェルターは通常、過疎地で、軍事施設から離れた場所に配置する
サウスダコタ州にあるビボスの地下シェルター群、エックスポイントは、マンハッタンほどの面積。
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自宅の裏庭にシェルターを設置するのはよくないと、ビボスはアドバイスしている。さらに、シェルターの場所は秘密にしておくべきだと。
地下シェルターは、人里離れ、軍事目標からも遠い場所に配置すること。もし、ロシアがアメリカに核攻撃を仕掛けるとした場合、ターゲットとなる可能性がある場所としてロシアの国営テレビがあげたのは、ペンタゴン(国防総省)、キャンプ・デービッド(大統領の別荘)、ワシントン州のジム・クリーク海軍ラジオ局、メリーランド州のフォート・リッチー、カリフォルニア州のマクレラン空軍基地などだ。
地下シェルターは、中にいる人を核爆弾の爆風から守ることができるため、最も安全だと考えられている
カンザス州のサバイバル・コンド入り口。
Courtesy of Survival Condo Project
サバイバル・コンド・プロジェクト(Survival Condo Project)は、カンザス州で地下15階のシェルターを運営している。この施設はかつてのミサイルサイロを再利用していて、その内部は地下数百メールまで広がっている。超富裕層の人々が終末の日を生き延びられるように設計されているが、その日が訪れるまでは、購入者はいつでも自由に訪問できる。
ベストなシェルターは、鉄の扉を備えている
ドイツのローテンシュタインにあるビボスの地下シェルターには、爆風に耐えられる扉が設置されている。
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ビボスの地下シェルターには爆風に耐えられる扉が設置されている。これは原子力発電所で使われているものと同じタイプで、コンクリートを鋼鉄で包む構造になっている。
シェルター外部を覆う分厚いコンクリートによって、内部にガスや水が入り込まないよう密閉されている
サバイバル・コンドの建設現場。
Courtesy of Survival Condo Project
サウスダコタ州にあるビボスのコンクリート製シェルターは、10kmほどの距離で発生した20メガトン級の爆発に耐えられるよう設計されている。繊維ガラスやトタンで造られたシェルターは、薄すぎて、核攻撃や気象災害には耐えられないだろう。
施設外からの脅威を監視するセキュリティシステムが組み込まれたシェルターもある
ドイツにあるビボスの地下シェルター出入口を見張る監視カメラ。
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サバイバル・コンド・プロジェクトでは武装したセキュリティ・ガードが施設をパトロールする。何かが起きた場合には、ガードが特殊部隊仕様のトラックに乗り込み、約640km以内にいるシェルター所有者を迎えに行く。
サバイバル・コンド・プロジェクトは植物工場まで備えており、電力があれば居住者は野菜を栽培することができる
サバイバル・コンドの植物工場。
Courtesy of Survival Condo Project
水耕栽培では作物を育てるために照明器具が用いられる。また水槽では居住者に提供するためのティラピアが育てられている。
ボトルを積み上げて保管する代わりに、地下の井戸から水を汲み上げるシェルターもある。
サバイバル・コンド内部
Courtesy of Survival Condo Project
人間は水なしでは3、4日しか生きることができない。サウスダコタ州にあるビボスのシェルターでは、地下の井戸からステンレス製のタンクに水を汲み上げている。
シェルターには医療品の準備は欠かせない
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絆創膏、除菌シート、常用している処方箋医薬品など、すぐに使える基本的な医療品を用意しておくのはいいアイディアだ。
放射性ヨウ素が体内に吸収されるのを防ぐヨウ化カリウムの錠剤を用意する人もいるが、核による惨事の前ではそれほど役に立たないかもしれない。放射性ヨウ素は、核爆発により受ける被ばく線量の0.2%ほどでしかないからだ。
ビボスの入居者は、常用している薬をシェルターでも保管するために、事前に送るよう要請される。さらに入居者はシェルターに入る前に汚染物質やウイルスに侵されていないかをチェックされる。
災害による停電を想定し、地下シェルターは送電網に頼らない電力を確保する必要がある
サバイバル・コンドの発電機。
Courtesy of Survival Condo Project
電力を供給するために、地下シェルターには発電機を設置する必要があり、さらにそれを稼働させるための燃料も備蓄しなくてはならない。
放射性降下物(死の灰)による空気の汚染を防ぐために、エアフィルターを設置する地下シェルターもある
エアフィルターの検査。
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地下シェルターを製造するライジングS社(Rising S Company)は、核・生物的・化学的汚染物質(Nuclear, Biological, and Chemical)を除去できるという「NBC」空気浄化システムを提供している。
これは、核爆発後に発生する放射性物質の雲や大気中に放出される死の灰による汚染を防止するシステムとして売り出されている。硫黄化合物やシアン化物などの化学兵器による有害なガスも除去できるとライジングS社は述べている。
このような終末の日に備えた施設の利用費は非常に高額だ
ドイツにあるビボスの地下シェルター。
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サウスダコタ州とインディアナ州にあるビボスの地下シェルターを賃貸する場合、前金として3万5000ドル(約380万円)、さらに年間1000ドル(約108万円)支払う。1戸で10~24人が収容できる。ドイツにあるプライベートアパート・タイプは、購入価格が200万ドル(約2億1500万円)。
サバイバル・コンド・プロジェクトはさらに高額となり、1戸の購入金額は約300万ドル(約3億2300万円)で、これには備え付け家具と入居者1人当たり3年分の食料も含まれている。面積は平均的なタイプで約170平方メートル、おおよそ6~10人が収容できる。
サバイバル・コンドに対する人々の関心は、「誰が大統領であるかによって変わる」と同施設の設立者、ラリー・ホール(Larry Hall)氏は、以前Business Insiderに語った。
「トランプ大統領と北朝鮮の金正恩氏とのやり取りが激しく、緊迫していた時には、問い合わせの電話が鳴りやまなかった」
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)