Lee Jin-man/AP
- ロシアが近く、東京オリンピックやFIFAワールドカップを含む、主要なスポーツ競技大会の多くから追放される可能性がある。モスクワのドーピング検査施設から疑わしいデータを提出したためだ。
- 世界アンチ・ドーピング機関(WADA)は9月23日(現地時間)、モスクワから受け取ったロシア人選手たちのデータに「矛盾」があったと述べた。
- WADAのコンプライアンス審査委員会の会長、ジョナサン・テイラー氏はBBCスポーツに対し、データの一部が消去された形跡があると語った。
- ロシアはこの整合性のないデータの説明に3週間の猶予を与えられている。
- もし説明ができなければ、ロシアは2020年の東京オリンピック、2022年のFIFAワールドカップ・カタール大会、その他のスポーツ競技大会から追放される可能性がある、とテイラー氏は警告した。
- ロシアは以前にも数度、ドーピングをめぐる大きなスキャンダルに巻き込まれている。国家ぐるみの大規模なドーピング疑惑もあり、その結果、平昌で行われた2018年オリンピック冬季競技大会からは追放された。
ロシアが近く、主要なスポーツ競技大会から追放される可能性がある。スポーツにおけるドーピングを取り締まる組織、世界アンチ・ドーピング機関(WADA:World Anti Doping Association)に疑わしいドーピング検査結果を提出したためだ。
ロシア反ドーピング機関(RUSADA:Russian Anti-Doping Agency)は2008年、ユネスコ(UNESCO)の「スポーツにおけるドーピング防止に関する国際規約」に基づいて設立された。この規約は国連条約の1つで、締約国は運動能力向上薬の使用を防止するため、しかるべき措置をとるというもの。2018年時点で、187カ国が締結している。
RUSADAは2015年に「不適合」と見なされ、WADAから資格を停止された。モスクワのアンチドーピング研究所は、ロシア人選手たちの血液と尿の検体を処理していたが、この動きの中で認定を取り消された。
WADAは23日、RUSADAのコンプライアンス検査の一環で1月にモスクワの検査所から受け取ったデータに、何らかの「矛盾」があることが発覚したと述べた。
RUSADAはこの矛盾の説明に3週間の猶予を与えられている。説明できなければ、WADAの反ドーピング規約に署名した組織が主催するスポーツ大会から締め出される可能性がある。そこには国際オリンピック委員会(IOC)、国際サッカー連盟(FIFA)をはじめとする、多くのスポーツ団体が含まれる。
Toru Hanai/Reuters
もしロシアがWADAに適切な説明をできなければ、2020年の東京オリンピック、2022年にカタールで行われるFIFAワールドカップ、その他のスポーツの世界大会から追放される可能性がある。
WADAのコンプライアンス審査委員会の会長、ジョナサン・テイラー(Jonathan Taylor)氏はBBCスポーツに対し、データの一部が消去された形跡があると語った。専門家がRUSADAの違反に対して現在の見方を変えなければ、ロシアに制裁を加える可能性もあると同氏は付け加えた。
「制裁の中身は強くも弱くもなり得る。RUSADAに対する制裁やロシアが大会を主催できなくするという選択肢もある。ロシアの選手を大会に出られなくするということもあり得る。最悪、オリンピックも」と同氏はBBCに語った。
カナダ、ケベック州モントリオールにあるWADA本部。 2015年11月9日。
Christinne Muschi / Reuters
国際陸上競技連盟(IAAF:International Association of Athletics Federations)も23日、ロシアに対する資格停止を支持し、ロシアの反ドーピングへの取り組みを疑問視した。
「選手や地元の競技連盟が資格停止されたコーチと一緒になって反ドーピングの取り組みを台無しにするという問題が繰り返し起こっている」とIAAFの反ドーピング作業部会のルネ・アンデルセン(Rune Andersen)氏は記者会見で述べた。
ロシアは以前にも数度、ドーピングをめぐるスキャンダルに巻き込まれている。国際大会でロシアの選手を有利にするよう仕組まれた、国家ぐるみの大規模なドーピング計画もあった。
平昌で行われた2018年オリンピック冬季競技大会では出場禁止になったが、ロシア人選手の中には、国家を代表しない「ロシアからのオリンピック選手団(Olympic Athletes from Russia)」として競技することを許可された者もいた。
(翻訳:Ito Yasuko、編集:Toshihiko Inoue)