“Apple Watchとの共存”を目指す睡眠ウェアラブル「weara」発表。満充電で1カ月動作

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トリニティが発表した「weara」は、ファッションに合わせられるデザインを重視したウェアラブルデバイスになる。

撮影:佐野正弘

スマートフォンやデジタル家電などに向け、デザイン性を重視した周辺機器を提供するトリニティだが、かつてはスマートフォン「NuANS NEO」シリーズを発売するなど、ハードウェア自体の開発も手掛けている。

そのトリニティが2019年10月1日に発表会を実施し、新たに打ち出した新製品が「weara(ウェアラ)」だ。2020年1月の発売を予定し、11月よりベータテストを実施する。価格は税込みで1万7800円。

weara

バンドを付けて装着したところ。銀色の突起部分はバンドを装着するためだけでなく、タッチしてバッテリー残量を確認するなど操作デバイスの役割も兼ねている。

撮影:佐野正弘

wearaはリストバンド型のウェアラブルデバイスで、スマートフォンの専用アプリと連動させることによって、装着しているだけで日常の運動量や、睡眠の質などを測定できるアクティブトラッカー(活動量計)の一種と呼べるもの。

そして、他のアクティブトラッカーとの大きな違いの1つとなっているのが、デザイン性である。

同社は「Simplism」「NuANS」など複数のブランドで、デザイン性を重視したライフスタイル提案型のスマホアクセサリーなどを提供してきた。そのノウハウを生かし、wearaでは「テクノロジーは内側に、ファッションを外側に」というコンセプトの下、アクティブトラッカーとしての機能性だけでなく、ファッション性を前面に打ち出した。

具体的には、活動量を測定するセンサーを搭載したシンプルなデザインの「コア」に、さまざまな種類のバンドを取り付けて腕に装着する仕組みを採用した。バンドを変えてその日のファッションに合わせられるようになっている。

wearaのコア部分

wearaの本体部分となる「コア」。ここにさまざまなセンサー類が搭載され、日々の活動量を測定する。

撮影:佐野正弘

提供するバンドの素材にこだわって、標準で付属するバンドには一般的なシリコン素材ではなく、ダイキン工業の「DAI-EL」というフルオロエラストマー素材を使用。

元々粘着性のあるシリコン素材は、表面のコーティングが劣化するとベタベタして使い勝手を落としてしまうが、DAI-ELは摩擦係数が低いことからコーティングを施す必要がなく、長い間快適な装着感を実現できるという。

また、別売りのウォッチプレートをコアに装着することで、市販の時計用バンド(幅18mm)も利用できる仕組みも用意する。このほかバンドの3Dデータを公開し、機材と素材などを用意すれば自らバンドを製作できる環境も提供するとのことだ。

wearaと時計のバンド

専用のウォッチプレートを装着することで、18mmの腕時計用バンドも装着することができる。

撮影:佐野正弘

こうしたwearaのコンセプトは、さまざまな素材のカバーを装着してカスタマイズできるトリニティの独自スマホ「NuANS NEO」シリーズから引き継がれたもの。デザイン性を重視した同社らしい発想といえるだろう。

バッテリーは充電不要で約1カ月持続

wearaのセンサー

wearaのコアに搭載されているセンサー類。最新のセンサーを採用することで、24時間使用しても1カ月は継続利用できる省電力を実現できたとのこと。

撮影:佐野正弘

一方、テクノロジー面で力を入れるのが、バッテリーの持続時間だ。Apple Watchなどのスマートウォッチは、高い利便性を備える一方で1〜2日毎に充電が欠かせない。人によっては、それが煩わしいという人もいる。

wearaを開発するに当たり、トリニティでは「複数のセンサーを24時間動作させながらも、充電することなく使えるようにする」ことを目標に開発。充電不要で約1カ月の動作を可能にしたと説明する。

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wearaはディスプレイを搭載しておらず、腕時計と2つ同時に装着することも想定した製品。

撮影:佐野正弘

wearaにはディスプレイを搭載せず、情報の表示は本体側面に用意された、5つのLEDのみとしている。wearaは腕時計やスマートウォッチを否定するものではなく、Apple Watchとwearaを両方装着するなど、共存を図るもの、というのがその理由のようだ。

情報表示はスマートフォンアプリ側に絞ったというのも、バッテリーの持続時間向上に貢献しているかもしれない。

睡眠の質の正確さにこだわり

wearaのアプリ画面

wearaのスマートフォンアプリ。日々の活動量を確認できるだけでなく、他にも毎日継続して使ってもらうための工夫を取り入れていくという。

撮影:佐野正弘

wearaのアプリは独自に開発し、データはクラウド上に保存する仕組みとした。

単に数字やグラフを見せるだけではユーザーが飽きてしまい、継続利用につながらないため、多くの人が参加してミッションをこなすイベントを実施したり、その結果などに応じてプレゼントがもらえるといったインセンティブ(動機付け)も用意していきたいという。

もう1つ、こだわったのが「睡眠の質の測定」だ。

トリニティでは、睡眠評価研究機構の白川修一郎代表の監修のもと、医療機関で睡眠の質を測定する検査に用いられているポリソムノグラフィー(PSG)や、そのPSGと高い相関関係を持つという、アメリカのAMI社が提供している「アクチグラフ」という睡眠判定機器を基準としてスコアを算出するといった方法を採用している。

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睡眠の質を正確に測定するべく、PSGやアクチグラフを基準として睡眠スコアを算出しているとのこと。

撮影:佐野正弘

またwearaから得た睡眠情報は、筑波大学の国際統合睡眠医科学研究所機構との共同研究に活用していく。あくまで利用者からの同意を得て、なおかつデータを匿名化した上で収集・活用することが前提となるが、収集したデータを解析することで、人間の睡眠活動に関する新しい発見につなげていきたい、としている。

Jawboneで開拓したウェアラブル市場、存在感を示せるか

発売までまだ多少の時間があるため、展示機は開発中のもの。現状、コアにやや厚みがあり、その影響からバンドが腕時計などよりやや短くなってしまい、腕に巻き付けづらいのは気になった。

トリニティ関係者によると、やはりバッテリーの持続時間を重視した結果、本体にやや厚みが出ていると言い、発売までにコアやバンドの改善を進めていくとしている。

wearaの側面

weara装着時のコアを横から見たところ。

撮影:佐野正弘

ちなみにトリニティは、アクティブトラッカーの先駆けとなった「Jawbone UP」の国内販売代理店でもあった。Jawbone UPはそれまでにないデザインと機能で高い注目を集めた一方、故障しやすいなどトラブルも多く、結果として開発元の米Jawbone社は2017年に破産し、会社も清算済みだ。

星川氏は、そうしたJawbone UPの販売で得た経験が、wearaを手掛けるに至った遠因になっていると話す。

トリニティはある意味、自らJawbone UPで切り開いた国内のウェアラブル市場に、自らの製品となるwearaを投入することとなる訳だが、これまでの経験を基に開発されたwearaによって、どこまで市場での存在感を打ち出せるのかが注目されるところだ。

(文、写真・佐野正弘)

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