オーストラリア・シドニーにあるMicrosoft Store。アメリカでの発表会直後の10月3日には、すでに新型Surfaceの予約や実機展示が行われていた。
撮影:小林優多郎
ついに発表されたマイクロソフトの新型Surface。そのうち、「Surface Pro 7」「Surface Laptop 3」「Surface Pro X」は日本での発売が予定されている。
クアルコム製チップを搭載して省電力なPro Xは、日本での登場時期は「後日発表」となっているが、従来シリーズからのアップデート版にあたるLaptop 3(13.5インチ、15インチ)、Pro 7に関しては既に予約が開始され、10月23日から発売予定だ。
筆者はSurface発表会の時期にちょうどオーストラリア・シドニーに訪れていた。市内のMicrosoft Store(マイクロソフト直営店)を訪問すると、発表直後から日本でも登場予定Surface Laptop 3などの実機展示が始まっていた。
メタルモデルは確かに“MacBook Proキラー”
15インチ版Surface Laptop 3のプラチナ。キーボードの色がグレーになっているあたりが、Surfaceっぽい。
これまで、Surfaceシリーズで“MacBook Proキラー”という言葉は、ハイパワーモデルである「Surface Book」シリーズに使っていたと思う。Surface Bookシリーズは、画面部が外れるデタッチャブルな2in1仕様で、ペンも使えて、機種によっては外部GPUにグラフィック性能支援が可能。高性能なクリエイター向けPCだったからだ。
15インチ版Surface Laptop 3のマットブラック。かなりシックな印象。
けれど、外観からしてもSurface BookはMacBook Proと全く違う。MacBook Proユーザーが(OSの特徴や好き嫌いは置いておき)Surface Bookに移行するイメージは正直できなかった(MacBook Proユーザーはシンプルな外観、ノートPCとしての機動性や高性能さに満足しているはず)。
それを考えると、新しい「Laptop 3」はまさに“MacBook Proキラー”と呼ぶにふさわしい。
とくに、メタル素材を採用したモデル(13.5インチ版はサンドストーンとマットブラック、15インチ版はプラチナとマットブラック)は、従来のアルカンターラなどのファブリック素材のモデルと比べて、Surface Laptopシリーズの印象をまるっきり変えた。
15インチ版Laptop 3を持ち上げてみた、見た目の印象より軽い。実際、Laptop 3の重さは1.542kg、厚さは14.69mmと、15インチ版MacBook Pro(重さ1.83kg、厚さ15.5mm)と比べてやや軽くて薄い。
外観や印象だけではなく、性能に関しても「クリエイター向け」を連想させる要素がある。日本では15インチの一部のモデルに搭載されたAMD製のCPU「Ryzen Mobile」を採用している点だ。
展示機の「デバイスの仕様」にあるプロセッサーの欄には「AMD Ryzen 5 Microsoft Surface Edition」の文字が。
15インチ版Laptop 3の画面解像度は2496×1644ドット。15インチ版MacBook Pro(2880×1800ドット)と比べると数字の上ではやや劣るが、申し分ない作業領域と精細さを兼ね備えたディスプレイだ。
店内ではグラフィック性能を測るためのベンチマークソフトなどは実行できなかったが、Ryzen採用の理由について、先に公開した西田宗千佳氏の発表会会場でのハンズオン記事によると、マイクロソフトの担当者は「グラフィックパフォーマンスに尽きる」と発言している。
従来、主にMacBook Proの得意分野だった、モバイルでも性能やPCとして使い勝手を求めるプロクリエイターのニーズを満たす狙いがあると見て間違いない。
ちなみに、15インチ版Laptop3のキーボードの感触を試してみたが、Laptop 2のキーボードと比べるとやや“硬さ”を感じる。しかし、基本的にはキーストローク(押したときの深さ)は浅めのSurfaceらしいキーボードのままだ。
Surface Pro Xの展示は11月以降?
店頭では、Pro 7とLaptop 3のほかにPro Xの予約も受け付けていた。
シドニーのMicrosoft Storeでは、ほかにもPro 7の展示も行われていたが、残念ながらPro Xに関しては実機・モックアップともに展示はなかった。
現地スタッフにPro Xの展示について聞いてみると「11月頃には触れるようになるんじゃないか」と話していた。
店頭での15インチ版Laptop 3の価格。例えば、Ryzen 5+メモリー8GB+ストレージ128GBであればオーストラリアでは1999豪ドル(税込、約14万4000円)。日本の個人向け価格は16万1480円(税込)。
なお、プレオーダーは店頭でも受け付けており、本体の金額は日本のほうがやや割高となっている。ただし、Officeの有無以外に、日本語キーボードを選べないなどの違いがあるので、価格の単純比較はできない仕様だ。
(文、撮影・小林優多郎)