インポッシブル・フーズが9月、アメリカのスーパーマーケットで1パック12オンス(約340g)8.99ドル(約970円)のベジタリアン向け"ビーフ"の販売を開始した。
Ben Gilbert/Business Insider
- 9月、ついにインポッシブル・フーズ(Impossible Foods)がアメリカのスーパーマーケットで植物ベースの「ひき肉」を販売するようになった。
- 同社はすでに、インポッシブル・ワッパー(Impossible Whopper)のバーガー・キング(Burger King)やホワイト・キャッスル(White Castle)などのさまざまな飲食店向けに植物ベースのパティを提供している。今回初めて、材料のまま購入し、自分でインポッシブル・フーズの「肉」を使った食事を作ることができるようになった。
- 残念なことに、買いたいと思っている人にとっては1つ大きな障害がある。それは値段が高いということ。
ほとんどのアメリカの食料品店で、牛ひき肉は1ポンド(約450g)で3~8ドル(約320~860円)程度。大抵、1ポンドあたり5ドル(約540円)以下だ。ひき肉の話であって、特上リブロースではないのだから。
それ以上払うことは、ここニューヨークですら、かなり珍しい。筆者はブルックリンで最も高級な肉屋であるザ・ミート・フック(The Meat Hook)に電話しなければならなかった。同社はより人件費のかかる、牛一頭買いを売りにしている。結果、牛ひき肉は1ポンド8ドルだった。
だから、インポッシブル・フーズ(Impossible Foods)が12オンス(約340g)を9ドル(約970円)で販売しているというのは、かなりショックだった。同社が目指すのは、牛肉を自社のベジタリアン向けの「肉」と置き換えることだ。16オンス=1ポンドの牛ひき肉に3ドル払うのとは訳が違う。
筆者が自宅で作り、午後の日差しの中、愛情を込めて写真に収めた、インポッシブル・フーズのハンバーガー。
Ben Gilbert/Business Insider
値段が高いものにはそれだけの価値があると思う人もいる。「幸い、現状の価格でも、さばききれないほどの需要がある」とインポッシブル・フーズのCEO、パット・ブラウン(Pat Brown)氏は9月26日(現地時間)に、ニューヨークで行われた同社のイベントで語った。
同社がベジタリアン向け「ビーフ」を提供しているのは、今のところ一部のスーパーマーケットだけだ。今後、アメリカ全土へと販売する店を増やし、ゆくゆくは国際展開することを同社は目指している。コストを下げて、入手しやすくし、ベジタリアン向け「ビーフ」は牛ひき肉よりもよい選択であるということを大衆に納得させる同社の計画の第一歩だ。
「我々は今まさにスケールアップしているところだ」とブラウン氏は述べた。
「我々の目標は、できる限り早く、アメリカだけでなく、開発途上国でも、世界のすべての人の手の届く価格にすること。だが、すぐにそうはならないし、それまで事業を続けたいのであれば、赤字で売るわけにはいかない」
インポッシブル・フーズの「肉」の人気が高まるに連れ、食品メーカーが同社の環境に優しい食品作りのアプローチに経済的なメリットを感じるようになり、価格もそれに応じて下がるはずだ。これは合理的な計画である。だがその一方で、多くの人々に同社の代替肉を提案するのは難しくなる。
(翻訳:Ito Yasuko、編集:Toshihiko Inoue)