レシート買取りアプリ3人の異端児が語る“お金に替わる価値”。なぜ人生には「余白」が必要なのか

15歳で起業し、レシートを10円で買い取るアプリ「ONE」が大いにバズり、話題を巻き起こした山内奏人さん(18)。彼の経営するワンファイナンシャルに2019年7月、ユニークな若手二人が加わった。一人は「余白戦略顧問」として元ぼくりりのたなかさん(21)、もう一人は「茶頭(さどう)」として、自身でもお茶事業の会社TeaRoomを経営する岩本涼さん(22)だ。

ワンファイナンシャル

左から、岩本涼さん(22)山内奏人さん(18)たなかさん(21)。

朝渋×Business Insider Japanのコラボイベント第6弾でこのお三方に登壇していただきました。

山内奏人(やまうち・そうと):2001年生まれ。ワンファイナンシャル CEO。6歳のときに父親からパソコンをもらい、10歳から独学でプログラミングを始める。2016年現ワンファイナンシャルを創業。 レシート買い取りアプリ「ONE」が、大きな反響を呼ぶ。

岩本涼(いわもと・りょう):1997年生まれ。9才で茶道に目覚め、裏千家での茶歴は13年を超える。現在はお茶の生産加工販売輸出を行う、株式会社TeaRoom代表取締役を務める。2018年9月には一般社団法人お茶協会が主催するTea Ambassadorコンテストにて、日本代表/Mr.TEAを受賞。国際的な茶の普及活動にも従事している。

たなか:1998年生まれ。俳優、モデル、デザイナー、YouTuber、ホスト等その活動は多岐にわたる。前職はぼくのりりっくのぼうよみで、2019年1月末をもって辞職。

きっかけは「余白って大事だよね」とジョナサンでの会話

朝渋

Business Insider Japan(以下BI):山内さんはなぜ、お二人をワンファイナンシャルに迎え入れようと思われたんですか?

山内さん:きっかけは、たなかからもらっていて。去年一年間で周りが仕事をしすぎて倒れちゃうみたいなのがあって、「余白ってこれから大事だよね」と、(ファミレスの)ジョナサンで話したことです。

僕らのやっているスタートアップって、全員が120%、150%、200%のパフォーマンスを出し続けないと死んでしまう業界なんですよ。じゃあどうやったらパフォーマンス上がるかなって考えてた時に、余白って大事だよねという話が刺さって、二人を迎えることになりました。

あとは、僕の意思決定に一貫性がなくなってしまうのは避けた方がいいなと思い、自分の価値観とか思想をちゃんと醸成しなきゃいけないな、というタイミングでもありました。たなかの言葉の使い方とか、(岩本さんの)お茶、茶室の考え方とか、コミュニケーションの取り方とか、戦術・戦略どうするとか、僕は彼らから今一番、影響を受けています。

BI:確かに山内さんの最近のSNSを見ていると、お二人の影響をとても感じます。どんな関わり方をしていますか?

岩本さん:経営者って色々な意思決定をするので、組織とは逆らった何かをしなければいけないことがあるんです。戦術・戦略で揉めることは経営ではよくあって、経営の意思決定の時に、社内からの反発とかいろんな議論があると思います。それを否定された時に、戦術は否定されているけど、人間としては肯定されているということがすごく重要です。そこのポジションを、「お茶」というスタンスでやっています。

BI:たなかさんはどうですか?

