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中小企業も「Chatbot」を使う時代——リコーが支援する脱「属人化」の業務改革

| テクノロジー

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あらゆる業種・業態の企業において「人手不足」が叫ばれるようになって久しい。また、それを一因として、特に中小企業では、いわゆる「属人化」の現象も深刻な課題となっている。

そのため、課題解決を目的としてITを活用する試みが進んでいる。リコー独自のAI技術を使った「RICOH Chatbot Service(リコーチャットボットサービス)」もそのひとつで、導入と運用のハードルが低いのが特徴。導入企業の事例を紹介するとともに、AIなどの技術の力で企業や個人の働き方改革を支援するリコーのビジョンを聞いた。

Chatbotサービス導入の背景にあった採用活動の強化という課題

「属人化」が近年話題にのぼるのは、企業の人手不足が慢性化し、ある業務に関する情報が特定の社員にのみ集中してしまうからだ。特に、電話やメールによる問い合わせへの対応は、担当社員が不在や多忙だとコミュニケーションに滞りが生じてしまうことに加え、社内での情報共有や蓄積、活用が困難になってしまうことも問題だ。

問い合わせ対応を自動化する方法としては、以前から自動会話プログラムである “Chatbot”が活用できると言われてきた。しかし、一般的にChatbotの導入と運用には手間とコストがかかり、導入も大企業を中心に進んでいるのが現状だ。

しかし、属人化問題は、中小企業の頭も悩ませている。中小企業庁の発表によると、企業数は大企業1万1157社に対して、中小企業は53万社(2016年6月時点の調査データ)。圧倒的に事業者数が多い一方、コスト面・運用面などのハードルが高く感じられ、Chatbot導入を躊躇する中小企業はまだ多い。

リコーが提供するRICOH Chatbot Serviceは、主に中小企業の利用を想定しているサービスだ。業務基幹系システムの企画・開発などを行なうティービーケー・システムエンジニアリング(TBKSE、従業員数91名)は、2018年8月からRICOH Chatbot Serviceを導入している。

導入を推進した同社取締役 管理統括部長の重本裕之氏は、その背景を次のように語る。

TBKSE重本氏

ティービーケー・システムエンジニアリング 取締役 管理統括部長の重本裕之氏。

「Chatbot導入を検討した背景には、限られた人員で行なっている採用活動を強化するという課題がありました。学生や転職活動中の人たちから電話での問い合わせは限定的ですし、就職サイトを介してのダイレクトメールもあまり効果がない。その中で、自社の知名度をどう上げていくか。それには、求職者とのタッチポイントを増やすことが重要だと考え、Chatbotが候補に挙がりました。我々はIT企業ですので、Chatbot導入が“ITの新しい試みに積極的な会社”というイメージにつながることも評価ポイントのひとつでした」(重本氏)

■「RICOH Chatbot Service」の詳細はこちらから

発見:対面では聞きにくい質問に、Chatbotが向いている

とはいえ、最初からChatbotの効果に確信があったわけではない。同社東京事業所でエンジニアのスキル育成などを担当する取締役 システムエンジニアリング四部 部長の新井雅良氏は、むしろ、当初は「Chatbot導入には懐疑的だった」という。

TBKSE新井氏

ティービーケー・システムエンジニアリング 取締役 システムエンジニアリング四部 部長の新井雅良氏。

「我々のような規模の会社が、公式サイトにChatbotを導入したとして、実際にどれくらい使われるのか。ただ結果として、想定以上の反応があったという感触です。導入して約1年とまだ期間が短く、現実の採用にどれくらいのポジティブな影響があるか判断できる段階にありませんが、給与面など対面では聞きにくい質問がChatbotで寄せられることが見えてきました。求職者のニーズに応えられているのかなと感じています」(新井氏)

「中小企業にとって使いやすい」ことにこだわり

RICOH Chatbot Serviceは、想定する質問とその回答をまとめたQ&AデータをExcelで作成しインポートすれば、すぐに使い始められる。こうした運用面の「手軽さ」は、導入後に運用を「技術に詳しくない間接部門の担当者」にパスする際に非常に大きな意味がある。

TBKSEでのChatbot導入と運用の実務については、管理統括部 採用グループ・マネージャーの前川浩一氏が担当している。Q&Aデータの作成など、導入までの準備にかかった期間は約1カ月半。運用開始後も細かな調整は随時行ない、約2カ月ごとに大きな改良も加えることで、利用者にとって使いやすいChatbotに育ててきた。

TBKSE前川氏

ティービーケー・システムエンジニアリング 管理統括部 採用グループ・マネージャーの前川浩一氏。

「管理者用インターフェースが直感的で、運用やメンテナンスの作業が非常にやりやすく、お世辞ではなく、ストレスはまったくありません。ダッシュボード機能がよくできていて、よく聞かれる質問や満足度といった“利用者の傾向”が簡単に把握できますし、利用状況フィードバックから、回答内容はこまめに微修正しています。Q&Aデータの作成・修正に使い慣れたExcelを利用できるのも良いですね。作業の引き継ぎが容易になり、操作マニュアルも減らせる。大きなメリットだと感じます」(前川氏)

