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配車アプリDiDiとPayPayが「料金半額」2億円還元を発表、ゼンリンと提携で案内強化へ

DiDi Campaign

DiDiはPayPayとの大規模還元キャンペーンを発表した。写真は左からDiDiモビリティジャパン取締役副社長の菅野圭吾氏、PayPay取締役副社長執行役員COOの馬場一氏。

撮影:小林優多郎

ソフトバンクの出資する配車アプリ「DiDi」は、日本上陸1周年を記念して、同じくソフトバンクのキャッシュレス決済「PayPay」とコラボし、2億円規模の還元キャンペーンをはじめる。

ソフトバンクグループのシナジーでユーザー獲得を目指す

キャンペーン 告知

DiDiのキャンペーン告知バナー。PayPayを利用していて、かつPayPay残額での利用が対象(コンビニなどでは使えるクレジットカード支払いは不可)というのがポイント。チャージしたPayPay残額からのみ支払える。

キャンペーン期間中は、1日1回の乗車を対象に料金が半額(最大2000円)となる。キャンペーンの原資はDiDiとPayPayの両社によるもので、タクシー会社各社の負担はない。

ユーザーは事前に指定されたクーポンコードの入力と支払い方法にPayPay(PayPay残額)を指定する必要がある。対象期間は9月27日から10月31日までだが、総還元額が2億円に達した場合は10月末より早く終了する可能性がある。

PayPayのミニアプリ展開

PayPayのミニアプリ第1弾は「DiDi」の配車サービスとなる。

また、PayPayとはキャンペーン以外の形でも協業する。今回発表されたのはPayPayアプリ内でのDiDiサービスの提供だ。

これはいわゆる「ミニアプリ」などと呼ばれる手法で、PayPayアプリのユーザーであれば、DiDiアプリを持っていなくても、PayPayアプリ経由で配車から決済まで可能になる、というものだ。

菅野氏

DiDiモビリティジャパンの菅野氏は「将来(タクシー配車をすることを)『ディディる』と言われるような環境に持っていきたい」と話す。

DiDiは日本で大阪エリアからサービスを開始し、現在は12都市に提供中。これまで同社は「2019年度中に13都市へ展開」としていたが、今回の発表で「2019年度中に20都市へ展開」と目標を上方修正した。

同社が現時点までに達成しているとする実績は以下のとおり。

  • 現在12都市に展開。10月9日には新潟にも提供
  • 契約事業者数は310社(2018年9月の開始時は18社)
  • 国内のDiDiで登録されているドライバーは約2万人
  • 大阪、兵庫、広島、福岡においてはタクシー配車アプリ内で利用率1位(自社調べ)
  • 関西(大阪、京都、兵庫)においてはユーザー満足度1位(自社調べ)

乗務員向けカーナビ機能強化でゼンリンとも提携

ナビ機能

ゼンリンと開発した新しいナビ機能。ランドマークの表示を大きくしただけでなく、曲がる場所の表示や地図の拡大縮小のデザインなども見直されている。

DiDiがアプローチする「お客」は乗車する人だけではなく、運転する人=乗務員も含まれる。今回はキャンペーンと同時に、乗務員向けの新しいナビ機能も発表された。新しいナビ機能は国内地図データ大手のゼンリンと共同開発したものだ。

DiDiによると、DiDiを導入したタクシー会社の乗務員からのフィードバックにおいて「カーナビがつかいにくい」という声が多く寄せられていたという。

従来のDiDiの乗務員アプリでは、Googleマップによるナビを活用してきたが、「運転しにくい細い道が案内されてしまう」「ランドマーク表示が見にくい」などと指摘されていた。既に地図やナビ機能で実績のあるゼンリンと組むことで、従来型のカーナビに近い利便性や視認性を確保した。

ゼンリンとの提携でサービス改善

DiDiはサービスで得られた走行データをゼンリンと共有する。写真はゼンリン取締役の清水辰彦氏。

また、DiDiとゼンリンはDiDiに寄せられる乗務員からの声だけではなく、実際の利用情報(案内したルートや実際に走行したルートなど)を元に、ナビ機能の改善を図る。

ただし、ゼンリンデータコムの広報宣伝室によると「現状では(今回で得られたデータや知見は)ゼンリンとDiDiのパートナーシップの範囲内でのみ利用する」としており、DiDiから共有されるデータが他の企業に提供する地図やナビ機能に反映されることは現時点ではないとしている。

ゼンリンとDiDiとの今後の展望

将来的には、MaaS領域など幅広い分野での提携も検討しているゼンリンとDiDi。

DiDiモビリティジャパン取締役副社長の菅野圭吾氏は今回のゼンリンとの提携の主な狙いは「使いやすいアプリを提供するためのもの」と同社の足下の課題を解決するためと語っているが、「今後、MaaSのエリアも含めて両社で事業の提携をしていく話も進めている」と発言している。

※MaaSとは:
Mobility As A Serviceの略。自動車や電動モビリティーなどを中心に、「所有」するのとは違う形でサービス化して利便性を提供するビジネス形態のこと。月額課金(サブスクリプション)を組み合わせたビジネスモデルを構想するケースが多い。マイカー以外のモビリティー全体を一つのサービスとしてとらえ、利用・提供するという考え方もある。

DiDiは今後、国土交通省などと調整し「事前確定運賃」のサービス提供なども予定している。本場中国とは違いライドシェアサービスの日本での展開を完全に否定している同社だが、ライドシェア以外の新しい取り組みや事業展開に期待したいところだ。

(文、撮影・小林優多郎)

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