11月発売のペン内蔵「Surface Pro X」と新型「Surface Pro 7」の違いを解説

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出典:マイクロソフト

10月2日(現地時間)にニューヨークで開かれたマイクロソフトのイベントで新製品発表ラッシュになっている。

先行する記事のとおり、7製品もの発表があった。そのなかで、現行機種のタブレット型モデルを入れ替え、または拡充する形で登場するのは2機種。

全く新しい、独自チップで動作する「Surface Pro X」と、従来のタブレット型Surfaceの正当進化系「Surface Pro 7」だ。

“独自チップ”「SQ1」で動くSurface Pro Xの正体

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マイクロソフトがQualcommのチップ、SnapdragonをカスタムしたSQ1チップ。グラフィック性能などが強化されているようだ。

出典:マイクロソフト

2機種のうち、とりわけ注目はラインナップ拡充の形で登場した「Surface Pro X」だ。何しろ、Windowsを動かす心臓部のチップは、マイクロソフト独自カスタムの「Microsoft SQ1」という耳慣れないものだ。

現地入りしているジャーナリストからの情報と合わせると、SQ1はQualcommのチップをベースにマイクロソフト独自にカスタムを加えたもののようだ。

つまりSurface Pro Xでは、いわゆる「ARM版Windows」が動いている、ということになる。

「(ノートPCとしてもタブレットとしても使える)2in1ノートの境界を押し広げ、モビリティ、生産性、スピードにおけるパーフェクトな“交差点”」(パノイ・パノス氏)になる製品として設計された。

すでにARM版Windows搭載ノートは一部が発売されているが、プラットフォームとしてはまだ発展途上の印象が強い。フル対応アプリならそこそこ快適に動くが、一般的なWindowsアプリをエミュレーションで動かそうとすると、パフォーマンスがそこまで高くない、という評価をしている人は多い。

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出典:マイクロソフト

マイクロソフト公式ブログなどの説明を総合すると、SQ1チップは「PC向けにつくられた最速のQualcommプロセッサーだ」で、GPUのをマイクロソフトが“リデザイン”して、パフォーマンスを向上している。AI処理のアクセラレーター機能も組み込まれたチップになっている。

発表会の壇上でパノイ氏はSQ1チップの性能について、「Surface Pro6に比べて1ワットあたりのパフォーマンスが3倍高い」とアピールした。

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アドビの最新お絵かきツール「Fresco」のデモも披露された。ARM版向けに最適化されている可能性はあるが、レスポンスが重要なこの手のツールのデモを披露したことには、SQ1のパフォーマンスの高さをアピールする意味あいがありそうだ。

出典:マイクロソフト

1ワットあたり性能が熱設計電力(TDP)を指しているとすると、Pro 6のCPU「i5-8250U」のTDPは15ワット。SQ1チップは7ワット(発表会のスライドより)。単純計算すると、Pro 6よりはプロセッサー自体の性能は速い可能性がある。

ただし、Windows上で実際にどこまでパフォーマンスが出るのかは不明だ。最終的には、実機に触れてみるまで、先行するARM版Windows機より速いのかは、判然としない部分が残る。

注目すべきPro Xに込められたアイデア

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初めて収納式になったタッチペン。同時発表のPro 7もこの仕様にしてくれればよかったのに……と感じた人は全世界にいたのではないか。

出典:マイクロソフト

絶対性能はともかくとして、Pro Xに込められたアイデアは評価すべきものがある。

特に大きなものは「タッチペンの収納」だ。Pro Xでは、取り外し可能なキーボードの付け根部分は収納スペースがあり、ここに専用の充電式「Surface Slim Pen」を入れて持ち運べるようになっている。

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Pro Xでは、ハードドライブ(SSD)は簡単に取り外して交換できるようになっている。ペン収納といい、プラットフォーム設計としても、従来のProシリーズから一段階進んでいるように思える。

出典:マイクロソフト

通常のSurfaceシリーズとは違って、内蔵SSDが外部から簡単に交換可能な設計になっているのもユニークだ(これまでのSurfaceシリーズでは、記憶容量の増設は、大容量のmicroSDカードを差しっぱなしで使う、という方法しかなかった)。

また、外部ディスプレイ出力は、本体画面以外に2つの4Kディスプレイに同時出力できるとしている。

外観デザインは角ばったインテルCPUのSurface Proシリーズとは違い、少し丸みを帯びた形状。ちょうど、Surface GoとProとの間のような雰囲気だ。ディスプレイが狭額縁タイプの13インチ(2880×1920ドット。解像度は申し分ない)であることで、見た目にもスタイリッシュな印象をうける。

本体の厚さは5.3ミリ、接続端子には2つのUSB Type-C、内蔵カメラは4K撮影対応。ARM版Windowsの特徴であるLTE対応でもある。

価格は999ドル〜(約10万7000円〜)、11月発売予定だ。

タブレット型Surfaceの正当進化系「Surface Pro 7」

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15インチモデルが加わった「Surface Laptop 3」(別記事)の発表のあと、さらりと披露されたPro 7。性能アップ程度のアップデートで、「迷ったらこれを」というようなスタンダード機種といったところ。

出典:マイクロソフト

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ペン入力でWordに文字入力していくデモ。手書き文字が、書体の文字にどんどん変換されていくのは、(Pro 7だけの機能ではないとはいえ)興味深い。

出典:マイクロソフト

一方のPro 7は、2010年に登場したタブレット型Surfaceシリーズ直系といえる、正当進化モデル。

第10世代のインテルCoreプロセッサーを採用(マイクロソフトは、従来比で速度は2倍と表現)、接続端子はフルサイズのUSB-A、流行のUSB Type-Cの両方を搭載している。

見た目のデザインは極めてキープコンセプトで、「形は似ていても中身も装備も全然違う」Pro Xと比べると、新奇性より安定感を重視したモデル。

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出典:マイクロソフト

従来から大きく変化したようには見えないが、「スタンダード」であることが望まれているのだとすれば、これで十分だということなのかもしれない。

価格は749ドル〜(約8万200円〜)、10月22日発売予定。

(文・伊藤有)

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