結婚と出産も先延ばし…精子の凍結保存がブームに

精子を凍結する男性が増えている。

精子を凍結する男性が増えている。

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時の流れを感じているのは女性だけではない。

男性も、子どもを持てるタイムリミットのプレッシャーに直面していて、その結果として、精子を凍結している、とマリサ・デラット(Marisa Dellatto)氏がニューヨーク・ポストで報じた

エリザベス・コーエン(Elizabeth Cohen)氏も去る2016年、このトレンドについてCNNで報じ、健康上の理由を大きな要因として挙げた。複数の研究が、精子は老化すると遺伝子変異を起こし、自閉症といった精神疾患や先天異常のリスクが高まる可能性があるということを示している、と同氏は記した。しかし当時28歳で自身の精子を凍結したウィリアム・ハドソン(William Hudson)氏は、このトレンドについて「珍しい」もので「多くはない」とコーエン氏に語っている。

3年後の現在では、コーネル大学教授で男性生殖外科が専門のマーク・ゴールドスタイン博士(Dr. Mark Goldstein)は、精子のテストと凍結を希望する患者が増えているとデラット氏に語った。男性も年を取ると精子の質は低下し、これにより半数近くのカップルが不妊症になっていると博士は述べた。

デラット氏が話をしたミレニアル世代の男性の中には、性行為中のストレスを減らすためパイプカットをする、その前に精子を凍結するという人もいた。子どもは欲しい、でも今すぐという訳ではないから、と言う人もいた。

28歳の医学生のフェリペ・ボリバル(Felipe Bolivar)さんとパートナーが選んだのは、卵子の凍結ではなく精子の凍結だった、より安く手順もより簡単だったからとデラット氏に語った。

Health.comによると、精子の凍結にかかるコストは250~1300ドル(約2万7000~14万円)だ。

ミレニアル世代の晩婚化と出産の高齢化

精子の凍結は、アメリカのミレニアル世代の結婚と出産が遅くなっているという事実の現れである。彼らは良い相手を見つけるのにより時間をかけ、経済的な成功を優先している。

アメリカにおける初婚年齢の中央値は、女性が27歳、男性が29歳。Business Insiderアメリカ国勢調査局(US Census Bureau)のデータを挙げて伝えている。ちなみに1980年には、女性が22歳、男性が25歳だった。

また、Business Insiderによると、マッチングサイトBridebookの2017年の調査では、すでに相手を見つけている人々も、結婚するまでの交際期間はより長く(平均4.9年)なっている。

これらの結果、アメリカの出生率はここ32年間で最も低くなっている。ナショナル・パブリック・ラジオ(NPR)のビル・チャペル(Bill Chappell)氏がアメリカ疾病予防管理センター(CDC)のレポートを挙げた。その報告によると、2018年に、30代で出産する女性の数が20代で出産する女性の数を初めて上回った。

ミレニアル世代の出産が高齢化するにつれ、それを支援するのが一般的になってきている。Business Insiderでも伝えたように、卵子の凍結はここ数年ブームになっており、アップル、フェイスブック、そしてグーグルといったテック企業が女性従業員の福利厚生として提供している。

また、高まる関心の受け皿として、卵子凍結のサービスも複数出現している。ニューヨークに新しくできた不妊治療センター、トレリス(Trellis)などがそうだ。こちらは2018年11月に、Business Insiderが取材している。

ミレニアル世代はさまざまな理由から出産を先延ばしにしているが、精子の凍結は、そのための最新の取り組みの一つだ。

[原文:More men are freezing their sperm, and it's just more evidence that millennials are defining life milestones on their own terms

(翻訳:Ito Yasuko、編集:Toshihiko Inoue)

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