3時間で1500円、ヤフー傘下のバイクシェア「ハロースクーター」は成功するか?

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9月20日に始まったスクーターのシェアリングサービス「ハロースクーター」。女性にもより利用して欲しいということで、女性を引きつけるコンセプト画像を用意している。

提供・オープンストリート

ヤフー傘下のOpen Street(オープンストリート)が9月20日、バイクのシェアサービス「HELLO SCOOTER(ハロースクーター)」を東京都内で開始した。すでに同社は電動自転車のシェアリングサービス「HELLO CYCLING(ハローサイクリング)」を展開し、多くの利用者を抱えている。ただし、ハロースクーターも同様に利用者が広がるには、ハードルがやや高そうだ。

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欧米の都市部では電動キックスクーターのシェアリングサービスが普及している(写真はドイツのフランクフルト)。

撮影・大塚淳史

二輪のシェアリングサービスといえば、まず自転車のシェアリングサービスが中国で爆発的に広まった。しばらくすると、電動キックスクーターのシェアリングサービスがアメリカから広まり、今やヨーロッパやその他地域でも急速に広がっている。日本でも、特に電動キックスクーターのサービスに対する期待値は、旅行や出張で利用した経験を持つ人が増えるにつれ、高まっている。

しかし、日本の規制の多い交通ルールの中では、まだ「実用化」にこぎつけるには、いくつもハードルがあるといったほうが良い状況だ。

3輪スクーターでシェアバイク

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ピザや弁当の宅配などでよく見られるタイプのスクーターを使用。ホンダが技術協力している。

撮影・大塚淳史

今回ついに本格的なバイクのシェアリングサービスが始まるとなって、記者は期待して体験会場に向かった。

ハロースクーターの主なサービス概要は、次の通り。

  • 都内の霞ヶ関、目黒、代々木上原の3地点4カ所にあるステーションで、スクーターを借りることができる。この4カ所で計20台のスクーターが置かれている。
  • ガソリンスクーターで、今回のサービススタート時のスクーターはホンダが技術協力
  • 外見は配達など業務用3輪スクーターだが、柔らかい色で女性にも好まれるようなデザインにしている

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写真左はアプリを立ち上げた時の画面。アプリを使用するとマップ上にハロースクーターのステーションが表示される。

利用するにはハロースクーターのアプリをダウンロードでして、クレジットカードや自動車免許証を登録する。免許の審査が通った後に利用が可能となる。

アプリを立ち上げて、スクーターを指定。そして、当該スクーターの前でBluetooth経由で後ろのIoTボックスを開くと、中にヘルメット、ヘルメットの下に付けるキャップ、スクーターのカギ、ガソリンを補充する際にガソリンスタンドで使えるクレジットカードが入っている。

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スクーター後部のIoTボックスはスマホアプリ経由で開錠する。中にはヘルメット、キャップ、クレジットカード、スクーターのカギなどが入っている。

撮影・大塚淳史

料金は月額1000円。保険料とライドチケット500円分が含まれる。

それとは別に、利用するには15分160円という時間加算と、1キロ20円という距離加算がある。さらに3時間、6時間、12時間、24時間のパック料金がある(詳しくは図表を参考)。年内はキャンペーンを行っているが、ハローサイクリングを9月20日までに5回以上利用している人限定となる。

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サービス料金体系。

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年内は9月20日までにハローサイクリングを5回以上利用したことがあるユーザーを対象にキャンペーンを行っている。

ハローサイクリングで得たユーザーのデータや声を新サービスに

オープンストリートの佐藤壮COO兼取締役は、ハローサイクリングでの実績、利用者の声からハロースクーターを始めるに至ったという。

「ハローサイクリングは現在、自転車数が1万台で200市区町村で月に数十万回使われています。自転車の1台1台にIoT機器がついていて、ユーザーの移動軌跡がわかり、例えば、朝に渋滞エリアから駅の方に向かって行く人は恐らく通勤で利用している。夜はその逆でしょう。

