フォーエバー21破産。ファストファッション軒並み苦境、それでもユニクロ路線が強いワケ

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アメリカのファストファッションブランド大手「フォーエバー21」は10月末、日本市場から撤退する。

撮影:高阪のぞみ

アメリカのファストファッション大手「フォーエバー21(FOREVER21)」が10月末をもって、日本市場から撤退する。日本国内の全14店舗を10月末で閉店し、オンラインストアも閉鎖するという。

イギリスの調査会社、ユーロモニターインターナショナルが発表したデータを見てみると、フォーエバー21に限らず、ファストファッションブランド全体を襲う厳しい経営状況が見えてくる。

H&M・GU・ZARA……成長率は軒並み鈍化

日本におけるアパレル・フットウェアブランドの成長率(小売額ベース、対前年成長率%)

日本におけるアパレル・フットウェアブランドの成長率(小売額ベース、対前年成長率%)

出典:ユーロモニターインターナショナル

大手ファストファッションブランド(ユニクロ・GU・ZARA・H&M・フォーエバー21)の2013年から2018年までの成長率のデータを見てみると、2013年度と比較して2017年度は軒並み鈍化している。

特に2013年には前年比3割を超える成長率を誇っていたGUは転落が著しく、3%程度にまで落ちてしまっている。

フォーエバー21は2016年度、17年度と2年連続でマイナス成長を記録しており、この低迷が日本撤退の決め手となったことは想像に難くない。ZARAとH&Mも苦戦が続く。

こうした苦戦を象徴するのが、フォーエバー21の破産申請だ。同社は9月29日、日本の民事再生法に当たる連邦破産法11条の適用を申請。ファストファッションブームの終えんを印象付けた。

近年のファストファッションブランドの苦境について、ファッションジャーナリストの松下久美氏は、以下のような消費者意識の変化を指摘する。

  1. 品質重視
  2. 消費者のエコ意識の高まり
  3. リセールバリュー(購入したものを再販売するときの販売価値のこと)の意識

消費社会の象徴のようなファストファッションの世界観そのものが、時代とのズレを生んでいる。松下氏は、消費者意識の変化についてこう説明する。

「ファストファッションはトレンド性の高い商品をワンシーズンなど短期間だけ着ても十分に元が取れる価格設定が受けて人気となりました。

けれども、環境問題やサステナビリティ(持続可能性)に対する意識が高まり、安いものを買ってすぐに廃棄してごみを増やすよりも、少し高くても長く着られる服に投資をしようと考える人が増えています」

ユニクロは最後の砦か

日本におけるECアパレル・フットウェア市場規模(税抜き小売額ベース)、単位は10億円。

日本におけるECアパレル・フットウェア市場規模(税抜き小売額ベース)、単位は10億円。

出典:ユーロモニターインターナショナル

ファストファッションブランド大手の中で唯一、堅調を維持しているのがユニクロだ。

ユーロモニターの調査によると、ユニクロの成長率は3%近くまで低迷した2015年を除き、毎年6〜7%の成長率を続けている。

なぜ、ユニクロが“一人勝ち”しているのか ── 。専門家に話を聞くと、いくつかの理由が浮かび上がってくる。

ユーロモニターでシニアアナリストを務める木村幸氏は、ユニクロがブランドイメージの転換を図っていることが功を奏している、と分析する。

Lifestyle magazine

ユニクロが2019年から展開するフリーマガジン「Lifewear Magazine」。

出典:ユニクロ 公式ウェブサイト

ユニクロは2013年から「LifeWear」というコンセプトを掲げ「あらゆる人の暮らしを、より豊かにすることを目指す、普通の服」を提供するブランドだという認知の拡大に務めてきた。シーズンごとに“買っては捨てる”消費サイクルを重要視する他ブランドとのイメージとは一線を画する。

リセールバリューでもユニクロは強い。フリマアプリ大手のメルカリが2018年11月に発表した「取引ブランドランキング2018」によれば、最も売られているブランド・最も買われているブランドともにトップはユニクロ。ナイキ・アディダスがそれに続く。

長く使えて、いらなくなったらフリマアプリで売れる」という消費者ニーズに、ファストファッションでありながら、ユニクロは応えていることが見えてくる。

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フォーエバー21は日本市場だけでなく、カナダ、欧州の大部分の地域から撤退し、規模を縮小して事業を続ける。

さらに、前出のファッションジャーナリストの松下氏によれば、ユニクロは「グローバル・イズ・ローカル、ローカル・イズ・グローバル」として、現地対応・個店対応を強化している。

フォーエバー21が日本に密着したローカライズができず、売り上げが伸び悩んだのとは対照的だ。

ブランド大手が苦戦するなか、日本では価格ラインが1900円〜2900円程度の作業服専門店チェーン「ワークマン」がここ1年で株価を2倍にし、「ポストユニクロ」がささやかれるなど、新しい風も生まれている。

ファストファッションは淘汰の末、次のフェーズに入ったことは間違いなさそうだ。

(文・西山里緒、写真・高阪のぞみ、取材協力・露原直人)

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