メルカリ経済圏の“金融サービス化”が見えた「メルペイカンファレンス2019」

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約半年間でメルペイがリリースしてきたサービス群。

撮影:鈴木淳也

10月1日の消費増税とともに「キャッシュレス普及」をにらんだポイント還元施策がスタートする。○○Payの名称にみられるモバイル決済事業者はほぼ出揃い、各社ごとの戦略の違いも明確になりつつある。

2019年2月に後発組としてスタートした、メルカリのモバイル決済サービス、メルペイだが、非接触決済の「iD」対応で参入し、翌月には中小小売店をターゲットにしたQRコード(バーコード)決済を開始した。

4月には残高チャージの必要なく決済が可能な「メルペイあと払い」を開始し、5月にはネット決済サービスにも参入している。後発ながらもサービス開始約半年で400万人のユーザーに到達した。

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予定のものも含め現在100の金融機関との接続を実現しつつある。

撮影:鈴木淳也

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半年間でメルペイ利用者数は400万人を突破。

撮影:鈴木淳也

9月18日に都内で開かれた、メルペイの最新事情の展望を語る「メルペイカンファレンス」では冒頭、まず経済産業省のポイント還元施策への対応に向け、事業者登録が完了したことをメルペイ代表取締役の青柳直樹氏が報告した。これにより、中小小売店でのメルペイ決済時の5%還元が可能になる。

また、通常は1.5%の決済手数料で加盟店契約をしている同社だが、主に都市部の中小小売りや地方を中心としたキャッシュレス推進とサービス拡大のため、2020年3月いっぱいまでに申し込むことで、手数料の無料化を発表している(2020年6月30日までの限定施策)。

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中小小売店や地方加盟店開拓を目的に期間限定で決済手数料の無料化を実施(通常は1.5%)。

撮影:鈴木淳也

過当競争感もあるモバイル決済の世界ではあるが、その立ち回りの巧さと、「メルカリ」という強力なフリマアプリのサービスをバックに持つメルペイは、独特の存在感を漂わせている。

同社によれば初めてメルペイに触れたユーザーの約8割はそのまま以後もサービスを使い続ける傾向があるという。決済金額もユーザー数増加に比例する形で順調に伸びているようだ。

モバイル決済は「危険」を払拭する

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安全なモバイル決済実現に向けた取り組みとしてPayPayとLINE Payとの連携を開始。3社の代表が一同に介するのは珍しい。

撮影:鈴木淳也

一方で、昨今の7pay問題にみられるように、モバイル決済そのものの安全性に疑義を抱かせるような事件が報告されるなど、各社が一斉にサービスの補償内容の見直しに向かわせる動きも続いている。

メルペイも例外ではなく、利用者保護の姿勢を明確に打ち出すとともに、同業者であるPayPayやLINE Payと共同でセキュリティに対する取り組みを推進していくことを発表した。

2019年3月にLINE Payを中心にメルペイが参画する形でスタートした、加盟店の相互開放を進めるMobile Payment Alliance(MoPA)という仕組みがある。

ここには7月にNTTドコモのd払いが参加しているが、今回新たにKDDIがau PAYでの参加を発表し、4社体制へと移行した。

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LINE Payとメルペイの連携でスタートしたMobile Payment Allianceはドコモのd払い参加に続き、KDDIのau PAYも参加。

撮影:鈴木淳也

このメルペイの「出口」を増やす戦略は同業者の中でもユニークだ。

例えばサービス参入第1弾として提供された「iD」対応は、メルペイ自身が加盟店開拓を行わずとも、すでに大量に存在するiD加盟店を「出口」として利用できる。この点での利便性が高かった。

特に「メルカリでの売上金を決済に流用する」という特徴を持つメルペイにとって、出口の豊富さはメルカリそのものの利用促進にもつながる。au PAYとの連携のほか、今回はさらに「ふるさとチョイス」との連携でふるさと納税への対応を表明している。

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キャッシュアウト先として「ふるさとチョイス」との連携でふるさと納税に対応。今後対応自治体を増やしていく。

撮影:鈴木淳也

キャッシュアウト(出口)とは逆に、こんどはメルペイに残高をチャージする仕組みであるキャッシュイン側の拡充も進んでいる。

将来的に給与振り込みの銀行口座以外の選択肢として、メルペイを選択可能にすることを検討している。

pringやPayPayといったサービスも「給与の電子マネー払い」時代をにらんだ対応を進めているが、メルペイではまず最初のとっかかりとしてCrowd Works、ビザスク、Lancersとの連携で、これらサービスを利用して得た報酬やインセンティブの振り込み先をメルカリにする仕組みを提供するという。

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給与などキャッシュインの原資となるお金は銀行口座を経由して、さまざまな形で支払いに充てられている。今後はこの一部について直接メルペイへの入金の仕組みを構築していく。

撮影:鈴木淳也

メルカリ経済圏拡大を支える「入り口・出口」戦略

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キャッシュインとキャッシュアウトの仕組みを充実させるメルペイだが、やはり主力となるのはメルカリの売上金。

撮影:鈴木淳也

「入り口」と「出口」の拡充で使いやすいサービスを目指すメルペイ。

その中核にあるのはやはりメルカリだ。収益化などの見通しについて聞かれた青柳氏は「メルペイ単体での事業の収益化は考えていない」と答えている。メルペイ自体が、メルカリを含めた同グループ全体の経済圏拡大のエンジンや潤滑油的なポジションにあることを半ば認めている。

つまり、メルカリの事業ベースを最大限に活用しつつ、そこにフィードバックするような仕組みであったり、弱点を補強するようなサービスがメルペイには求められているということになる。

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50以上のサイトがネット決済にメルペイ対応を表明。主に服飾系ブランドが多いのはメルカリの属性を反映したものなのだろう。

撮影:鈴木淳也

2020年開始するメルペイ「分割」あと払い

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メルペイあと払いに新たに追加される「分割払い」機能。返済計画は自身で細かく調整可能」。

撮影:鈴木淳也

メルカリがあるからこそ生まれたサービスが「メルペイあと払い」だ。

もともとメルカリで提供されていた翌月一括払いサービスをメルペイブランドでリニューアルしたものだが、ここでの与信枠はメルカリでのユーザーの行動実績を基にした独自の審査基準だった。

メルペイあと払いの上限金額は当初の10万円から少しずつ上昇し、現在では最大20万円になっている。同社によると実際多くのユーザーが利用しているのは「数千円から数万円程度」とのことだ。

2020年初頭を目処に新たに追加されるのが「分割払い」の機能。

従来のあと払いでは締め日の翌月に一括払いのみだったが、分割払いでは利用者が柔軟に返済計画を組むことができる。

(文、写真・鈴木淳也)

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