日本でも普及は可能? 欧州で電動キックボード各社に乗ってわかった利便性と料金

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ドイツのフランクフルト中央駅前には多くの電動キックスクーターが置かれていた。

撮影:大塚淳史

電動キックボード(キックスクーター)を使ったライドシェア型のパーソナルモビリティサービスが、欧米で席巻している。日本でも1年前に電動キックボードの「Luup(ループ)」が創業し、また、「Lime(ライム)」や「Bird(バード)」といった海外大手が日本に進出し、自治体と組んで実証実験を始めている。まさに、サービス化を模索している状況だ。

一方で、日本での電動キックボードの公道使用には、さまざまな交通法規がからみサービスインは容易ではない。欧米の事例のように自由な利用形態にこぎつけるには、まだ何層もの高いハードルがある。

ただ、これだけ話題になっているシェアモビリティサービスなので、一度サービスを利用してみたいと思い、9月の夏休みに欧州旅行したついでに体験してきた。

欧州の主要都市では電動キックボードのシェアサービスが多数

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電動キックボードのシェアサービス「Lime」。

撮影:大塚淳史

今回、電動キックボードを利用した都市はドイツ・フランクフルトとフランス・パリ。ヨーロッパの都市部では既に、複数の電動キックボードのシェアサービスが広まっている。

フランクフルトでは米「Lime」と独「CIRC」を利用してみた。パリでは「Lime」米「Bird」そして電動ライドシェア大手のUberが展開する「JUMP」にも乗った。

利用登録は非常に簡単。スマートフォンにアプリを入れて、ユーザー登録をする。携帯電話番号とクレジットカードの情報を入れたらすぐ利用可能に。電話番号は今回、現地のSIMカードを購入して使用したが、日本の番号でも登録可能だ。

どのサービスも料金体系は総じて、鍵解除料が1EURO(ユーロ)、加えて使用時間で加算されていく仕組みだ。

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Limeのアプリ画面。左はヨーロッパで展開具合がわかる。右側はパリのエッフェル塔周辺に多数置かれているのがわかる。

撮影:大塚淳史

フランクフルトでもパリでも中心部ではそこら中に、電動キックボードや、アプリ型のシェアサイクリングサービス用の自転車が大量に停められていた。使用できないエリアについては、アプリ上のマップで示されている。

さっそく、宿泊先のホテルまでLimeに乗ってみた。電動キックボードに乗るのは初めてで、簡単に乗れるのかやや不安だったが、あっさり乗りこなせた。思いのほかにスピードが出る。時速20km近くは出ているようだった。

疾走感がなかなか気持ち良い反面、確かに乗り方や運転マナーに気をつけなければ、人への接触や自損事故などが発生しそうな危なさはある。特にキックボードに足を乗せて、ハンドルのアクセルをかけた時の加速の速さは、こういった乗り物に慣れない人だと慌ててしまうかもしれない。

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ここまでの専用道はなかなかないが、パリでは自動車道の横には自転車道がだいたいあり、電動キックボード利用者はそこを通っていることが多かった。

撮影:大塚淳史

ヨーロッパの都市中心部の道路には自転車専用道路が備わっている。パリの電動キックボード利用者は主にそこを通っていた。ただ、歴史ある都市だけあって、石畳の道路も結構あり、その上を通る時は振動が強かった。

ちなみに、パリでは中国のシェアサイクルサービス「Mobike」も進出している。記者自身、アカウントを元々持っていたので利用したが、日本や中国でのアカウントがそのまま利用できて便利だった。利用している人を何度か見かけたが、恐らく中国系と思われる若者だけだった。

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パリでは中国のシェアサイクルサービス「Mobike」が展開していて、中国人と思われる利用者が乗っている姿を見かけた。

撮影:大塚淳史

便利だが料金は意外と高い。タクシー感覚ならあり?

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「CIRC」のアプリ画面。左は利用履歴。右は欧州でサービスが行われている地域。

撮影:大塚淳史

1週間ほどの滞在中に10回以上、シェア型電動キックボードを利用していて感じた点をまとめると、主に2点に集約される。

  1. 近距離・中距離の移動に便利
  2. 思いのほかに料金は高い

1. については想像どおりではあるのだが、実際に使ってみると、かなり便利だった。今回は観光旅行だったが、フランクフルトでもパリでも市内の観光地巡りの際に重宝した。運転中はヨーロッパの町並みも楽しめる。

2. は、率直なところ予想外に高かったというのが感想だ。1度乗ってしまうと、10分以上はだいたい乗っている。そうすると、2ユーロはする。日本円でいうと250円以上が1回の利用でかかる計算だ。月額固定料金でもなければ、これは頻繁に乗るには厳しい気がする。

それに、フランクフルトもパリも、ともに中心部の交通機関は、地下鉄、路面電車、バスがあり、公共交通網が張り巡らされている。旅行者であれば、1日乗車券等を購入すれば、1000円以下でこれらの交通機関が利用できる。

もちろん組み合わせて乗るのもありだが、物珍しさ以外で頻繁にシェア型電動キックボードを利用したいかと言われると、少し悩んでしまう。

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Uberが展開するシェアリングモビリティサービス「JUMP」。電動キックスクーター型と電動アシスト型自転車の2種類がある。

撮影:大塚淳史

ただし、料金に関しては、同じ区間を移動するタクシーよりは安い。タクシー感覚で利用するのなら、ありかもしれない。

実際、滞在中に宿泊先からパリ北駅の始発列車に乗るために移動する際に使ったケースがある。

このときは最寄り駅までやや遠く、タクシーもなかなかつかまらなかった。そこで、JUMPを利用した。JUMPは電動キックスクーター型と電動アシスト自転車型の2種類があり、後者に乗って駅まで向かった。前カゴに荷物が載せられることもあり、結果的に移動時間も短く、タクシー料金ほどかからずに済んだ。

日本でのサービスインにも期待は高まるが……

かつてシェア自転車がそうだったように、電動キックボードを取り巻く環境は刻々と変化している。日本でのサービスインがモタついているうちに、既にヨーロッパでも、アメリカでも、事故や駐車スペース等の問題で、利用ルールが厳しくなるなど風当たりが強まり始めた。

9月20日に東京でシェアスクーター(ガソリン型)のサービスを始めたオープンストリートは、当初は電動キックボードのサービスも検討していたという。それが一般的なスクーターになった背景を、担当者は「国交省と何度も話し合いを重ねたが、日本の法規制や安全面を考慮すると、電動キックスクーターのサービスを行うのは厳しい」と明かす。

とはいえ、せっかく新たな便利なモビリティサービスが海外で続々と登場している中で、日本が取り残されているのは何だか寂しい気持ちもある。

10月24日から始まる東京モーターショーでは、電動キックスクーターの試乗が可能だ。興味のある人は、現地で体験してみてほしい。

(文、写真・大塚淳史)

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