日中帯はビジネスマンの利用、そしてUber EATSのようなデリバリーで移動している方が、お店の前に止まっている。そういった方々から、より効率的に早く回っていくというのはデータから読み取れました。

利用者にアンケートを取ったところ、“もっと早く移動できる乗り物に乗りたい”という声も確認できた」

当初は欧米で流行しているような、電動キックスクーターも考えたが、安全面や、国交省との話し合いの中で日本での法規制が今後も緩和されることはないと判断し、断念した。

電気スクーターではなく、ガソリンスクーターを選んだ理由として、電動自転車シェアリングサービスが抱える、ある課題がある。

「今電動アシスト自転車は、バッテリーをどうしても人が交換している。(ハローサイクリングの様に)1万台となると、週2回交換作業をやっていて月8回となると、1万台で計8万回もバッテリー交換を実際にやっている状況です」(佐藤COO)

石橋を叩いて渡りながらの、慎重なスタート

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計器やハンドル付近には説明書きが貼ってある。

撮影・大塚淳史

ただ、サービススタートの時点で、この3地点4カ所で20台というのはやはり少ないと思うが、佐藤COOは、問題ない、との考えだ。

「ハローサイクリングも当初は20台からのスタートでしたが、今や1万台です。3地点それぞれの距離が13キロくらいで、実測値でいうと移動に20分ずつくらいです。近づきすぎるとハローサイクリングでいいよねとなるので、ちょっと離したエリアで展開して、どういうユーザーが動くか確かめながら、次のステーションの場所を検証しながら広げていきたい」

10月からさいたま市でスタートする予定だ(遅れる可能性もありとのこと)。今後の展開スピードとしては、急がずに徐々に広げていく。

「年内には50台。かなり小規模にやっていこうとしている。スクーターのシェアというのがないので、どれくらいニーズがあるのか、事故も自転車よりは多いはずなので、なるべく事故を起こさせないような対策を練りながら進めたい」(佐藤COO)

目標では、来年3月までに東京と埼玉で40カ所200台。2021年3月末で、関東圏で700カ所3400台を目指すという。

不動産デベロッパーにとってもありがたいサービス

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ハロースクーターのステーションがある日比谷パークフロント。地下3階にある。

撮影・大塚淳史

ステーションの一つは霞ヶ関のオフィスビル「日比谷パークフロント」の地下3階の駐車場の一角にある。こういった場所に設置した理由の背景には、大手不動産デベロッパーの抱える悩みがあったという。

「大きなビルには(スクーターの駐輪場の)附置義務があります。ここにも40台分のスペースがあるが、実際には2、3台分しか駐輪契約がされていない。附置義務あるのに稼働してないのなら、ハロースクーターに貸していいよね、と東急不動産と話したのがきっかけです。その後、色んな不動産デベロッパーと話すとまさしくそうだった」(佐藤COO)

サービス普及にはステーション地点数の拡大が急務

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試しに利用しようと思ったら、祝日とあって、日比谷パークフロントは閉まっていた。駐車場もシャッターが下りていた。

撮影・大塚淳史

一方で、これが足かせになるかもしれないともさっそく感じさせられた。3連休最終日だった9月23日、記者はさっそく利用してみようと思い、日比谷パークフロントに足を運んだ。

ところが、祝日とあって、オフィスビルが開いていない。

ビルの中に入れず、さらに外側から駐車場をのぞいてみると、なんとシャッターが下りていた。となると、ここではハロースクーターは平日しか使えない。

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日比谷パークフロントの入り口そばには、電動自転車のシェアサービスが……。ハロースクーター使えないならとこちらを利用するはめに。

撮影・大塚淳史

他の2エリアには足を運ばなかったが、アプリ内の画像を見る限り、地上にあるので問題なく利用できたと思われるが、スタート時の3エリアの内、1エリアのステーションが使えないのはかなり痛い。なるべく早く新しいステーションをどんどん作ってもらわないことには、サービスも広まらないし、利用者も広がらないのではと感じさせられた。

せっかく始まったスクーターのシェアリングサービス。より改善を重ねていくことで、ぜひ定着して欲しい。

(文、写真・大塚淳史)

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