10月2日に生誕150周年を迎えたマハトマ・ガンジーを追悼するインドのモディ首相。
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「インド独立の父」マハトマ・ガンジーが生誕150周年を迎えた。
インドでは、ガンジーの誕生日である10月2日が国民の祝日になっていて、各地で追悼イベントが催された。
モハンダス・ガンジーが「マハトマ(偉大な魂)」の名を与えられたのは1914年、ガンジーが弁護士そして社会活動家としての評判を確立したあとのことだ。
ガンジーは、その身を非暴力を通じたインドの独立に捧げ、その思想は最終的に1947年のイギリスからの独立へとつながった。ガンジーはその数カ月後、狂信的なヒンドゥー教徒に暗殺されたが、その信念(中には、現在の尺度からすれば人種差別的と考えられるような主張もあったが)はアメリカ公民権運動の指導者マーティン・ルーサー・キング牧師や南アフリカの反アパルトヘイト(人種隔離政策)闘争を率いたノーベル平和賞受賞者ネルソン・マンデラ元大統領といった指導者へと引き継がれている。
過去の手紙や演説、インタビューなどから、示唆に富むガンジーのいくつかの言葉を紹介しよう。
(敬称略)
「わたしの人生がわたしのメッセージ」
ガンジー(1947年)。
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映画『Mahatma: Life of Gandhi 1869-1948』によると、ガンジーはジャーナリストから世界に向けたあなたのメッセージは何かと尋ねられ、こう答えたという。
「個人に当てはまることは国にも当てはまる。誰もがそれほど多くを許すことはできない。弱き者は許すことができない。許しは強き者の証だ」
ガンジー(1931年)。
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『Collected Works of Mahatma Gandhi』51巻で、ガンジーは1931年、インドの革命家で23歳で処刑されたバガット・シンについてインタビューを受けている。抑圧的な政府の許しは可能かどうか尋ねられたガンジーの答えがこれだ。
「人類への信頼を失ってはいけない。人類は海だ。海の水が数滴汚れていても、海が汚れるわけではない」
ガンジー(1924年)。
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ガンジーは、晩年、自身の秘書を務めたラジクマリ・アムリット・カウル(Rajkumari Amrit Kaur)に手紙をたくさん書いた。ガンジーが1948年1月にこの世を去る前、カウルはインドの初代保健大臣に就任した。『Mahatma Gandhi to Rajkumari Amrit Kaur』 によると、ガンジーはこの手紙を暗殺される数カ月前の1947年8月29日に書いた。
「女性を弱いと呼ぶのは中傷だ。これは女性に対する男性の不正だ。強さが肉体的な強さを意味するなら、確かに女性は男性より弱い。だが、強さが精神的な力を意味するなら、女性は男性より計り知れないほど優れている」
ガンジーとインドの初代首相ジャワハルラル・ネルー(1946年)。
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ガンジーはインド独立運動への女性参加を支持していた。この文章は、自身が発行する週刊紙『Young India』(1930年4月10日)にガンジーが書いたものだ。
「わたしが非暴力を誓うのは、それが唯一、来世だけでなく今世においても、人類の至高善をもたらすと分かっているからだ。わたしが暴力に反対するのは、それが良いことに見えても、一時的なものに過ぎず、その悪こそが不変だからだ」
ガンジー(1921年)。
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1925年5月21日の『Young India』で、ガンジーは自身の非暴力の哲学を書いている。
「自らの分別を信用し過ぎるのは愚かだ。強き者も弱くなる、賢き者も過ちを犯すと心に留めておくことが健全だ」
ガンジー(1946年)。
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『Young India』に加えて、ガンジーは1933年、英字紙『Harijan』を立ち上げた。この言葉は1940年2月17日付けのHarijanに掲載されたものだ。
「わたしは自分を兵士だと考えている。だが、平和の兵士だ」
ガンジー(1946年)。
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1931年12月、ヨーロッパですでに良く知られていたガンジーはスイスのジュネーブを訪問。ビクトリアホールでの演説で、ガンジーは意外な隠喩で自身の非暴力の考えを語った。
「世界を変えたいなら、まず自分が変わりなさい」
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ニューヨーク・タイムズによると、ガンジーのものとされるこの有名な言葉はどこから来たものか分かっておらず、恐らくガンジーの言葉ではない。だが、ガンジーは次の言葉を残している。
「自分たちを変えることができれば、世界の流れも変わるだろう。人が自らを変えれば、その人に対する世界の姿勢も変わる…… わたしたちは他者がすることを待つ必要はない」
「『目には目を』では、全世界を盲目にするだけだ」
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『Yale Book of Quotations』によると、この言葉も恐らくガンジーのものではない。1982年の伝記映画『ガンジー』では、ガンジーを演じた俳優ベン・キングズレーがこの言葉を口にしているが、ガンジー本人がこの言葉を発した記録は残っていない。