たなか: 月一くらいで社内のお茶会があるんですけど、そこに僕の友達とかを連れて行って「お茶うめー。」みたいなことを言う。かっこよく言うなら、山内君が人生で出会わないであろう人たちを連れて行って、強引に関わらせるっていう行為を繰り返しやっていくことで、どこかで一発当たるんじゃないかとか、何か意味深いことが起こるんじゃないか。そういうことをしています。

意思決定の基準は「人間として尊いか」

BI:経営者として重要な意思決定。どんなことを大切にしていますか。

岩本さん:僕はすべての意思決定において、人類として尊いかどうかを意思決定の基準にしているところがあります。ポイ捨てとかも、これを一人間としてどう見るのか。ポイ捨てって自然に対する侮辱だと思うんです。

社会の中の一人というよりは、自然の一部としての人間というのが一つあって、人類として、自然とか地球とかすべての周りに対して本当に正しいことをしていくというのが、自分の意思決定の基準ですね。

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BI:山内さんにとって茶頭と余白戦略顧問は、最上の意思決定をするため必要な存在だった?

山内さん:そうです。僕が社内でやってることは2つで、対社内と対社外にプロダクトの文化をどう作っていくかと、新規事業をどう作るか。その2つの精度を上げていくうえでは、世の中をどう理解して、人間の営みや生活をどういう風に定義していくかをちゃんと自分の中で作っていかなきゃいけない。だから二人からの影響はすごく大事だし、僕の価値観もちゃんと作りながら思想を育んで、どういう文化に昇華させていくかっていうのをこの二人とやっています。

同じ1万円でもストーリーや商品によって価値は違う

BI:レシートの10円買い取り、数億円の資金調達など、生身でお金に向き合ってきていると思いますが、山内さんにとってお金とはなんですか?

山内さん:小さい頃から「将来お金持ちになりたいなあ」と思っていたので、世間一般の価値観と変わらない気がします。でも、コミットメント(責任を伴う介入)みたいなのは、お金と似て非なるもの。そこのバランスはちゃんと考えないといけない。

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例えば、同じ100万円を出資する時に、ちゃんと会社を大きくしようとその人が思ってくれるかどうかは会社によって違うと思うんです。コミットメントを引き出せた方が、僕らにとっても彼らにとってもプラス。もっと簡単な話でいうと、ある商品を買う時に、同じ1万円の商品でも買うに至るまでのストーリーとか、その商品の性質によって値段は同じだけど価値は違う。そこは見極めないといけないと思います。価値と値段は違うので。

BI:日本では資産や年収がいくらとか、お金の目盛りによってマウンティングであったり、序列ができてしまうことって絶対あったと思うんですけど、それとは違う価値基準が生まれつつあるのでしょうか?

山内さん:日本って富裕層の人が多いこともあって、本質的な価値とか見極めやすくなっている。だから僕らはいいものを見極める力が他の国に対して高いんじゃないかな。

そのモノとか価値観とか思想に対して、それがどれだけ良いのか、それをどれだけ想っているかが人間を図る上での価値になってくと思います。

数十億円持ってるだけの人はダサい

山内さん:僕は、数十億円持ってるだけでなにもしないような人には価値があんまないと思うんですよ。これは賛否あると思うんですが、自分の作りたい作品を作り続けている人の方が価値があると思います。なんでかって、純粋に一つは、その人に希少性があるから。数十億数百億持っているだけの人は、僕は、ダサいなと思ってしまう。純粋に自分の好きなこととか、目指したい世界観に対して、ちゃんとコミットし続けてる人に僕はなりたい。

岩本さん:お茶系のアプローチから話すと、国一個と茶器を交換したみたいなことが昔から言われているんです。鉢開っていうお茶碗なんですけど、それは頭を開かれても渡したくなかった。一国って今どれほどの価値かわからないですけど、そんなのは知らんと。でもその茶器が欲しいんだと。

お金っていう明らかな指標というか定量的な指標を使ってしまうからこそ、そこを意識するのであって、本当に欲しいとかそこに価値があると思ったら、お金という考えがそもそも入ってこない。自分が今価値があると思うものとか周りに置きたいものには、あんまりお金という媒介手段を経ないのかなっていうのはありますね。

たなか・岩本さん

たなかさん:お金じゃない価値といいつつ、最低限度のお金は必要じゃないですか。家賃払わないとダンボールで暮らすことになるし。そこをクリアしているかどうかで話は変わってくる。豊かに暮らすとかいう次元ではない(最低限必要という)額があって、それを超えたあとはあまり関係ないと思いますね。

やりたいかやりたくないかだけに100%注力

BI:たなかさんはどんなことを指針にして生きてますか?

