NASAがブラックホールの動画を作成…近くまで行ったらこう見える

ブラックホールを横から見たイメージ。

ブラックホールを横から見たイメージ。

NASA’s Goddard Space Flight Center/Jeremy Schnittman

  • NASAが公開した新たなアニメーションは、ブラックホールの近くにいたら何が見えるのかを示したものだ。
  • ブラックホールの強力な重力により、視界は歪められる。ブラックホールを横から見ると、外側のリングである降着円盤は暗い影の周りで歪み、リングの片側はその反対側よりも明るい。
  • だが、ブラックホールを上から見ると、リングはほぼ完ぺきな円形となり、明るさは均一となる。
  • ブラックホールは観測者の視点によって異なる姿を見せる。遊園地にある体を歪めて見せる鏡のようだ。

ついこの間まで、科学者はブラックホールがどのように見えるのか、想像することしかできなかった。

ブラックホールの重力はあまりにも強く、光を含むすべてのものが飲み込まれるため、その姿の撮影は極めて困難だ。ブラックホールを見るには、星やその他の物質がブラックホールに吸い込まれ、消えてしまう前に発する光に頼るしかない。

国際的な科学者グループイベント・ホライズン・テレスコープ・コラボレーション(Event Horizon Telescope Collaboration)は4月、史上初となるブラックホールの写真を公開した。この写真によって、ブラックホールはこれまで我々が理解していた姿、すなわち光輝くリングに囲まれた暗い球体であることが立証された。だが、写真は鮮明ではなく、にじんでいるように見える

今回NASAが公開した新たなアニメーションは、ブラックホールの動く姿を撮影できたとしたら、あるいは近寄れたとしたら見えるであろう姿を描いている。

アニメーションでは、光が重力によって捻じ曲げられ、美しい渦巻き状となる。その渦巻の見え方は、視点によって変化する。

アニメーションではまず、ブラックホールが横からだとこう見えるであろうという姿を示す。中央の暗い球体は、ブラックホールの「影」と言われ、そこで光が捻じ曲げられ、吸収される。影との境界線は「事象の地平面」、あるいは「引き返せない地点(point of no return)」と言われ、その先はブラックホールの強力な重力がすべてのものを飲み込んでいく。

事象の地平面の外側に見える細く光るリングは「光子球(photon sphere)」といい、光線がブラックホールを周回している。

アニメーション解説

NASA’s Goddard Space Flight Center/Jeremy Schnittman

このアニメーションで最も興味深いのは、熱物質から成る「降着円盤」という外側のリングだ。死んだ恒星や惑星、小惑星、彗星、その他ブラックホールの重力に引き寄せられた粒子で構成される(NASAの科学者は、ある恒星の死をちょうど先日捉えたばかりだ)。

光の軌跡は、球体の上下で盛り上がり、歪んでいるように見える。降着円盤の左側は、光るガスが光速に近い速さで観測者に向かってくるため明るい。一方、右側はガスが観測者から離れていくため、それほど明るくない(灯台の明かりに直接照らされると非常にまぶしいことを思い浮かべてみるといい)。

だが、ブラックホールを上から見ると、状況は一変、不均一だった明るさが均一に分散される。この視点からだと、観測者に向かってくる光も、遠ざかる光もないからだ。また降着円盤は、横から見ると2つの「盛り上がり」があったが、上から見るときれいな円形となる。だが光子球はどの視点から見ても変わらない。光は基本的に光子球に捉えられ、完璧な軌道で周回しているからだ。

アニメーションを見てみよう。

このように光が引き延ばされ、捻じ曲げられる様子を、NASAは遊園地などにある体を歪めて写す鏡に例えている。

「これらのシミュレーションや動画は、アインシュタインの『重力は空間と時間の構造を歪める』という言葉が何を意味しているのかを視覚化するのに、とても役に立っている」と、NASAの天体物理学者でアニメーションを作成したジェレミー・シットマン(Jeremy Schnittman)氏は声明の中で述べた

このアニメーションは、4月に公開されたブラックホールの写真を説明することにもなった。あの写真では、降着円盤の下が明るく、上が暗いことがはっきりと分かる。NASAによる今回のアニメーションは、視点をどこに置くかによって、ブラックホールの見え方が変化することを再認識させた。


[原文:A mesmerizing NASA animation shows how a nearby black hole would warp spacetime like a fun-house mirror

(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)

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