操作方法をイチから覚える手間がなく、運用開始までの時間も短縮できるわけだ。また、管理者向けに用意された“ダッシュボード”機能では、問い合わせの多い質問や解決できなかった質問など、利用状況をグラフィカルに見やすく表示。専門スキルを持つ人材がいなくても、導入と運用を簡単に行なえる。

■「RICOH Chatbot Service」の詳細はこちらから

ダッシュボード機能の画面

RICOH Chatbot Serviceのダッシュボード機能。利用者との対話の回数や内容、満足度などがグラフィカルに表示されるため、専門スキルを持たない管理者でも直感的に操作できる。

提供:リコー

大企業向けで鍛えられた機能を中小企業へ

また、導入と運用にかかるコストを抑えたことも特徴だ。これは、中小企業が活用機会の多い機能をパッケージ化することで実現している。費用面は導入決定の最大のハードルになり得るため、これは大きなメリットだと言える。

なお、RICOH Chatbot Serviceには、カスタマイズや個別サポートなどが含まれる大企業版も用意されている。根幹となる機能はこの大企業版から受け継いでおり、リコーはその点で性能には自信を持っている。

すでに大企業版を導入している佐川グローバルロジスティクスでは、従来は電話やメールで問い合わせていた「基幹システム操作」や「経理・総務などへの各種申請の方法」などのやり取りを、すべてChatbotに移行させ、効率化を実現した。今後は、現場からの業務品質の問い合わせ対応にもRICOH Chatbot Serviceを活用していくという。

デジタルの力で社会課題の解決を支援したい

開発チームの打ち合わせ風景

RICOH Chatbot Serviceの開発チームと外部デザイナーのチームとの打ち合わせ風景。使いやすいユーザーインターフェースを追求するため、議論を繰り返して改善につなげている。

提供:リコー

リコーは2017年4月に新たな成長戦略を策定し、“再起動”をテーマに様々な改革に取り組んできた。また、2018年度からの2年間を“挑戦”のステージと位置付け、高い目標を設定してチャレンジを続けている。これはもちろん、RICOH Chatbot Serviceを開発したデジタルビジネス事業本部も例外ではない。

事業本部長を務める本多正樹氏は、その経歴の中で一貫して事業開発に携わり、ベンチャー企業も経験してリコーに入社した人物。ベンチャー企業のスピード感などにも精通する同氏は、デジタルビジネス事業本部の役割を次のように説明する。

「我々に求められているのは、5年、10年、15年という未来を見据えたロードマップをもとに、リコーの新しい事業の柱を創り出すことです。お客様のオフィスだけでなく、そのほかの様々な働く現場の業務のデジタル化をお手伝いし、そこで飛び交うデータに価値を持たせて、お客様や社会に役立てていくことが我々の使命だと考えています」(本多氏)

■新しい「はたらく」の支援をするデジタルビジネス事業本部の取り組み例はこちらから

リコーの本多氏

リコー 理事 デジタルビジネス事業本部 事業本部長の本多正樹氏。

現在、本多氏が取り組んでいるのは、リコーの“カルチャー”を劇的に変革することだ。それは、製品・サービス開発の進め方や品質への考え方など、多岐にわたる。長い時間をかけて確立されたやり方で動いてきたリコーにとっても大きなチャレンジだ。その原動力になっているのは「変わらなければならない」という危機感だと、本多氏は言う。

「まず重視しているのはスピード感です。製品やサービスをいかに迅速に開発してお客様に提供するかは、絶対に意識しないといけない。また、自前主義をある意味では捨てて、オープンイノベーションの考え方も取り入れます。我々と共通する社会課題解決への情熱を持つベンチャー企業であれば、資本業務提携なども積極的に手がけていきます」(本多氏)

大企業のカルチャー変革というと、過去の否定ともとらえられがちだが、そうではないと本多氏。リコーがこれまで培ってきたものの価値は大きく、それを活用しながらカルチャーを変えていくことが重要だと考えている。

「ある意味で、(GAFAのような)生粋のIT企業ではないリコーだからこそ、実現できるデジタルビジネスがあるはずです。元々、リコー社内にはアントレプレナー精神も根付いていましたし、モノづくり企業としての伝統も技術力もあります。それらを活かし、今後は新たなIoTデバイスの企画・発案などにも積極的にチャレンジしていきたいと考えています」(本多氏)

■「RICOH Chatbot Service」の詳細はこちらから

■人々の「はたらく」を支援するリコーの取り組みについてはこちらから


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