たなかさん:外部からみた自分に依存しない。こういう人間であるとか、こういう風に映るのでこうするとか、他者がこう思うだろうっていう思考を経てこうします、っていうのを一切やめる。つまり、見た目的にダサいかどうかではなくて、やりたいか、やりたくないか、というところに100%注力するのを頑張ってます。

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BI:山内さんは、小学生の時にプログラミングのコンテストで優勝されて、中学校からインターンとして働かれて、すごく大人の中で育ってきた人。早くに成熟しているのは桁外れのインプットがあったからだと思います。

山内さん:でもその人たちって、言ってることがみんな違うんですよ。ていうのは当たり前っちゃ当たり前で、世界は同じかもしれないけど、それをどう見てるかは全員角度が違う。その中で自分は世界をどう見るかという価値観が自然とできてきた。

でもそれは自分が決めたものなのかと言ったらそうではなくて、周りから影響されてなったもの。だから自分の価値観が欲しかったんです。

(2人がジョインする前は)すべてにおいて意思決定の基準がものすごくグラグラしていたタイミングだったから辛いなあと思っていました。僕は無常観みたいなものが好きなんですが、常に何かがあることって100%ないので、自分が世の中とか社会とか事柄とどう関わっていくかの、線引きがすごく大事だなあと。それは彼らから学んだことだし、アップデートし続けています。

軸がブレるのは当たり前と思って2人と作り直す

会場:軸がどうしてもブレるときや不安にかられたときの立ち直りはどうしていますか?

山内さん:とはいえブレブレなんですよ軸は。人と話したりとかしないと軸が定まらないので、いろんな人といろんな話をするようにしてます。そうしてく中で「この辺かな軸」というのができてくるので、そういう意味では、ブレてるのが当たり前。この辺かなっていうのを、この二人とかと話したりして作っています。

たなか・岩本さん

岩本さん:僕はブレると思ったときに、田舎に行って、土と同じレベルで語るということをします。例えば、茶園にはクモの巣が張るんです。その真っ白な茶園を見て、クモ気持ちよさそうだなーと思う。昆虫とか自然ベースで語ると大切なものって見えてきます。

たなかさん:以前は、軸をブラさないとか軸を定めることとか苦手で、なんとなく流されてやるだけだった。最近では自分の好きなことをただやる。ビジネス的な意味でも人生的な意味でも目的を持たない暮らしを半年くらいしています。

学校に縛られない居場所があった

会場:みなさんはどんな子ども時代を送っていましたか?

岩本さん:ぼくはコミュニティーがいっぱいありました。学校はあんまり好きじゃなくて、なんでみんなと同じ行動をしなきゃいけないんだろうと思っていました。空手をやったりとか、バイオリンをやったり、同時期にお茶をやってもいたので、学校に行かなくても、ぼくを肯定してくれる場所はいろんなところにあって、何をしてもとにかく肯定してくれるような環境で育ちました。

山内さん:音楽は割とたくさんやっていました。6年くらいピアノをやって、1年間はバイオリン、最後の2年間はサックスを吹いていました。あんまり得意じゃなかったけど。

たなかさん:インターネットをずっとやってました。自分の人格を複数持つことに特化した中高だったかなと思います。

BI:学校以外のサードプレイスを持ち続けてきたというのが印象的ですし、共通点がありますね。

山内さん:見ててわかると思うんですけど、二人めちゃくちゃ面白くて。この二人といる時間が、ぼくはちゃんとプライスレスな時間だと思っている。ちゃんとこの文化を経営に昇華させて、会社も伸ばしていけたらなあと思うので、この二人と仲良く頑張っていきたいと思います。

(文:露原直人)

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